寄付は届くの?イスラエルとハマスの衝突から1か月【QAで】

イスラエルとイスラム組織ハマスの一連の衝突から7日で1か月となりました。「日本から何かできることはないか?」と考えている人もいるのではないでしょうか。

パレスチナのガザ地区に住む子どもなど、困っている人への支援について調べました。

支援は届く?

パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍が地上侵攻も始まり、双方の死者は1万1000人を超えています。

避難所として使われている学校で爆発があるなど、子どもの犠牲も多く出ています。

こうした状況でも支援はきちんと届いているのでしょうか。

ガザ地区で障害がある子どもや家族への支援などを中心に行う団体に話を聞きました。

「支援は届きます」パレスチナ子どものキャンペーン 田中さん

1986年にパレスチナで難民の支援を開始した認定NPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」の田中好子事務局長です。

ガザ地区初のろう学校「アトファルナろう学校」を現地の開校するなど、中東の子どもたちの支援を続けてきました。

Q.現在はどのような支援をしている?

A.
ガザの中部と南部ではろう学校の生徒など、障害者のいる世帯に食料品や服などの物資を支給しています。

南部のハンユニスに2006年に開設した「ナワール児童館」では軍事衝突が始まってから避難民を受け入れていて、そこでは1世帯当たり日本円で1万円から2万円を電子マネーで給付しています。

当面の目標は1000世帯、およそ1万人に現金送付することです。

このほか子どもたちが避難所でストレスを解消できるよう、レクリエーション活動を通じて心理サポートを行っています。

現地での支援の様子

Q.現地のスタッフとは連絡が取れている?

A.
現地には5人ほどのスタッフがいて、携帯電話で連絡が取れていますが、リアルタイムですぐにやりとりができるわけではありません。

通信網が遮断されることがあったり、携帯の充電をしないといけないからです。

スタッフは通信ができた時点でテキストやボイスメッセージを送ってきてくれます。

スタッフ全員がガザ地区南部に逃げていて、ほとんどの人が家を失いました。

中には家族を失った人もいます。

自分たちも大変な状況のなか、避難者の支援に奔走している状態です。

Q.支援金はきちんと現地に届く?

A.
30年以上にわたって培ってきたルートを使い、これまでのところは送金ができています。


私たちは現地の銀行に口座を持っているので、日本からの寄付が集まった段階で送金するようにしています。

金額的には3000円の寄付で飲料水、5000円でパンや乾物、1万円で水・食料・日用品、1万5000円で大家族の1週間の生活を支えることができます。

1家族30人という大家族もいて、物資を分け合いながらなんとか耐えている状況です。

引き続き支援が必要になっています。

ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所を通して、エジプト側から医療機材などを入れられないかも検討しています。

本当に必要なことは即時停戦ですが、軍事衝突が続いているので、避難者のライフラインを支える活動を続けないといけません。

「応援している」というメッセージが届くことも励みになります。

できる範囲で支援をお願いできれば。

電話:03-3953-1393(平日午前10時~午後5時)

「決してむだにはしない」聖地の子どもを支える会 井上代表

また、1990年代からエルサレムやベツレヘムの学校に通う子どもの支援や、イスラエルとパレスチナの若者と日本の学生の国際交流などに取り組んできたNPO法人「聖地の子どもを支える会」の井上弘子代表にも話を聞きました。

Q.今はどんな支援活動を?

A.
ふだんは教育支援を中心に行っていますが、今はとにかく「命を守る」ために必要な支援の準備を進めています。

具体的には、信頼のおける現地の人道支援組織に支援金を届けることです。

現地スタッフなどからの情報では、水や食料、それに寝る場所もままならない状況がガザ地区では続いています。

本格的な冬を迎えることから、毛布1枚の支援も必要としています。

交流があったガザ地区の若者たちとやりとりを続けていますが、通信状況も悪いこともあり、連絡が取れたり取れなかったりといった状況が続いています。

この数日連絡がつかない若者もいて、安否が気がかりです。

ガザ地区では今、命の危険と隣り合わせの異常な状況が続いていて、支援をどうにか届けられたらという思いです。

Q.支援は現地に届く?

A.
この事態になる前から、中東では支援金の多くが、必要な人に届く前に途中でどこかに消え、支援を求める人に届きにくいという現実がありました。

このため支える会では、確実に支援が届くよう、数十年の付き合いがある人道支援組織に支援金を送ることにしています。

この組織はガザ地区にも拠点を持ち、現地での支援活動も行っていて、支援を必要とする人たちに届けてもらうことができます。

今のところ、この状況下でも送金ルートは確保できています。

寄付いただいたお金は決してむだにはならない、しないよう努めています。

ホームページに窓口を設けているのでどうか、支援をお願いしたいと思います。

電話:03-6908-6571(平日午前10時~午後6時)

寄付を受け付けている団体の一覧

パレスチナやイスラエルでの支援活動のため寄付を呼びかけている団体です。

日本赤十字社

「イスラエル・ガザ人道危機救援金」として寄付を受け付けています。現地で活動するパレスチナ赤新月社やイスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字)などの救援・復興支援活動などに充てられます。

具体的には、負傷者の搬送や救急医療の提供、病院での負傷者や避難民の受け入れと物資の配付、飲料水インフラの整備の救急修理などに使われます。

電話:03-4363-2056(平日午前9時~午後5時半)

国境なき医師団

国境なき医師団では、医療物資の提供と負傷者の治療の2つの活動を現地の病院と協力しながら行っています。

ガザの主要病院に医薬品、消耗品、医療機器などを寄贈しています。特に麻酔薬や鎮痛剤が非常に不足してきているという情報が入っています。

負傷者の治療では、複数の支援先の病院に、やけどや外傷を手当てするため外科手術のチームを派遣。ガザ中心部に負傷者のためのクリニックも設置しました。こうした活動を行う「緊急チーム」への寄付を呼びかけていて、寄付はガザ地区に限らず、緊急チームの活動全般の資金に充てられます。

電話:0120-999-199(平日午前9時から午後6時)

日本ユニセフ協会

日本ユニセフ協会は「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。一部のスタッフがガザに残り、活動を行っています。

安全な飲み水の確保や保健キットの配布などを行っているほか、シェルターなどの避難所にトイレなどを提供しています。

また、専門の訓練を受けたスタッフが子どもの心理面のサポートも行っています。

電話:0120-88-1052(平日午前9時~午後5時)

ピースウィンズ・ジャパン

「パレスチナ・ガザ緊急支援」として寄付を受け付けています。

支援金は、ガザ地区内で支援活動を行うパートナー団体に届けられます。各地で支援金を使って食料、衛生用品、温かい食べ物をはじめとした物資を調達して配布しています。

ガザ地区には2人のスタッフがいて、物資配布のモニタリングや配布場所・内容物の提案、情報収集などを行っています。

電話:0120-252-176(平日午前10時~午後5時)