コロナ対策関連事業 220億円余の不適切支出を指摘 会計検査院

国の予算の使われた方を調べる会計検査院が昨年度の報告書をまとめ、新型コロナ対策に関わる事業で合わせて220億円余りの不適切な支出などが見つかったと指摘しました。

会計検査院の昨年度の予算の検査報告書は、7日岡村肇院長から岸田総理大臣に提出されました。

報告書で不当な支出や改善が必要だと指摘された金額は、333件合わせて580億円余りに上り、このうち新型コロナ対策関連では9省庁などが行った事業で87件、220億円余りが指摘されました。

具体的には、感染対策などに取り組む自治体のための「地方創生臨時交付金」による物品配布などに関する事業が最も多い112億円余り、インターネットの利用が難しい地域の環境整備事業の補助金34億円余りがすでに明らかになっています。

ほかにも、都道府県の医療提供体制の整備などを支援するための厚生労働省の交付金で、補助額の上限を超えたり対象外の支出があったりして、およそ5億4000万円が過大に支出されていたと新たに指摘されました。

一方、新型コロナ関連では、2020年度だけでも支出が5兆5000億円余りと、最大規模の支援策となった「持続化給付金」も調べていて、2020年までに受給した個人事業者263万人から抽出し所得税の申告状況を確認しました。

その結果、およそ8900人のうち受給額を収入に計上していないとみられる人が5%近くいたとして、会計検査院は適切に納税されていないケースが一定数あるとみています。

今回の報告書について、岡村院長は「社会経済の動向や財政の現状を踏まえ、国民の関心の高い事項も含め多角的な着眼点から指摘や問題提起をした。今後も国民の期待に応える検査に努めていきたい」とコメントしています。