えん罪被害者「人質司法」見直しを訴える

えん罪の被害者などが体験を語る催しが開かれ、容疑を否認すると逮捕後の勾留が長引くのは「人質司法」だとして見直しの必要性を訴えました。

えん罪被害者を支援する団体などが企画したこの催しにはおよそ190人が参加しました。

最高裁判所のまとめでは、2021年初公判までに保釈が認められた割合は
▽自白事件が26.3%なのに対し、
▽否認事件は12.2%で、否認事件のほうが勾留が長い傾向にあります。

催しでは大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪が確定した
▽元厚生労働事務次官の村木厚子さんと
▽元不動産会社社長の山岸忍さんが対談し、日本では容疑を否認すると証拠隠しや逃亡などを理由に勾留が長引くと批判しました。

村木さんは、「勾留中は『裁判も始まっていないのになぜ罰を受けるのだろう』という違和感がずっとあった」と話しました。

山岸さんは「沖縄に別荘があることやアメリカに娘が住んでいることを理由に逃亡のおそれがあるとされた」と振り返りました。

その後登壇した相嶋一登さんの父、靜夫さんは不正輸出の疑いで逮捕され、後に無実が証明されましたが、それを知る前にがんで亡くなりました。

一登さんは「父は逮捕・勾留されなければ4か月早く治療を始められたはずだ。検察官や裁判官はなぜ長く勾留を続けたのか」と述べました。

主催した「イノセンス・プロジェクト」の笹倉香奈事務局長は、「いわゆる『人質司法』とされる問題は長く指摘されているが解決していない。推定無罪の原則が守られるよう法律を変える必要があるのではないか」と話していました。