ブリンケン国務長官「人道目的の戦闘休止が必要 G7全員一致」

アメリカのブリンケン国務長官は8日、都内で会見し、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突について人道目的の戦闘休止が必要だという考えを示すとともに将来的にはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平を目指すべきだと強調しました。

G7外相会合のあと、8日夕方、都内で記者会見したブリンケン国務長官は「G7はこれまでにない目的と行動の一致を示した。自由な世界、安全保障、われわれの価値観が厳しい挑戦に直面しているいまG7の結束はこれまで以上に強固で重要なものとなっている」と述べました。

【イスラエルとハマスの衝突について】

“人道目的の戦闘休止が必要”

イスラエルとハマスの衝突について「人道目的での戦闘の休止は、パレスチナの人々を保護し、継続的な人道支援を増やし、われわれの国民や外国人の退避を可能にし、人質の解放を促進するという重要な目標を前進させるものであり、われわれ全員が一致した」と述べ、人道目的の戦闘休止が必要だという考えを示しました。

“イスラエルとパレスチナ「2国家共存」和平目指すべき”

そのうえで「危機が去ったあとのガザ地区の統治については、パレスチナの人々の声や希望がくみ取られなければならない。そこにはパレスチナの人々による統治とヨルダン川西岸地区と1つになったガザ地区、そしてガザ復興のための持続的な仕組み、さらにイスラエルとパレスチナがそれぞれ国家をもって共存し、同じ安全や自由と尊厳を持つことが含まれなければならない。いまこそ、未来についての対話を始めるときだ」と述べ、将来的にはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平を目指すべきだと強調しました。

“戦闘終結後にガザ地区を再び占領しないことなどが重要”

具体的には「アメリカが重要だと考えるものは、パレスチナの人々を今も、そして戦闘終結後も、ガザ地区から強制的に避難させないこと、ガザ地区をテロの温床にしないこと、戦闘終結後にガザ地区を再び占領しないこと、再び封鎖しようとしないこと、ガザ地区の面積を縮小しないことだ」と述べ、イスラエルとの調整を続けていく考えを示しました。

“日本がテロを非難 人道支援を表明したことに感謝”

イスラエル・パレスチナ情勢に関連して「日本がテロを非難し、人質の解放を求め、7500万ドルの人道支援を表明したことに感謝している。私たちは、民間人の犠牲を最小限にし、ガザ地区への人道支援の流れを強め、衝突がほかの場所に広がるのを防ぐため何をすべきかといった重要な問題について、非常に生産的な議論を行った」と述べました。

【米中関係について】

バイデン大統領と習近平国家主席の会談「実現に向け取り組む」

一方、今月中旬に開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議にあわせたバイデン大統領と習近平国家主席の会談について、ブリンケン国務長官は「建設的な会談の実現に向けて取り組んでいるところだ」と述べました。

そのうえで「米中両国は、相互の関係を責任を持って管理していく義務があり、首脳間の関与が重要だと互いに認めている」と述べ、会談の重要性を強調しました。

“中国からの経済的威圧には屈せず経済面のリスクを軽減”

G7の中国への対応については「われわれは、共通する課題については中国と建設的に協力するが、相違点については明確かつ率直に取り組むことで合意した。中国からの経済的威圧には屈せず、経済面のリスクを軽減していく」と述べました。

【ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナについて】

「ウクライナはG7を頼りにしていい」

また、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナについて、ブリンケン国務長官は「G7はウクライナの支援を強化し維持することについて世界をリードしてきた。ウクライナは来年に向けて基盤を固めるためにG7を頼りにしていい」と述べ最大限抑止できる軍事力の構築や経済回復に向けて各国と永続的に支援を続けていく考えを示しました。

会見では、記者から「昼食の福島の海鮮はどうでしたか」と質問されると、ブリンケン長官は「本当に素晴らしかった。みんなにおすすめする」と笑顔で答える一幕もありました。