特別職の国家公務員給与引き上げ法案 “適切” 官房長官

特別職の国家公務員の給与を引き上げる法案について、松野官房長官は、民間に賃上げを波及させるためにも必要だとの認識を示すとともに、行財政改革の観点から、総理大臣は3割、閣僚は2割を返納することになっているとして、早期成立への理解を求めました。

松野官房長官「民間に準拠した改定を続けていくことが適切」

政府が今の国会に提出している特別職の国家公務員の給与を一般職に準じて引き上げる法案をめぐっては、総理大臣で年間46万円、閣僚で32万円増えることもあり、野党側から、物価高で厳しい状況に置かれている人が多い中、適切ではないなどと見直しを求める声が出ています。

松野官房長官は、午前の記者会見で「特別職の国家公務員には、総理大臣や閣僚のほかにも会計検査院長や人事院総裁、それに各種委員会の委員長など、さまざまあり、従来、一般職に準じて改定してきている。賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と考えており、早期成立をお願いしたい」と述べました。

そして、「総理大臣や閣僚の給与は、行財政改革を引き続き推進する観点から、総理大臣が3割、大臣・副大臣が2割、政務官が1割の国庫返納を申し合わせている。国民の不信を招かないよう努力を続けていく」と述べ、法案の早期成立への理解を求めました。

公明 高木政務調査会長「現場でしっかり議論していただきたい」

公明党の高木政務調査会長は、記者会見で「賃上げを後押しする減税や給付措置を行おうとしている中、総理大臣や閣僚の給与を上げなくてもいいのではないかという指摘はその通りだと思う」と述べ、野党の主張は理解できるという認識を示しました。その上で、政府が提出した法案の扱いについて「現場でしっかり議論していただきたい」と述べ、修正を検討すべきだという考えを示しました。

特別職の国家公務員の給与を引き上げる法案をめぐる野党側の動き

立民 安住氏 岸田首相らの給与引き上げ凍結修正案提出する考え

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「われわれは人事院勧告を尊重し、一般公務員の給与の引き上げは賛成だ。ただ物価高もあり、総理大臣や閣僚の給与が上がることは国民の理解は得られない」と述べました。

その上で、岸田総理大臣や閣僚などの給与の引き上げを凍結する修正案を、10日にも衆議院内閣委員会に提出する考えを示しました。

修正案では、引き上げを凍結する対象を、総理大臣や閣僚、副大臣、政務官などとし、当分の間、給与を現在と同額に据え置くほか、法律の規定で増額される国会議員のボーナスに当たる期末手当も据え置くとしています。

維新 藤田幹事長「給与を上げること 言語道断で受け入れがたい」

日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で「経済が少し上向きつつあるが、課題が山積する中で、総理大臣や閣僚の給与を上げることは言語道断で受け入れがたい。国家公務員の給与を全体としてフワッと数%上げるような人事戦略は構造的に考えなければならない」と述べました。日本維新の会は、人事院勧告をはじめ国家公務員の人事制度には課題があるとして、特別職だけでなく一般職の国家公務員の給与を引き上げる法案も反対する方向で調整を進めるとともに、総理大臣や政務三役の給与の据え置きに必要な法案を国会に提出したい考えです。

共産 穀田国会対策委員長「特別職については廃案が必要では」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「一般職の公務員は賃上げが追いついておらず、男女の格差も極めてひどいなどといった問題を解決するための努力が必要とされている。ただ、この時期に総理大臣をはじめとした特別職の給与を上げることはいけない。特別職については、給与の引き上げ法案を廃案にすることがけじめとして必要ではないか」と述べました。

国民 古川国会対策委員長「増額分を上乗せ返納すればいい」

国民民主党の古川国会対策委員長は記者会見で「このタイミングで給与を引き上げる法案を提出するのはいかがなものか。ただ、総理大臣は今も給与の3割を返納しているので、増額分を上乗せして返納すればいいだけの話だ」と述べました。