日本のエースとして活躍してきた大迫勇也選手。
しかし、昨シーズンはけがに苦しみ、不本意な成績に終わっていました。
去年3月の試合で右足を負傷。
復帰はしたものの痛みは消えず、26試合の出場で7得点にとどまりました。
チームもJ1の残留争いが精一杯の13位。
さらに、代表入りが期待されていたワールドカップのメンバーにも選ばれませんでした。
大迫勇也「得点王より優勝を」 ヴィッセル神戸 J1初制覇へ
「優勝が欲しい。ことしは絶対に優勝しないといけない」
Jリーグ参入27年目のヴィッセル神戸を引っ張る大迫勇也選手(33)。
ここまで得点ランキングトップの絶対的エースは、チームの未来のために、J1初制覇へ強い覚悟で臨んでいます。
(大阪放送局 記者 山内司)
昨シーズンの挫折
大迫勇也選手
「いやもう大変でしたね。チーム状況も良くなかったので。なおかつ、個人もなかなかコンディションが整わず、チームに迷惑をかけているなという思いがずっとあったので。だからこそ今シーズンにかける思いはすごく強かった」
再起をかけた今季
復活を誓った大迫選手。
シーズンオフにはしっかりと休養をとったうえで、着実にトレーニングを積み、シーズン前のキャンプに臨みました。
シーズンが始まると、大迫選手は「堅守速攻」を掲げることしのチームで前線の起点となり、ゴール前では巧みな駆け引きで相手を制し、ゴールを量産。
今シーズンは2回、J1月間MVPに輝くなど、目覚ましい活躍で首位を走るチームを引っ張りました。
優勝に向け“周りを生かす”
しかし、激しい首位争いを繰り広げる中で迎えたリーグ後半戦。
対戦が2巡目に入り、対策を練ってきた相手は前線中央の大迫選手を徹底してマーク。
攻撃パターンが封じられ、苦しむ場面が増えました。
大迫勇也選手
「どのチームも僕がいる前線中央の守備をすごく固めてきて。やりにくさはありますけど、その分、サイドの選手が生きると思いますし。ほかの選手がフリーになるので、そこをうまく使っていくと、次は僕のところが空いてくるので、そういういい流れに持っていきたい」
若手の成長を後押し
大迫選手がマークされる中で、チームはエースに頼りきらない戦い方を模索してきました。
大迫選手自身もチーム力の底上げのため、練習、試合にかかわらず、若手選手と積極的にコミュニーションをとり、成長を促してきました。
大迫勇也選手
「ただ、勝ちたい。勝つために、もっとこうしてくれ、ああしてくれと言うようにしている。能力が高い選手は多いけど、なかなか力を発揮できていない選手が数多くいるなと感じていたので、うまく背中を押せるように心がけていますね」
刺激を受けた若手が結果を出したのが10月21日の鹿島アントラーズとの試合でした。
昨シーズンまでリーグ通算2得点だった24歳の佐々木大樹選手が前半16分、先制ゴールを決めました。
この時、喜ぶ佐々木選手に駆け寄った大迫選手がかけたことばが、「これで終わるな。続けろ」でした。
このあと後半38分、コーナーキックのチャンス。
相手が大迫選手を徹底してマークする中で、フリーだった佐々木選手がこぼれ球を振り抜き、プロ初となる1試合2得点で勝利に貢献しました。
佐々木大樹選手
「大迫選手のことばが力になりました。シュートを外したときには『その体勢では入らないよ』とか一つ一つのプレーに対してジェスチャーを使いながら、細かい部分まで親切に助言をくれたことで、ゴールをより意識できるようになったのですごく感謝しています」
このチームには優勝が必要
若手の成長でチーム力を増し、Jリーグ参入から27年目で初めての頂点を伺うヴィッセル。
大迫選手は今後のチームを支える若手選手のさらなる成長のためにも、今シーズンのタイトル獲得が必要だと考えています。
大迫勇也選手
「優勝というタイトルを手にすることで、自分たちがやってきたことが正しかったと証明され、若手選手はそれが自信になってもっと成長できると思う。これから先のヴィッセルにとってことしは絶対に優勝しないといけない。僕ももっと結果を出したいし、一緒に優勝を勝ち取りたい」
※11/10「ニュースウオッチ9」 11/9「ほっと関西」で放送