フィリピン “南シナ海で中国海警局の船から危険な妨害行為”

フィリピン政府は中国と領有権を争う南シナ海で10日朝、フィリピン軍の輸送船が中国海警局の船から放水銃を使った危険な妨害行為などを受けたとして中国政府に抗議したと発表しました。

フィリピン政府の国家安全保障会議は中国と領有権を争う南シナ海の南沙諸島、英語名スプラトリー諸島の海域で10日朝、軍事拠点に交代の兵員と補給物資を運ぶために向かった輸送船が中国海警局の船から放水銃を使った妨害や危険な接近を受けたとする声明を発表しました。

この声明でフィリピン政府は現場の海域について2016年の国際的な仲裁裁判の判断に基づき自国の排他的経済水域だなどとしています。

そのうえで「中国が対話を呼びかけながら違法かつ無責任な行動を組織的に一貫して行っていることは誠実さに疑問を投げかけ、大きな疑念を抱かせる」などと非難し、外務省を通じて中国政府に抗議したことを明らかにしました。

一方、中国海警局は10日、報道官の談話を発表し「中国は南沙諸島周辺の海域に争いのない主権を持っている」とするとともに「法律に基づいて取締り措置を講じた」と主張しました。

現場の海域では、ことし8月にも中国海警局の船がフィリピン軍の輸送船に放水銃を使用したほか10月には両国の船が衝突するなど、対立が深まっています。