社会

コロナ5類移行半年 相次ぐ「後遺症」の相談 症状は?影響は?

新型コロナウイルスが感染症法上5類に移行されて8日で半年です。
現在の感染者数は減少傾向にありますが、感染したあとに倦怠感などの症状が続く「後遺症」の相談が相次いでいて、国や自治体では情報発信などの対策を強化しています。

目次

新型コロナの「後遺症」とは

新型コロナの後遺症についてWHO=世界保健機関は倦怠感などが少なくとも2か月以上続き、ほかの病気による症状として説明がつかないものなどと定義しています。

症状は、けん怠感や集中力低下、脱毛、嗅覚・味覚障害など多様で、詳しい原因や患者数もわかっていません。

国の研究班がことし9月に公表した調査報告では、3つの自治体で新型コロナに感染した成人の1割から2割余りが「倦怠感などの症状が2か月以上続いた」と回答していて、国内でも多くの人が後遺症に悩まされていることが明らかになりました。

新型コロナの後遺症では、長引く症状で学校や仕事に行けなくなるケースもあり、日常生活への影響は深刻です。

厚生労働省は、多くの医療機関に患者の受け入れを促すため来年3月までは後遺症の診療にあたる医療機関に支払われる診療報酬を加算しています。

各地の都道府県では、診療にあたる医療機関の情報をホームページに掲載していて、先月末時点で、全国およそ9000か所のクリニックや大学病院などの医療機関で、患者を受け付けているということです。

厚生労働省は、「後遺症の症状は十分には認知されていない。実態把握を進めながら、後遺症で悩む人が適切な医療を受けられるよう努めていきたい」としています。

「後遺症」専門外来を開設 岡山大学病院

岡山大学病院は、おととし、総合病院では全国で2番目に新型コロナの「後遺症」専門の外来を開設しました。

地域のかかりつけ医などを受診したものの症状の原因が分からない人などが県内外から訪れるといい、血液検査やCT検査などを行ってほかの病気の可能性についても調べたうえで、総合的に診断を行っています。

岡山大学病院がおととしの2月15日から今月2日までに「新型コロナの後遺症の疑いが強い」と診断した818人が訴えた症状を複数回答で集計したところ、
▽けん怠感が61%(497人)
▽頭痛が22%(183人)
▽睡眠障害が21%(173人)
▽嗅覚障害が18%(151人)
▽「呼吸困難感」が18%(145人)
▽味覚障害が17%(142人)
▽集中力低下が11%(94人)
▽脱毛が11%(89人)
▽「がいそう(咳)」が11%(87人)
▽めまいが9%(72人)
▽「易疲労感」が8%(69人)
▽「どうき」が7%(59人)
▽微熱が6%(50人)でした。

また、記憶障害や集中力が低下する「ブレイン・フォグ」の症状を訴える人の割合が、去年から流行したオミクロン株ではそれ以前の株と比べて多い傾向にあるといいます。

このほか、年代別では40代が24%で最も多く、次いで50代が19%、30代が17%と、働き盛りや若い世代が多いということです。

「後遺症」で会社を休む人も

学校や会社を休むなどの影響が出ている人もいるといい、このうち、思考力の低下やけん怠感などの症状で受診している49歳の女性は企業の管理職として働いていましたが、治療に専念するためことし7月から休職をしているといいます。

ただ、「後遺症」は治療法や特効薬が確立していないため現在は複数の薬を服用しながら経過を観察していて、回復傾向にあるものの休職期間の2年間で復職できるか不安を抱えているといいます。

女性は「後遺症に苦しむ人がいることを知ってほしい。後遺症で悩む人が専門の医療機関にいち早くたどりつくための情報提供の支援がより一層必要だと思います」と話していました。

「後遺症」専門外来を初診で訪れた人は

今月、岡山大学病院にある新型コロナの「後遺症」専門外来を初診で訪れた高知県に住む46歳の会社員の男性は、去年11月に感染をしてからけん怠感やめまいなどが続き、月に数日は仕事を休む状況が続いているといいます。

病院では、緊急性の高いほかの病気の疑いがないか確認するために、複数の専門の医師による問診に加え、血液検査やMRI検査を一日がかりで受けました。

そして、ほかの病気が見つからなかったため「後遺症」の疑いが強いと診断され、症状をやわらげる薬が処方されたほか、生活習慣などの指導を受け、今後さらにCT検査などを行うことになりました。

男性は「かかりつけの病院で薬をもらっていたが治らないので早く少しでもよくなればという思いで車で5時間かけて来ました。小さい子どもと一緒に外で遊んであげることもできない。コロナの後遺症と聞けて気分的には楽にはなれましたがいつ治るか不安です」と話していました。

岡山大学病院総合内科・総合診療科の大塚文男教授は「第9波で感染した人もすでに少しずつ訪れている。後遺症は特別な病気ではなくて、この冬以降も新型コロナに感染すれば後遺症になる可能性はある。今後はどの医療機関でも通常の診療の中で後遺症を診療できる体制を求めていきたい」と話していました。

「後遺症」の支援策 厚労省HPで公表

厚生労働省は後遺症が疑われる場合、まずはかかりつけの医師や地域の医療機関を受診してほしいとしています。

また、各地の都道府県では、後遺症に対応することができる医療機関をホームページなどで公表しています。

後遺症は症状によっては生活に大きな影響を与えることも少なくなく、必要に応じて支援制度を活用することができます。

厚生労働省は主な支援策をホームページで公表しています。

《「後遺症」主な支援制度》

労災保険

仕事や通勤が原因で新型コロナに感染し、その後遺症で療養が必要などと認められる場合には、労災保険の給付の対象になります。

詳しくは職場のある地域を管轄する労働基準監督署に相談してください。

健康保険

仕事や通勤以外の原因で新型コロナに感染し、仕事をすることが困難になった場合、仕事に就くことができなかった期間などの要件を満たせば健康保険制度を活用して傷病手当金が支給されます。

支給を受ける要件や申請の手続きなどについては加入している健康保険組合などに相談してください。

障害年金

後遺症によって日常生活が著しく制限を受けるなどしている場合、法令で定められた障害の程度などの要件を満たせば、障害年金の対象となります。

地域の年金事務所のほか、相談窓口に電話で問い合わせることができます。番号は0570-05-1165です。

身体障害者手帳

後遺症の症状によって視覚や聴覚、声に障害のある状態になった場合などには、要件を満たせば身体障害者手帳が交付されます。

申請方法など詳しい情報は各地の市区町村の担当部署に相談してください。

精神障害者保健福祉手帳

後遺症によって一定程度の精神障害の状態にあると認定された場合には、要件を満たせば精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

申請方法など詳しい情報は各地の市区町村の担当部署に相談してください。

生活困窮者自立支援制度

就労や住まいなどに関する生活の困りごとに対しては、地域の自立相談支援機関が相談に応じています。

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。