中国 チベット自治区についての白書 統治正当化し欧米けん制か

中国政府はチベット自治区についてまとめた白書を発表し、習近平指導部による統治を正当化して人権侵害などの批判をかわすとともに、欧米をけん制するねらいもあるとみられます。

中国政府はチベット自治区の少数民族政策の成果をまとめたとして北京で10日、記者会見しました。

チベット自治区をめぐっては、欧米諸国などから人権侵害や宗教の抑圧などの非難を受けていますが、白書では習近平国家主席をトップとする中国共産党の指導のもと「歴史的な成果をあげている」と強調しています。

このうち、住民1人当たりの可処分所得は去年までの10年間で3倍余りに増え「絶対的な貧困の問題は完全に解決された」としています。

また、チベット仏教など宗教については「中国化の方向性を堅持しなければならない」と強調した上で、中国政府の補助金で寺院周辺の環境が整備されているとしています。

一方、白書の英語版では地名について、2年前の白書では「Tibet」としていた表記を今回、「Xizang」と中国語の発音にもとづく表記にしています。

中国政府としては、習近平指導部による統治を正当化して人権侵害などの批判をかわすとともに、地名の表記を中国語の発音に基づくものにすることで内政だと強調し、欧米などをけん制するねらいもあるとみられます。

一方、白書では、インドに逃れているチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世について「反動的」と非難し、中国政府として国家の分裂につながる活動を徹底して抑え込む姿勢を示しています。