インフルエンザ患者数 引き続き増加 1医療機関当たり21.13人

インフルエンザについて11月5日までの1週間に全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり21.13人で、前の週から増加しました。

国立感染症研究所などによりますと、11月5日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は10万4359人で、1医療機関当たりでは前の週から1.45人増え、21.13人となりました。

このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から5万9000人多いおよそ73万3000人となっていて、ことし9月4日以降の累積の患者数は、およそ364万8000人と推計されています。

地域ごとでは、
▽山梨県が39.63人
▽埼玉県が34.84人
▽愛知県が34.62人
▽長野県が32.89人
▽福島県が32.66人
▽愛媛県が30.62人
と、6つの県で「警報レベル」とされる30人を超えたほか、37の都道府県で、「注意報レベル」の10人を超えました。

一方で、愛媛県や神奈川県、東京都など、10の都県で前の週より患者の数が減少しています。

また、年齢別では患者全体の6割近くが14歳以下の子どもだということです。

分析を担当している国立感染症研究所感染症疫学センターは、「患者の増え方はこれまでのところ、2009年のシーズンの動向に似ているが、流行がどこまで大きくなるかはさまざまなな要因で変化するため、推定することは難しい。引き続き、発生動向について注意深く監視を続けていく」としています。

各地で学級閉鎖相次ぐ

愛知県や岐阜県ではインフルエンザ警報が発令され、学年閉鎖や学級閉鎖になる学校が相次いでいます。

インフルエンザ患者の急増を受けて、愛知県と岐阜県は、それぞれ現在の基準で統計を取り始めてから最も早く、11月9日、インフルエンザ警報を発令しました。

愛知県内の公立高校では、9日の時点で、小学校2校と中学校1校のあわせて3校が休校になっています。

また、学年閉鎖も相次いでいて、小学校15校の18学年、中学校5校の6学年のあわせて20校24学年が学年閉鎖をしています。

さらに、学級閉鎖も、小学校87校の121クラス、中学校20校の36クラス、高校5校の5クラスの、あわせて112校162クラスにのぼっています。

このほか、一部の幼稚園や保育園でも閉鎖するクラスが出ているということです。

また、岐阜県でも子どもを中心にインフルエンザの感染が広がっています。

岐阜県によりますと、10日の時点で小学校14校、中学校5校、高校4校が、学級閉鎖などの措置をとっていて、1週間前に比べて2倍以上に増えているということです。

愛知県や岐阜県では、手洗いなどの感染対策の徹底や、症状がある場合にはマスクを着用すること、それに希望する人は早めにワクチンを接種することなどを呼びかけています。

小児科で患者が急増

名古屋市瑞穂区にある小児科のクリニックでは、2週間ほど前からインフルエンザと診断される患者が増えていて、10日も朝から発熱やせき、鼻水などを訴える子どもが次々に受診していました。

このうち16歳の男子高校生は、けさから39度を超える高熱と頭痛、体のだるさがあり、簡易キットでの検査で、A型のインフルエンザとわかりました。

クリニックによりますと、2週間ほど前の10月下旬から、インフルエンザと診断される患者が増え、多い日には20人近くにのぼっているということです。

クリニックには、インフルエンザのワクチンを接種する子どもも多く訪れていて、1歳半の双子を連れた母親は、「インフルエンザがはやっていると聞いて、かかる前にと思い、打ちに来ました。子どもたちはまだ一度もかかったことがないので、接種できて安心しました」と話していました。

「ひばりがおかこどもとアレルギーのクリニック」平林靖高院長は、「これから冬に向けて空気もより乾燥し、ウイルスにとってもいい環境になるので、さらに流行する可能性が高いと思う。新型コロナに対して行っていた『3密』を避けること、マスクと手洗いを徹底し、ワクチンの接種をできるだけ早く受けていただきたい」と話していました。

専門家 “冬場にさらに増加の見込み ワクチン接種が大事”

国内外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、インフルエンザの流行状況について、「患者の数は全国的に増加傾向が続いているが、ここ最近は暖かかったこともあり、増加のスピードは、緩やかになっている。ただ、これから気温が下がり本格的な冬場を迎える中で感染者の数はさらに増えていくとみられ、推移に注意する必要がある」と話していました。

その上で、「去年、水際対策や感染対策が緩和されたアメリカではインフルエンザの流行が例年よりも早い12月にピークを迎え、波の大きさも、例年よりも大きかった。ことしの日本はこれまでのところ、去年のアメリカと似たような増え方をたどっていて、ピーク時の患者数が、従来のレベル以上に増えることも想定しておくべきだ」と指摘しました。

そして、今後の注意点について、「インフルエンザについては過去2シーズン大きな流行がなく免疫が低下している人も多いので、インフルエンザのワクチン接種をすることが大事になる。その上で、手洗いや混雑する場所でのマスク着用、体調が悪いときには会食などへの参加を控えるなど、これまでの対策を続けることも重要だ」と話していました。