【9日詳細】イスラエル軍 “ハマスの拠点を新たに制圧”

ガザ地区に侵攻したイスラエル軍は8日、軍事作戦が始まって以降、イスラム組織ハマスが構築した地下トンネルの出入り口130か所を破壊したと発表しました。

※11月9日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

イスラエル議会 ハマスなどのネットコンテンツ日常的視聴を禁止

イスラエル議会では8日、インターネット上にイスラム組織ハマスなどが投稿しているコンテンツを日常的に見る行為を禁止する法改正が行われました。

改正された法律は、ハマスや過激派組織IS=イスラミックステートをテロ組織としたうえで、こうした組織によるテロの呼びかけや称賛、それにテロ行為を記録したコンテンツを日常的に見る行為を禁止するとしています。

一方、偶然見てしまったり、調査などの仕事で見たりするケースは除外されるということです。

法改正は有効な期間を2年間に限定しています。

違反すれば1年間収監されるとしていて、イスラエルのアラブ系の政党や人権団体からは言論の自由を侵害し、パレスチナ人の不当な取締りの強化をねらった法改正だと批判の声が出ています。

関係各国や国連機関が緊急会合 人道支援物資の搬入など協議

パレスチナのガザ地区で人道状況が極度に悪化するなか、関係各国や国連機関が緊急会合を開き、必要な人道支援物資の搬入やけが人の搬送について対策を協議しています。

この緊急会合はフランスの呼びかけでパリで開かれ、パレスチナ暫定自治政府や中東やヨーロッパ各国、アメリカや日本など、50余りの国と地域に加えて国連機関、それにNGO団体が参加しています。

冒頭、マクロン大統領が「ガザ地区の民間人は保護されなければならず、そこに交渉の余地はない。すべての関係者の善意を調整し状況の改善に取り組みたい」と述べました。

ガザ地区では住民が必要とする人道支援物資の搬入やけが人のガザ地区の外への搬送が遅れ人道状況は極度に悪化しています。

このため緊急会合では各国に財政支援を求めるほか、ガザ地区が面する地中海の海上航路を使って人道支援物資を届けたり、けが人を搬送したりできないか、議論が交わされる見通しです。

一方で、この緊急会合にはイスラエルは参加しておらず、このため、実効性のある対策が見いだせるかどうかは不透明な状況です。

イスラエル軍 “難民キャンプでハマスの拠点を新たに制圧”

ガザ地区の中心部に向けて地上侵攻を続けるイスラエル軍は9日朝、「10時間の戦闘をへてガザ市のすぐ北に位置するジャバリア難民キャンプでハマスの拠点を新たに制圧した」と発表しました。

これに対しハマス側も8日夜、SNSを通じて「各地でイスラエル軍の軍用車両あわせて16台を破壊した。歩兵部隊にも攻撃を行い損害を与えた」と投稿し、抵抗を続けていると主張しています。

OCHA “7万人余がガザ地区南部に退避”

イスラエル軍がガザ地区北部の住民に南部に退避するよう通告する中、OCHA=国連人道問題調整事務所によりますと、8日の一日だけで5万人余りの住民が南部に退避しました。

これにより今月5日以降、あわせて推定で7万2000人の住民がガザ地区北部から南部に退避したとしています。

一方で、OCHAはガザ地区北部には今も数十万人の住民が残っていて生きるために必要な最低限の水と食料を確保しようともがいているなど厳しい状況に直面しているとしています。

米政府 “米軍の無人偵察機がフーシ派に撃墜された”

アメリカ政府当局者は8日、アメリカ軍の無人偵察機「MQ9」がイエメン沖の紅海でイランの支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシ派に撃墜されたことを明らかにしました。

一方、フーシ派の報道官はSNSを通じて8日にアメリカ軍の無人偵察機「MQ9」を攻撃し、撃墜したとする映像を投稿し「イスラエルを支援するために、アメリカが行っていた偵察とスパイ活動を阻止した」としています。

フーシ派はガザ地区のハマスと連帯し、イスラエルに向けて弾道ミサイルやドローンを繰り返し発射していますが、これまでは大きな被害は確認されておらず、アメリカの無人偵察機を撃墜したのは今回が初めてです。

アメリカによるイエメンのフーシ派への反撃も予想され、中東地域で衝突が拡大することも懸念されます。

戦没者追悼の記念館の壁に死亡したイスラエル軍兵士などの名前

先月7日のイスラム組織ハマスの襲撃以降、戦闘で死亡したイスラエル軍の兵士などの名前がエルサレムにある戦没者を追悼する記念館の壁に刻まれました。

イスラエル軍によりますと、名前が刻まれたのはハマスとの戦闘で死亡した394人で、大半が兵士で、警察や情報機関の関係者も含まれるということです。

訪れた人たちは壁の前で立ち止まり、名前を指でなぞるなどして死を悼んでいました。

イスラエル南部で越境してきたハマスの戦闘員と戦って死亡した知人の名前を探しに来たという50代の男性は「われわれには、この悲しみを抱えて進むことしかできません」と話し、犠牲者がこれ以上、増えてほしくないとしつつも、ハマスを壊滅させるために戦闘の継続はやむをえないという考えを示しました。

記念館の担当者は「いまは安全のために戦わなければいけない時です。犠牲になった人たちが忘れ去られないようにしたいです」と話していました。

米有力紙 “戦闘休止でハマスが最大15人の人質解放で協議”

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは関係者の話としてイスラエルがガザ地区での戦闘を3日間、休止するかわりにハマスが最大15人の人質を解放する方向で協議が進められていると伝えています。

国連スタッフ 死者99人に

国連のデュジャリック報道官は8日の定例会見で、イスラエルとハマスの軍事衝突が始まった先月7日以降、ガザ地区で亡くなった国連スタッフは、さらに増えて99人になったと明らかにしました。

また、ガザ地区では7日、北部の病院に医薬品を運んでいた国連の車列が攻撃を受けたことを明らかにしました。

攻撃を受けたのは、ICRC=赤十字国際委員会の車両に伴われたWHO=世界保健機関などのトラック5台で、病院に医薬品を届けることはできたものの、トラックの運転手1人がけがをしたということです。

報道官は、誰が攻撃したのかはわかっていないとしています。

国連 “ハマス イスラエル軍ともに戦争犯罪”

国連人権高等弁務官事務所のトップ、ターク人権高等弁務官は8日、ラファ検問所を訪れたあと、会見を開きました。

先月7日のハマスによる奇襲攻撃を「凶悪で残忍だ」と指摘した上で、人質の拘束を続けていることも含めて「戦争犯罪だ」と非難しました。また、イスラエル軍による軍事作戦について「パレスチナの住民への集団的懲罰だ」と指摘し「退避を強制していることも含め戦争犯罪にあたる」と非難しました。

そのうえでターク人権高等弁務官は、民間人の人権を守るためいますぐ停戦が必要だと訴えました。

検問所 退避をめぐって混乱続く

南部にあるエジプトとの検問所では、今月1日から始まった外国籍の人などの退避をめぐって混乱が続いています。

8日にNHKガザ事務所のスタッフが撮影した映像では、大勢の住民がガザ地区側のゲートの前に詰めかけ、係員に状況を問い合わせていました。

しかし、午後3時ごろになって、けが人の搬送も、外国籍の人たちの退避も行われないと現地で説明されたということです。

一連の衝突でガザ地区の保健当局は8日、ガザ地区ではこれまでに1万569人が死亡し、このうち4324人が子どもだと発表しました。イスラエル側では少なくとも1400人が死亡していて、双方の死者は1万1900人を超えています。

イスラエルの複数メディア “戦闘休止など合意の見通し”

イスラエルの複数のメディアは8日、エジプトの仲介によって人道目的での戦闘の休止と一部の人質の解放について、近く関係する当事者が合意する見通しだと報じました。

アメリカをはじめ欧米各国からは人道目的での戦闘の休止を求める声が高まっていて、合意が実現するのか注目されます。

イスラエル軍 地下トンネルの破壊進める

イスラエル軍は主にガザ地区北部で、空爆や地上部隊による砲撃によって急ピッチで、地下トンネルの破壊を進めているものとみられます。

また、イスラエル軍はSNSを通じて、ガザ地区北部にとどまる住民に時間と経路を示して南部への退避を通告し、数千人の住民がこれに従ったと発表しました。

一方、多くの人が避難している病院にも攻撃の被害が出ているほか、燃料不足も深刻となる中、医療活動の継続が危ぶまれていて、国連によりますとガザ地区の入院設備のある医療機関の4割が閉鎖したということです。

ハマスの幹部「ネタニヤフ首相が人質解放を妨害」

イスラム組織ハマスの政治部門の幹部が8日に会見し、「停戦という条件が整えば、イスラエルの民間人と外国人は解放されるだろう」などと述べ、イスラエル側が停戦に応じれば人質を解放するとの考えを改めて示しました。

そのうえで「ネタニヤフ首相が外国人の人質の解放を妨害している」などと述べ、人質の解放が進まないのは、停戦に応じないイスラエル側に責任があるとの主張を展開しました。

米の副報道官 検問所の通行「安全上の理由で停止」

アメリカ国務省のパテル副報道官は8日、記者会見でガザ地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所の通行について「安全上の理由で停止されていると理解している」と述べ、エジプト政府やイスラエル政府と協力して対応にあたっていると説明しました。

パテル副報道官は、詳しい状況や具体的な通行再開のタイミングについては言及を避けましたが、「状況が改善すれば通行は再開される」と述べました。