フルマラソンで “ある世界一” 90歳と87歳の夫婦 大阪 枚方

どれだけ年を重ねても、スポーツを楽しみ続けたいと思っている方は多いのではないでしょうか?

大阪 枚方市には、マラソンやジムでのトレーニングなど、さまざまなスポーツを楽しむ90歳と87歳のご夫婦が暮らしています。

この2人。実はフルマラソンで、ある“世界記録”も保持しています。

(大阪局カメラマン 中田達人)

90歳になっても… 週に3回 約10キロ走ります

大阪を流れる淀川の河川敷。軽快な足取りで走るのは90歳の内田昌詞さんと、妻で87歳の良子さんです。夫婦でマラソンの練習に取り組んでいます。

マラソンを始めたのは昌詞さんが77歳、良子さんが74歳のとき。その後、数々の大会に出場し走る楽しさに出会えたといいます。

今も、河川敷などで週に3回、10キロ前後走っています。

【動画】軽快な動きの内田夫妻 バーベルも!

(画像をクリックすると動画が見られます)

このほかにも全身の筋力を維持するための筋力トレーニングや、音楽に合わせてのエクササイズなどジムでも汗を流しています。

スキーや登山 “いつも2人”で

2人が出会ったのは、20代のころ。同じ会社に勤めていた昌詞さんと良子さんは、社内のスキーや登山などを楽しむグループ活動に積極的に参加してきたといいます。

スポーツが共通の趣味だった2人は、結婚後も変わらず体を動かし続け、楽しさを共有してきました。

内田昌詞さん
「2人ともね、どっちかといったら、ものすごい感動するタイプなんですよ。山行って景色見ても感動するし、運動して頑張ってやったら感動するし、割合ねそういうのが共通していますね性格的に」

内田良子さん
「2人でいろんなことを一緒にやれる、体力もあったんでしょうね。だから本当に幸せです。主人と一緒になって」

フルマラソンを完走した“最高齢夫婦”に

そして、2015年の大阪マラソンで2人は大きな記録を打ち立てます。
「フルマラソンを完走した最高齢夫婦」として、ギネス世界記録に認定されたのです。

2人あわせて、161歳349日という大記録でした。

それでも…
はじめは2人とも全く実感がなかったといいます。

昌詞さん
「全然、自分たちはそういう立場にあることが、全く理解できなかったです。普通のじいさんとばあさんが82歳と79歳で走ったら、それが世界一だったという記録をとれるなんて」

しかし、“フルマラソンの完走”は2人の大きな目標に変わっていきます。
その後、2人は記録を4回更新。現在も、その記録は塗り替えられていません。

4年ぶりの挑戦 20キロ地点で良子さんが…

新型コロナウイルスの影響で中止となっていた大会が各地で再開される中、ことし2月、2人は大阪マラソンに出場しました。4年ぶりのフルマラソンです。

しかし、20キロ地点で良子さんが両足をつってしまいリタイア。
それを見た昌詞さんも走るのをやめ、記録を更新することはできませんでした。

良子さん
「どちらかが具合悪くなければ、2人ともやめましょうっていう約束で走ったんです。結果的に私のほうがちょっと悪かって、主人には申し訳なかったなって」

昌詞さん
「いやいや、そんなもんははじめから言ってるし、それでいいんです。もう全然問題ないですよ」

良子さん
「優しいですね(笑)」

原点に戻って“2人で楽しむ”

マラソンシーズンを迎えたこの秋。大阪マラソンのエントリーの受付が始まりました。

しかし2人は話し合い、この大会に出場しないと決めました。2人にとって大切なのは、記録ではなく、純粋にスポーツを楽しむこと。昌詞さんは、マラソンをはじめたころの気持ちに戻ったといいます。

昌詞さん
「“もう1本ギネス”をという所までは、気持ちとしてはいってません」
「原点に戻って、ランニングを楽しくやるというぐらいのことに立ち返ってしばらくはやってみようかなと」

来年、内田さん夫婦は結婚65周年を迎えます。

良子さん
「これからも、できるだけ長く2人で楽しくスポーツをしたり、音楽を聞いたり、いろいろしたいと思ってますね」

昌詞さん
「それ以外もう何もありません」

人生を通じてスポーツを楽しんできた内田さん夫婦。楽しさを分かち合う2人の時間はこれからも続きます。

【動画はこちら】共に走る“世界一”の夫婦

マラソンを通して楽しさを分かち合う2人を1分の動画にまとめました。