ガザ地区最大のシファ病院 医薬品不足など原因で患者12人死亡

イスラエル軍の地上部隊がガザ地区最大の病院に迫るなか、現地の保健当局は医薬品の不足や電気が使えなくなったためにこの病院の患者12人が死亡したと発表し、窮状を訴えています。
一方、イスラエル軍は病院の入り口に燃料を置いたと主張するなど、国際社会の批判も高まるなか民間人の犠牲を減らすよう努めているとアピールしています。

イスラエル軍はガザ市の中心部にあるガザ地区で最大のシファ病院の地下にイスラム組織ハマス中枢の拠点があると主張し、地上部隊を周辺に展開して激しい戦闘を続けています。

こうした中ガザ地区の保健当局は12日、医薬品の不足や、発電機用の燃料がなくなって電気が使えなくなったことが原因で、シファ病院で12人の患者が死亡したと明らかにしました。

戦闘のためけが人などが病院にたどり着けず命を落とすケースが相次いでいるほか、埋葬ができないまま置かれている遺体も100体に上るとしています。

また、別のガザ地区の当局者は、シファ病院の敷地に身を寄せている住民が1500人に上り、戦闘の巻き添えになる危険にさらされていると訴えました。

一方、イスラエル軍はシファ病院の入り口に11日、緊急医療用として300リットルの燃料を置いたものの、ハマスが病院にわたるのを妨害したと主張しています。

またシファ病院にいる病院関係者や患者、それに避難民に退避を通告したとして、病院の担当者と11日の夜に交わした電話の内容とする音声を公開しました。

このなかで軍の調整官は「病院の東側の通りを開放している。東側一帯にイスラエル軍の部隊はいない」と話し、退避経路を説明しています。

さらにイスラエル軍は、今月8日以降、ジャバリア難民キャンプなど8か所で戦闘を4時間休止し、住民に退避のための時間を与えたとしていて、国際社会の批判が高まるなか民間人の犠牲を減らすよう努めているとアピールしています。

ガザ地区の当局によりますと一連の戦闘による死者は1万1180人にのぼり、少なくとも3250人ががれきに埋もれたままになるなどして行方がわからなくなっているとしています。

一方、イスラエル側では兵士361人を含む1200人余りが死亡しているほか、およそ240人がガザ地区で人質になっています。