9月の中国向け水産物輸出額 前年同月比90%余減 輸入停止受け

東京電力福島第一原発の処理水の放出に反発して中国が日本産の水産物の輸入を停止するなか、農林水産省は7日、ことし9月の中国向けの水産物の輸出額が前の年の同じ月を90%余り下回ったと発表しました。

農林水産省の発表によりますと、ことし9月の中国向けの水産物の輸出額は前の年の同じ月を90.8%下回って8億円となりました。

中国は日本からの去年1年間の水産物の輸出額が871億円と、最大の輸出先でしたが、福島第一原発の処理水の放出が始まったことし8月下旬から日本産の水産物の輸入を停止したことが影響したということです。

品目別では主力のホタテやナマコ、マグロなどは輸出がゼロとなり、真珠やサンゴ、にしきごいといった食用ではない品目の輸出にとどまりました。

一方、ことし1月から9月までの農林水産物と食品の輸出総額は、前の年の同じ時期より5.8%多い1兆531億円となりました。

アメリカなどへの輸出が堅調で、中国向けの輸出の落ち込みを補っているということで、1兆円の大台を超えるのは、去年よりも1か月早く、これまでで最速のペースだということです。

農林水産省は引き続き新たな輸出先の開拓の支援などに取り組んでいくことにしています。

宮下農相 “中国に輸入規制のすみやかな撤廃求める”

福島第一原発にたまる処理水の海への放出がことし8月下旬に始まったあと、最大の輸出先である中国は、日本産の水産物の輸入を停止しています。

宮下農林水産大臣は閣議のあとの会見で「輸出の減少は、中国の輸入禁止措置の実施によるものだ」と述べ、中国政府に対し引き続き、輸入規制のすみやかな撤廃を求めていく考えを示しました。

一方、ことし1月から9月までの農林水産物と食品の輸出額の総額は、アメリカなどに向けた輸出が好調で、去年よりも1か月早い過去最速のペースで1兆円を超えたことも明らかにし、新たな輸出先の開拓の支援などに取り組んでいく考えを強調しました。