介護事業者の経営 特別養護老人ホームなどが赤字に 厚労省調査

介護事業者の経営状況について厚生労働省が調べたところ、光熱費の高騰でコストがかさんだ影響などで、昨年度は特別養護老人ホームなど、施設で介護サービスを提供する事業者の利益率が統計開始以降初めて赤字になりました。

調査は厚生労働省が3年ごとに行っていて、全国およそ1万6000の事業者から回答を得て施設や在宅などの種類ごとに収入から支出を差し引いた利益率を調べました。

それによりますと、昨年度のすべての介護サービスの平均の利益率は2.4%の黒字で、前回3年前と同じ数字で横ばいでした。

サービス別の利益率では、施設で介護サービスを提供する事業者の経営が厳しく、
▽特別養護老人ホームが、マイナス1%、
▽介護老人保健施設が、マイナス1.1%、
▽地域密着型の特別養護老人ホームも、マイナス1.1%で、
前回調査からそれぞれ2から3ポイント余り下がり、統計を取り始めた平成13年以降、初めて赤字となりました。

厚生労働省は「光熱費や水道代の高騰でコストがかさんだ影響で、介護施設の経営が厳しくなっている」と分析しています。

介護事業者に支払われる来年度以降の介護報酬については、改定に向けた議論が進められていて、厚生労働省は今回の調査も踏まえて決めることにしています。

また、人材流出をどう防ぐかが議論の焦点の1つとなっていて、国は介護職員に対して来年2月から月額6000円程度の賃上げを行うことを決めています。