神田財務副大臣 過去の税金滞納認め陳謝 “引き続き職務遂行”

神田財務副大臣は過去に税金を滞納していたなどと週刊誌で報じられたことについて、9日の参議院の委員会で滞納の事実を認めたうえで、「深く反省している」と陳謝しました。また、自身の進退については、「引き続き職務の遂行に全力を傾注する」と述べました。

税理士資格を持つ神田財務副大臣は9日に発売の「週刊文春」で、自身が関係する不動産をめぐって、過去に税金の滞納を繰り返していたなどと報じられました。

神田財務副大臣は9日午前に開かれた参議院の財政金融委員会で、野党側からこの記事についてただされたのに対して、「私が代表取締役を務めている会社が保有する土地と建物について、税金の滞納により差し押さえを受けたことがあるのは事実だ。皆様方をお騒がせしていることを大変申し訳なく思う。この点について深く反省している」と陳謝しました。

そのうえで、神田副大臣は4回の差し押さえを受けたことを明らかにし、「国会議員としての職責を全うするところに比重があり、督促状などの文書については税理士事務所のスタッフに任せていた。業務が多忙で、そういった点を関知することができなかった。税は国民の義務であり、軽んじるつもりはなかったが、管理が行き届いていなかった」と釈明しました。

また、「副大臣の身を引くべきではないか」と問われたのに対し、神田副大臣は「これまで政治家としてなすべきことをなしてきたという自負はあるが、引き続き、職務の遂行に全力を傾注する所存だ」と述べました。

鈴木財務相「みずからしっかりと説明し疑念晴らして」

鈴木財務大臣は9日午後の参議院の財政金融委員会で、野党側から神田財務副大臣を罷免するよう求められたのに対し、「政治家が政治活動において疑念を持たれた場合、みずからの責任で必要に応じて適切に説明を行うことが重要だ。国民から疑念を持たれないよう神田副大臣がみずからしっかりと説明し、疑念を晴らしてもらいたい」と述べました。

松野官房長官 「説明責任果たすよう指示 立場ある自覚を」

松野官房長官は午後の記者会見で、「記事が出たあと、私から神田副大臣に対して記事の内容を精査し、責任を持って説明責任を果たすよう指示した。国民から税を納めていただく財務省の副大臣の立場にある者として、自覚を持って説明を尽くしてもらいたい」と述べました。

自民 塩谷元文科相 “「事実関係を明らかにして対応を」伝えた”

神田財務副大臣が所属する自民党安倍派の座長を務める塩谷元文部科学大臣は記者団に対し、「神田副大臣から電話で連絡があったので、『事実関係を明らかにしてしっかり対応してほしい』と伝えた。報じられた記事について具体的に何が事実で何が間違っているのか、はっきり伝えることが大事だ」と述べました。

自民 森山総務会長 「説明責任果たすことが一番大事」

自民党の森山総務会長は記者会見で、「徴税業務に影響が出ないようにしなければならないし、本人が『精査する』と国会で答弁しているので、今は政治家としての説明責任を果たすことが一番大事だ」と述べました。

立民 泉代表 「岸田総理大臣の聞く力や決断力が問われている」

立憲民主党の泉代表は記者会見で、「国民に適正な納税をお願いする立場の財務省のナンバー2が、何度も督促を受けながら滞納を続けていたことは『忘れていました』という次元ではなく、財務副大臣の資格が本当にあるのか。およそ適材適所とは言えず、即刻、辞任すべきだ」と述べました。

その上で、今後の国会審議への影響について、「このまま予算委員会で補正予算案の審議に入ることは到底考えられない。醜態をさらし続けることになり、国民からの批判もさらに高まる。国民は政府としてけじめをつけるかどうかを見ているので、岸田総理大臣の聞く力や決断力が問われている」と述べました。

立民 長妻政調会長 “『不適材不適所』では”

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で、「岸田総理大臣は政務三役の人事について『適材適所』と言っているが、『不適材不適所』ではないか。疑惑の段階だが、きちんとした説明ができなければ責任は免れないのではないか」と述べました。

また、立憲民主党の斎藤 参議院国会対策委員長は記者団に対し、「言語道断だ。多大な国民負担をこれからお願いしようという立場の中心にいる財務省の責任者の1人がこういう状況にあるのは許しがたい。即刻辞任すべきだ。本人は引き続き職務にあたると言っているが、岸田総理大臣は更迭すべきだ。適材適所どころかミスキャスティングの極みだ」と述べました。

そのうえで、参議院財政金融委員会で与党側が審議入りを求めている、金融商品取引法の改正案など2つの法案の審議への影響について、「現状では、説明責任を果たしたとは到底言えない。神田副大臣のもとでの審議は現実的に難しい」と述べました。

維新 馬場代表 「税に対する信頼や信用が非常に低下」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、「国民の立場からすれば、税は『取られている』という感覚を持つ人が多く、適正に納税していなかった人が役職につけば、税に対する信頼や信用が非常に低下する。岸田政権はなぜか、過去に問題のあった人を、そのセクションの監督官庁の役に就けているように見受けられるが、関連するトラブルが過去になかったかくらいはもう少し調べてもいいのではないか」と述べました。

公明 石井幹事長 「襟を正し 国会で説明を」

公明党の石井幹事長は記者会見で、「税金滞納は当然、好ましくないことだ。しっかり襟を正して、国会で説明を尽くしていただきたい。政治家の出処進退はみずから決めるものだと思っているのでコメントは控えたい」と述べました。