南海トラフ巨大地震 評価検討会 “特段の変化は観測されず”

南海トラフで巨大地震が起こる可能性を評価する定例の検討会が開かれ、「特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

専門家でつくる検討会は、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。

巨大地震の想定震源域にあたる地域では先月以降、目立った地震はありませんでした。

一方、プレート境界付近で「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が
▽東海で9月30日から先月4日にかけてと、先月19日から23日にかけて
▽紀伊半島西部で先月11日から13日にかけて
▽四国東部で今月1日から観測されています。

これに伴って、周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測されました。

いずれも想定震源域のプレートの境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的ゆっくりすべり」が原因とみられます。

このほか
▽四国中部では2019年の春ごろから
▽九州南部ではことしはじめから地殻変動が継続的に観測され
それぞれ
▽四国中部周辺と
▽日向灘南部周辺のプレートの境界が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的ゆっくりすべり」が原因とみられます。

このうち、日向灘南部周辺のゆっくりすべりは収束しつつあり、「停滞」と評価されました。

これらの現象は繰り返し観測されていることから、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「いつ巨大地震が起きても不思議ではないため、これは安全情報ではない。家具の固定や避難経路の確認、家族と連絡を取る方法を確認してほしい」と呼びかけています。