フィリピン 米など5か国と沿岸地域防衛など合同訓練 中国念頭

南シナ海で10月に、フィリピンと中国の船が衝突し両国の対立が深まる中、フィリピンは、アメリカや日本などとともに、沿岸地域の防衛などを想定した合同訓練を始め、中国を念頭に多国間の連携を深めるねらいがあるとみられます。

フィリピンが中国との間で領有権を争う南シナ海では、先月22日、フィリピン軍の輸送船と中国海警局の船などが衝突し、両国の対立が深まっています。

こうした中、フィリピンは、アメリカ海兵隊との合同訓練を9日から始め、日本のほか、韓国とイギリスも加わり、5か国から2700人余りが参加しました。

首都マニラで開かれた開会式で、フィリピン海兵隊の司令官は「私たちの結束は強固だと、平和を乱そうとする者たちに対して力強いメッセージを送ろう」とあいさつしました。

また、陸上自衛隊・水陸機動団長の梨木信吾 陸将補は「連携を深めて、インド・太平洋地域の平和の実現に積極的に貢献したい」と述べました。

合同訓練は、12日間にわたってフィリピン各地で行われ、南シナ海に面した複数の海岸で沿岸地域の防衛を想定した演習や、台湾に面した離島で人道支援などの手順を確認することにしています。

フィリピンとしては、海洋進出を強める中国を念頭に、アメリカの同盟国を軸に、多国間での安全保障の連携を深めるねらいがあるとみられます。