藤井聡太八冠 「竜王戦」3連覇 今年度4つ目のタイトル防衛

将棋の八大タイトルの最高峰、「竜王戦」七番勝負の第4局が北海道で行われ、タイトルを持つ藤井聡太八冠(21)が、挑戦者の伊藤匠七段(21)に勝って4勝0敗とし、「竜王戦」3連覇で今年度4つ目のタイトル防衛を果たしました。

「竜王戦」七番勝負は、ここまで藤井八冠が3連勝とタイトル防衛まであと1勝に迫っていました。

第4局は10日に北海道小樽市で始まり、2日目の11日は後手の伊藤七段が前日の対局終了時に次の1手を書いた「封じ手」から再開し、伊藤七段が大駒の「飛車」を取ります。

しかし、その後伊藤七段はおよそ2時間半の長考を挟むなど持ち時間を減らす一方で、藤井八冠は相手の攻撃を的確に受けとめて持ち駒を増やし、形勢を有利にします。

粘る伊藤七段でしたが、藤井八冠が「と金」や「馬」などで追い詰めると、午後5時32分、129手までで投了しました。

この結果、藤井八冠が4勝0敗で七番勝負を制して「竜王戦」3連覇を果たし保持する8つのタイトルのうち「叡王」「棋聖」「王位」に続く今年度4つ目のタイトル防衛に成功しました。

一方、伊藤七段は、同い年の藤井八冠を相手に初めてのタイトル獲得を目指しましたが、白星をあげることはできませんでした。

藤井八冠は先月、史上初の八大タイトル独占を果たし、これまでに臨んだタイトル戦はいずれも制しています。

タイトルの連続獲得期数は「19期」となり、これは大山康晴十五世名人と並んで歴代1位の記録となります。

藤井八冠は年内のタイトル戦はすべて終え、来年1月以降「王将戦」などの防衛戦に臨みます。

藤井八冠「結果を出せたことはよかった」

対局のあと、藤井八冠は「中盤の難しい局面で方針が分からなくなり、苦しくしてしまったところもありましたが、そのあと受けに回ってチャンスの来る展開にできたのかなと思います。まだ実感はないですが、『竜王戦』3連覇という結果を出せたことはよかった」と振り返っていました。

また、今回の七番勝負の間に八大タイトル独占を果たし、心境の変化があったか聞かれると「全く意識せずにずっと第1局から同じ気持ちで臨めればと思っていました」と話していました。

一方、敗れた伊藤匠七段は「1日目から終盤戦になりましたが、相手玉への迫り方を間違えてしまいました。シリーズを通して自分の力不足が顕著になったと思います。藤井八冠の強さを感じて勉強になりました。これを糧に今後も精進していきたい」と話していました。

藤井八冠 会見で「純粋に対局に集中できた」

将棋の八大タイトルの最高峰「竜王戦」3連覇を果たした藤井聡太八冠(21)が記者会見し「大舞台を意識せずに純粋に対局に集中できた」と伊藤匠七段(21)とのタイトル戦を振り返りました。

藤井八冠は10日と11日の2日間にわたり北海道小樽市で行われた「竜王戦」七番勝負の第4局で挑戦者の伊藤七段に勝って4勝0敗で防衛を果たしました。

藤井八冠は対局を終えて記者会見し「第4局は苦しい局面もありましたが、シリーズ全体としては比較的うまく指せた将棋が多かったと感じています」と振り返りました。

そのうえで、伊藤七段との“同学年対決”について「伊藤七段とは子どものころに大会で対戦したこともあるので『竜王戦』という大きな舞台ではありましたが、あまりそういったことを意識せずに純粋に対局に集中できたと感じています。伊藤七段の強さを感じた場面も多く、今後も対戦すると思うのでこれからもしっかり取り組んでいきたい」と話していました。

また、タイトルの連続獲得期数が大山康晴十五世名人と並ぶ歴代1位の「19期」となったことについて「全く知りませんでしたが、大山先生に並ぶことができたのは光栄に思います。ただ、これまでのタイトル戦を振り返ると紙一重の中で結果が幸いしたものばかりだったと思うので、今後も記録は意識せずにタイトル戦に臨めればと思います」と話していました。