大相撲九州場所 初日 大関 貴景勝は北勝富士に勝ち白星発進

大相撲九州場所は12日、初日を迎え、2場所連続優勝がかかる大関・貴景勝は小結・北勝富士に勝って白星スタートとなりました。

3人の大関 そろって初日白星

九州場所は横綱・照ノ富士が腰のけがにより休場し、横綱不在の場所となっています。

初日の12日、秋場所に続いて2場所連続優勝がかかる貴景勝は先場所敗れている小結・北勝富士と対戦しました。頭から強く当たった貴景勝は北勝富士を一気に押し込み、そのまま押し出して勝ちました。

残る大関陣のうち、霧島は前頭筆頭の宇良に寄り倒しで勝ち豊昇龍も平幕の正代に力強い突き出しで勝ちました。

3人の大関はそろって初日白星となりました。

3人の関脇陣は大栄翔と琴ノ若が勝った一方、若元春は敗れました。

先場所、貴景勝と優勝を争った平幕の熱海富士はベテランの妙義龍に小手投げで勝ちました。

このほか、38歳の玉鷲は12日で幕内の出場回数を1258回として豪風を抜いて単独で史上10番目となり、得意の突き押しで宝富士に押し出しで勝ちました。

中入り後の勝敗

中入り後の勝敗です。

▽新入幕の北の若に錦富士は北の若が「寄り倒し」で勝って初白星を挙げました。

▽狼雅と美ノ海の新入幕どうしの一番は行司軍配差し違えとなって美ノ海が「寄り切り」で勝って初白星を挙げました。

▽新入幕の東白龍と返り入幕の一山本の対戦も行司軍配差し違えとなって一山本が「押し出し」で勝ちました。

▽右ひざに大けがをして4年ぶりに幕内に復帰した友風と剣翔の一番は剣翔が「上手投げ」で勝ちました。

▽宝富士に玉鷲は玉鷲が「押し出し」。

▽王鵬に平戸海は王鵬が「突き出し」。

▽佐田の海に琴恵光は佐田の海が「寄り倒し」。

▽竜電に御嶽海は竜電が「寄り切り」で勝ちました。

▽妙義龍に熱海富士は熱海富士が「小手投げ」。

▽遠藤に金峰山は金峰山が「押し出し」。

▽北青鵬に隆の勝は北青鵬が「寄り切り」。

▽湘南乃海に翠富士は湘南乃海が「はたき込み」で物言いがついた一番を制しました。

▽阿武咲に錦木は阿武咲が「押し出し」。

▽阿炎に豪ノ山は阿炎が「押し出し」。

▽琴ノ若に翔猿は琴ノ若が「押し出し」。

▽高安に若元春は高安が「上手投げ」で勝ちました。

▽大栄翔に明生は大栄翔が「突き出し」。

▽正代に大関・豊昇龍は豊昇龍が「突き出し」。

▽宇良に大関・霧島は霧島が「寄り倒し」。

▽大関・貴景勝に北勝富士は貴景勝が「押し出し」で勝ちました。

力士 談話まとめ

2場所連続優勝を狙う大関・貴景勝は結びの一番で北勝富士に勝ち「相手に気をつけるより、自分がどうしていくかだけ考えた。きょう一生懸命やった人が次に進める。15番の勝負でその日をやりきった人だけが、そういう資格を得ると自分に言い聞かせている」と初日を振り返りました。

大関・霧島は平幕の宇良に勝ち「自分の相撲を取っていきたいとしか考えていなかった。場所前によく考えて稽古をやったので、それがよかった。勝ち負けはあまり考えずに自分の相撲を取っていきたい」と話していました。

大関・豊昇龍は大関経験者の正代に勝ち「攻めて相撲が取れてよかった。初日だしいい流れをつくれた。しっかり集中して相撲が取れてよかった」と淡々と話していました。

関脇の大栄翔は明生に勝ち「出稽古ができたから初日だけど力がついているのではないか。初日にしてはいいと思う」と手応えを口にしました。

関脇の琴ノ若は翔猿に勝ち「半端なことをせずに我慢して、前に攻め切れてよかった。序盤よくても後半つまずいては意味がない。最後までしっかり出し切れるように」と気を引き締めていました。

関脇の若元春は大関経験者の高安に敗れ「きょうは気持ちで負けてしまったが、動きは悪くないのかなと思う。体の疲れもとれているし、初日に気持ちがうまく持っていけなかった」と冷静に振り返りました。

また、弟で三役経験者の若隆景が右ひざの手術を経て今場所の初日から4場所ぶりに復帰したことについては「本当の意味での復帰は関取に上がってから。今場所はけがなく走り抜けてくれればいい。自分は刺激を受けている場合じゃないので、自分が刺激を与えるくらいじゃないといけない」と話していました。

先場所、最後まで優勝争いを演じた平幕の熱海富士は「いつもどおりいこうと思っていた。勝ってうれしい。始まったばかりだが、あしたもあるので一番一番結果がついてくればいい」と笑顔を見せていました。

貴景勝 ~節目の場所で2場所連続優勝へ~

大相撲九州場所は初日としては4年ぶりに満員御礼。

訪れたファンは6500人を超えた。

注目の1人が大関・貴景勝。

今場所初めての2場所連続優勝がかかる。

その貴景勝、大関として2場所連続優勝をめざした過去2回はいずれも初日に敗れている。

さらに今場所の初日の相手、小結・北勝富士には先場所は黒星を喫した。

過去の対戦成績で見ても13勝11敗と勝ち越しはわずかに2つ。

難敵であることは間違いない。

しかし、貴景勝はファンの声援を力に変えた。

立ち合いで立ち後れ気味となった北勝富士に対して持ち味の突き押しで攻め込んだ。

一気に押し出して勝利。

初日白星で上々の滑り出しを見せ、初の2場所連続優勝へ期待を感じさせる一番となった。

幕内後半の審判長を務めた元大関・魁皇の浅香山親方も「しっかり前に押していたし、いいんじゃないか」と評価した。

(貴景勝)
「たくさんのお客さんの中でやれるので一番気合いが入る。無観客も経験しているし、お客さんの力はある程度感じている」

思い出の九州場所

貴景勝にとって、九州場所は思い出の場所だ。

初めて番付にしこ名が載ったのが9年前。

それが九州場所だった。

そして、十両優勝を果たして新入幕を確実にしたのも、幕内での初優勝を果たしたのも、やはり1年納めの縁起のいいこの場所だった。

「僕の相撲人生は九州場所から始まったし、毎年、九州に入るとその年のことを思い出す」と振り返る。

浮き沈みの多い1年に

九州場所を迎えるまで、ことしは浮き沈みの激しい1年になった。

1月の初場所で優勝したものの、横綱昇進を目指した3月の春場所ではひざを痛めて途中休場、子どものころからの夢は果たせなかった。

それでも9月の秋場所では4回目の優勝。

7月の名古屋場所を休場し、必死にコンディションを整えた狙いが奏功した。

苦しい時期を乗り越えながら初の2場所連続優勝を目指す立場で九州場所を迎えることができた。

(貴景勝)
「優勝2回させてもらって、休場も2回したので、自分の中ではことしは2勝2敗くらいの気持ちでやっている。今、上に向けた勝負ができていることはすごく感謝したい」

横綱に近づくために

「大関で2場所連続優勝」は日本相撲協会の横綱審議委員会が横綱に推薦する条件の原則となっている。

一方で昇進の議論を預かる審判部は、貴景勝が先場所、11勝4敗での優勝だったこともあり、今場所に横綱昇進がかかるかは明言していない。

横綱について「評価してもらえる相撲を取った先に最後の番付がある」と常々話している貴景勝。

夢の番付に近づくために、まずは自身初めてとなる2場所連続優勝を「節目の場所」で果たすことをただ、見据えている。

(貴景勝)
「きょう一生懸命やった人だけが次に進めるという気持ちで臨んでいる。やることはたくさんあるのでまた準備してきちっとやっていきたいし、勝負するだけだ」