“ゼロゼロ融資” など697億円回収不能 コロナ対応特別貸付

実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」など、新型コロナに対応した特別貸付の状況を会計検査院が調査した結果、回収不能となった貸付債権が697億円に上っていることが初めて分かりました。さらに実質的に回収不能に陥っている債権を合わせると1900億円余りに上り、検査院は政府系金融機関に債務者の状況把握を適切に実施するよう求めています。

政府系金融機関の商工中金と日本政策金融公庫は、一定の条件のもと新型コロナの影響を受けた中小企業を対象に、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」などの特別貸付を行っていて、昨年度末までの貸付実績は118万件余り、19兆4365億円に上っています。

この貸付状況を会計検査院が調査したところ、昨年度末時点で、
▽5兆582億円が返済された一方、
▽7291件、697億円が回収不能と判断され、「償却」されたことが分かりました。

残りの債権の状況をみると、
▽13兆5064億円は融資先の経営状況に問題がない「正常債権」でしたが、
▽倒産などの危険がある「リスク管理債権」とされた債権が8785億円、
▽実質的に回収不能となっている「部分直接償却」が1246億円でした。

「償却」と「部分直接償却」を合わせると、1943億円が事実上回収不能となっていることが初めて分かりました。

「償却」や「リスク管理債権」の金額は年々増加しているとして、会計検査院は政府系金融機関2社に対し、引き続き債務者の状況把握を適切に実施するよう求めています。

商工中金と日本政策金融公庫は「引き続き適切な業務運営に努めてまいります」などとコメントしています。