【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ “ロシア軍 ウクライナ東部で空爆を増やしている”

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の拠点アウディーイウカの掌握を狙って、多くの犠牲もいとわず周辺で攻撃を続けています。

ウクライナ軍の参謀本部は14日、ロシア軍が空爆を強化しながら地上部隊が街の包囲を試みているとしたほか、軍の報道官は地元メディアに「ロシアはスホイ35戦闘機から誘導爆弾による空爆を増やしている」と明らかにしました。

ロシア軍は無人機による攻撃も繰り返していて、ウクライナ空軍は14日、ロシア軍が夜間に9機の無人機で攻撃を仕掛け、このうち7機を撃墜したと発表しました。

ウクライナのベレシチュク副首相は、北欧フィンランドのメディアに対して「これからの厳しい冬でもロシアが前の冬と同じように電力インフラを破壊しウクライナの人々の意志を打ち砕こうとするのは明らかだ」と述べ、防空能力の強化に向けた欧米の支援を訴えました。

ゼレンスキー大統領「ロシアの電力施設など攻撃に警戒を」

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、ビデオ演説で、本格的な冬の到来を前に、ロシアが電力施設などインフラへの攻撃を増やす可能性があるとして警戒を呼びかけました。

この中でゼレンスキー大統領は「11月も半ばを過ぎようとしているが、敵がわれわれのインフラに、ドローンやミサイルでの攻撃を増やしてくる可能性に備えなければならない。われわれはこの冬を乗り切れるように全力を傾けるべきだ」と述べました。

そしてロシアの攻撃に対応するための防空システムについて「残念ながらまだすべての領土を完全に防御できているわけではない」と述べたうえで各国に対して防空能力の強化に向けた支援を継続するよう訴えました。

ヘルソン州知事 ロシア軍の砲撃を受け3人死亡と発表

ウクライナ南部ヘルソン州の知事は13日、中心都市ヘルソンの郊外で車両がロシア軍の砲撃を受け、1人が死亡し、乳児と母親がけがをしたほか、市の中心部でも砲撃により2人が死亡したと発表しました。

領土の奪還を目指すウクライナ軍は先月以降、ヘルソン州でロシア側が占領するドニプロ川の東岸に渡り作戦を展開しているとみられますが、ロシア軍は1年前に撤退した川の西側にあるヘルソンに向けて攻撃を繰り返しています。

ロシア国営通信 “部隊の再配置を決定” 速報し取り消す

ロシア国営のタス通信とロシア通信は13日、ロシア国防省の情報として、軍の司令部がドニプロ川の東岸に展開する部隊の「再配置を決定した」と速報で伝えました。

部隊の撤退をうかがわせる内容でしたが、2社とも、速報のおよそ10分から15分後に誤報だったとして撤回しました。

国営通信社が同じ内容を速報し、同時に取り消すのは異例で、ロシア国防省はロシアメディアのRBKに対して何者かが偽情報を流した挑発行為だとする見方を示しました。

ロシアの独立系メディアは、国営通信社の関係筋の話としてウクライナ側でつくられた偽のアカウントから情報を入手した可能性があると伝えています。

ノルドストリーム爆発 ウクライナ軍の大佐関与か 米メディア

ロシアとドイツを結ぶ海底パイプライン、ノルドストリームで、去年9月に起きた爆発について、アメリカメディアなどは、ウクライナ軍の特殊部隊に所属していた大佐が深く関与していたと伝えました。

バルト海を経由してロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン、ノルドストリームでは、去年9月26日に爆発が起き、大量のガスが漏れ出しましたが、爆発の真相は明らかになっていません。

これについて、アメリカの有力紙ワシントン・ポストなどは11日ウクライナやヨーロッパの当局者の話として、ウクライナ軍の特殊部隊に所属していた大佐が、調整役として深く関与していたと伝えました。

報道によりますと、この大佐は、パイプラインに爆発物を設置した6人の実行犯のために後方支援を行い、ウクライナ軍のザルジニー総司令官にも最終的な報告が上がっていたということです。

ただ、ゼレンスキー大統領には意図的に知らされていなかった可能性があると伝えています。

この大佐は、現在別の容疑で拘束されていて、弁護士を通じて、爆発への関与を否定しているということです。

報道についてウクライナ軍の報道官は12日、ロイター通信に対し「情報はない」と述べました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は13日「ウクライナ側による妨害工作の痕跡が、報道や調査で見られるようになってきた。われわれは注意深く見ている」と述べました。

ルーマニアにF16戦闘機訓練施設 ウクライナのパイロットも訓練

ウクライナ軍のパイロットの訓練にも使われるアメリカ製のF16戦闘機の訓練施設が、ウクライナの隣国ルーマニアに新たに設けられ、記念式典が行われました。

ルーマニアの空軍基地に新たに設けられた訓練施設は、F16戦闘機の訓練に特化した施設としてはヨーロッパで初めてのもので、13日、記念式典が行われました。

F16戦闘機を製造するアメリカのロッキード・マーチン社からも教官が派遣されていて、この日は、ルーマニア軍の2機のF16戦闘機が基地上空で激しく旋回するなど模擬訓練を繰り返す様子が見られました。

F16戦闘機をめぐっては、ウクライナが反転攻勢を進める上で重視し、オランダなどが供与を表明していて、アメリカやデンマークなどでウクライナ軍のパイロットなどへ訓練が始まっています。

この施設では、まずルーマニア軍のパイロットの訓練が行われることになっていて、ウクライナ軍のパイロットの訓練も実施される予定です。

オランダのオロングレン国防相は「ロシアと戦うウクライナが対空防衛強化のためF16戦闘機を必要としていることを理解し、訓練を可能な限り早く始めたい」と述べました。

またロッキード・マーチン社の責任者は「ウクライナであってもほかの国でもこの施設はパイロットが効率的に訓練を受け任務に戻る拠点となる」と話していました。