北朝鮮 “韓国のビラ散布は事実上の先制攻撃行為”

韓国の憲法裁判所が、北朝鮮に向けビラを飛ばすことを禁じる法律は憲法違反だとの判断を示したことを受け、北朝鮮は国営通信を通じて「ビラ散布は、事実上の先制攻撃行為だ」と強く反発しました。

韓国の憲法裁判所はことし9月、北朝鮮に関する法律のうち、ビラを北朝鮮に向けて飛ばすことなどを禁じる条文について、「表現の自由を過度に侵害する」などとして、憲法に違反するとの判断を示しました。

これについて北朝鮮は8日、国営の朝鮮中央通信の論評で「ビラ散布は高度の心理戦で、戦争の開始に先立って行われる事実上の先制攻撃行為だ」と強く反発しました。

北朝鮮は2020年に、韓国の脱北者団体がキム・ジョンウン(金正恩)総書記を批判するビラを飛ばしたことに対し、南西部ケソン(開城)にある南北の共同連絡事務所を爆破するなど反発してきました。

また、論評では、ウクライナ情勢やイスラエルとハマスの一連の衝突を踏まえ、「敵対的な心理戦が境界地域で行われる場合、ヨーロッパや中東で起きたような軍事的衝突が朝鮮半島で発生しないという保証はない」と強調しました。

韓国の通信社、連合ニュースは専門家の話として、今回の憲法裁判所の判断などを受け、「北は、韓国からの心理戦が本格化することを懸念しているのではないか」との見方を伝えています。