10月の鳥島近海震源地震 宮崎と鹿児島で震度1~2の揺れ発生か

先月9日、太平洋沿岸で津波が観測された東京 伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震について、気象庁は「T波」と呼ばれる海中を伝わる音波によって宮崎県と鹿児島県で震度1から2の揺れが発生していたとみられると発表しました。
またその3日前に同じ海域で発生した地震で伊豆諸島・八丈島の八重根では最大20センチの津波を観測していたことも分かりました。

気象庁によりますと、鳥島近海では先月上旬に地震が相次ぎ、5日には八丈島の八重根で、9日には伊豆諸島のほか小笠原諸島や関東から九州にかけての太平洋側の各地で津波を観測しました。

この地震の詳しい震源や発生原因は分かっていませんが、気象庁が「T波」と呼ばれる海中を伝わる音波の広がりの観測データを詳細に解析したところ、およそ1000キロ離れた宮崎県と鹿児島県で震度1から2の揺れが観測された時刻と音波の到達が同じだったということです。

具体的には9日の午前4時すぎから午前6時半ごろの間に、
▽宮崎県都農町で震度2を2回と震度1を8回、
▽宮崎県川南町で震度1を3回、
▽鹿児島県喜界島で震度1の揺れを2回、
▽宮崎県木城町で震度1の揺れを1回の、合わせて16回の揺れを観測していました。

データから、気象庁はT波によって宮崎県と鹿児島県の揺れが発生したとみられるとしていて、T波の到達で震度1以上の揺れが観測されたのは初めてです。

また、この地震の3日前に発生した鳥島近海を震源とするマグニチュード6.0の地震のデータの解析から、地震発生のおよそ1時間後に、八丈島の八重根で最大20センチの津波を観測していたことも分かりました。

当時、気象庁は20センチ以上の津波を予測した場合に発表する「津波注意報」の基準には達しない程度の津波の可能性があると発表していました。

地震から1か月余りたって津波の観測を発表したことについて、気象庁は「津波が起きていたことは当時、観測していたが、精密な分析で高さが20センチだと分かるまでに時間を要した」としています。

このほか
▽八丈島の神湊で5センチ、
鹿児島県の
▽中之島で8センチ、
▽南大隅町大泊で6センチの津波を観測していたことも明らかにしました。

このほか気象庁は、先月下旬に鳥島近海で発見、回収した軽石の一部について、専門機関で組成の分析を進めた結果、鳥島近海を含む伊豆諸島の海底にある岩石と似た特徴がある「流紋岩」と呼ばれる白色の岩石で、発生した可能性があると発表しました。

角が丸まっていないことや生物がほとんど付着していないことから、数か月以上の長期間にわたって漂流したものとは考えにくく、最近の火山活動で発生したものとみられるとしています。

一方、鳥島近海での地震との関連は分かっておらず、気象庁は「引き続き監視に努めていきたい」としています。