全日本海員組合 前組合長 約3億円私的流用の疑い 組合員ら告発

海運業に従事する人で作る労働組合「全日本海員組合」の前の組合長が、関連団体の基金からおよそ3億円を私的に流用した疑いがあるとして、組合員らが業務上横領や脱税などの疑いで東京地検に告発状を提出しました。

告発状によりますと、森田保己 前組合長は、2015年から2020年にかけて、外国人船員の研修などに充てる基金からおよそ3億円を私的に流用し、高級腕時計などの購入に充てた、業務上横領の疑いや、流用した金について税務申告しなかった脱税の疑いがあるということです。

森田前組合長をめぐっては、基金の私的流用や、海外の業者からリベートを受け取って得た合わせておよそ6億円の所得を税務申告していなかったとして、東京国税局が申告漏れを指摘し、追徴課税していました。

会見した組合の元幹部や組合員によりますと、私的流用された基金のうち、前組合長から返還されたのは一部にとどまっているということです。

全日本海員組合の元組合長、井出本榮さんは、「組合長による横領を許しては、基金の信頼が失われかねない。組合が動かないため、私たちが動いた」と話していました。