円相場 ことしの最安値更新 一時1ドル=151円80銭まで値下がり

週明けの13日の東京外国為替市場は、日米の金融政策の違いから金利差が意識されて円安が進み、円相場は一時、1ドル=151円80銭まで値下がりし、ことしの最安値を更新しました。

13日の東京市場では、アメリカで金融引き締めが長期化する一方、日本では大規模な金融緩和が当面、続くという見方から日米の金利差が意識され、円を売ってより高い利回りが見込めるドルを買う動きがじわじわと強まりました。

このため円相場は一時、1ドル=151円80銭まで値下がりし、ことしの最安値を更新しました。

午後5時時点の円相場は、先週末と比べて35銭円安ドル高の、1ドル=151円73~75銭でした。

また、円はユーロに対しても値下がりし、先週末と比べて83銭円安ユーロ高の、1ユーロ=162円24~28銭でした。

1ユーロ=162円台となるのは2008年8月以来、およそ15年ぶりです。

ユーロはドルに対して1ユーロ=1.0692~93ドルでした。

市場関係者は「日米の金融政策の違いに加え、株価が堅調な中で、より利回りが見込める資産に資金を振り向けようという動きが出て、ドルだけでなく、ユーロに対しても円売りが広がった。一方、先週末にアメリカの大手格付け会社、ムーディーズが、アメリカ政府に対する格付けの見通しを引き下げたが、今のところ市場への影響は限定的だ」と話しています。

鈴木財務相「緊張感持ち 万全の対応」

鈴木財務大臣は午後6時ごろ記者団に対し「為替は市場において、ファンダメンタルズ=経済の基礎的条件に基づいて決まるもので、急激な変動は好ましくない。市場を緊張感を持って見ながら万全の対応をしていきたい」と述べて、市場の動きをけん制しました。

円安の推移と背景

去年10月に1ドル=151円台後半まで値下がりした円相場。

ことしは1ドル=129円台でスタートしました。

ただ、アメリカでインフレが長期化し、金融引き締めが強まるとの見方から、金融緩和を続ける日本との金利差が拡大。

じりじりと円安が進み、円相場はことし5月下旬に1ドル=140円台、6月下旬には145円台まで値下がりしました。

日銀は7月下旬、金融政策の運用を柔軟化し、長期金利の一段の上昇を容認。

無理に金利を抑え込まないことで為替市場の過度な変動を抑えるねらいもありましたが、その後も円安は進みます。

背景にはアメリカの長期金利が日銀の想定を上回るスピードで上昇を続けたことがあります。

この結果、円相場は10月3日、およそ1年ぶりに1ドル=150円台まで値下がりしました。

また、10月31日には円安が加速する中でも直近の1か月間に政府・日銀による市場介入が行われていなかったことがわかり、介入への警戒感が後退したことなどで1ドル=151円70銭台まで値下がりしました。

11月に入ってからもアメリカのインフレの行方を見極めようという展開が続き、3日の雇用統計が市場の予想を下回ったことでいったんは1ドル=149円台前半となったものの、先週、FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が市場で広がっていた利上げ終結の観測をけん制したことなどから再び、円安が進んでいました。