【5日詳細】イスラエル閣僚 “核投下も選択肢” 国内でも批判

ガザ地区でイスラエル軍とイスラム組織ハマスによる戦闘が続く中、アメリカのブリンケン国務長官は5日、ヨルダン川西岸のラマラを訪れ、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と会談しました。

※11月5日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

会談のあと、アメリカ国務省は声明を発表し「ブリンケン長官は、ガザ地区における人道支援の提供と必要不可欠なサービスの再開に向け、アメリカが関与していくことを再確認した」として、ガザ地区への人道支援に努める姿勢を示しました。

そのうえで「パレスチナとイスラエルの人々の尊厳と安全を同様に向上させることに力を尽くしていくことを改めて確認した。パレスチナ国家の樹立という正当な願いの実現に向けてアメリカが努めていくと表明した」としています。一方、ロイター通信は、パレスチナ暫定自治政府の報道官の話として、アッバス議長は、ブリンケン長官に対し、即時停戦を訴え、ガザ地区への援助を求めたと伝えています。

ラファ検問所 ガザ地区からのけが人搬送など停止

エジプトの赤新月社の関係者は、5日、NHKの取材に対して、ラファ検問所を通じたガザ地区からエジプト側へのけが人の搬送と外国籍の人の退避が4日から停止していると明らかにしました。これについて赤新月社の関係者は「ハマスがけが人の安全な搬送経路が確保されない限り外国人の退避を許可していないからだろう」としていて、ガザ地区で3日午後に2台の救急車がミサイル攻撃を受けたあと、ハマス側が外国籍の人の退避についても停止させているとの認識を示しました。

ガザ地区「病院近くに攻撃」パレスチナ赤新月社が投稿

ガザ地区でイスラエル軍による激しい空爆や地上部隊による攻撃が続く中、パレスチナ赤新月社は5日、ガザ市のテルアルハワ地域で「病院からおよそ50メートル離れた建物が標的になり、多数の犠牲者が出ている」とSNSに投稿しました。

パレスチナ赤新月社が旧ツイッターの「X」に投稿した動画では、崩れた建物とみられるがれきの周りに多くの人が集まっている様子や担架に乗せられたけが人が次々と運び込まれる様子が確認できます。

また、この攻撃によって病院のICU=集中治療室にいる患者がけがをしたということで、投稿された写真には、病院内にガラスの破片のようなものが散乱している様子が写されています。

都内でガザ地区への攻撃中止 即時停戦求めるデモ行進

イスラエル軍によるガザ地区への攻撃が激しさを増す中、5日、都内で攻撃の中止と即時停戦、平和の実現を求めるデモ行進が行われました。

このデモ行進は市民団体の呼びかけで行われたもので、主催者側の発表でおよそ1600人が参加しました。参加した人たちは「いますぐ停戦を」とか「パレスチナに平和を」などのプラカードや旗を掲げ、イスラエル軍の攻撃の中止や即時停戦、平和の実現などを訴えながら東京・千代田区の日比谷公園から東京駅までの間を40分ほどかけて行進しました。

イスラエル軍 ガザ地区住民に2日連続で退避呼びかけ

イスラエル軍は現地時間の5日午前10時から午後2時までの4時間、ガザ地区を南北に貫くサラハディン通りを開放すると2日連続で発表し、住民に南部への退避を呼びかけていて、住民の犠牲を減らす姿勢をアピールしています。

ただイスラエル軍は4日、退避経路を確保しようとしていたイスラエル兵に、ハマスが砲撃し退避を妨害したとして強く非難しているほか、時間も4時間と限られるため、どれだけの住民が応じるかは不透明です。

イスラエル閣僚 ガザ地区“核投下も選択肢” 国内でも批判あがる

イスラエルの閣僚のひとりがラジオのインタビューでパレスチナのガザ地区に核爆弾を投下するべきかを問われ「選択肢のひとつだ」と述べ、イスラエル国内から批判の声が上がっています。

発言をしたのはイスラエルの極右政党「ユダヤの力」からネタニヤフ政権に入閣しているアミハイ・エリヤフ エルサレム問題・遺産相です。

イスラエルのメディアによりますとエリヤフ氏は5日、ユダヤ教超正統派のラジオ局に出演した際「我々はナチスに人道支援を行うつもりはない。ガザ地区にハマスに関わっていない者などいないからだ」と述べ、人道支援を行うべきではないと持論を展開しました。

これを受けてラジオ番組の司会者から「そうであれば、核爆弾を使うべきだと考えるか」と問われ「それは選択肢のひとつだ」と述べました。

さらに司会者が「ガザ地区に240人以上の人質がとられていてもか」と問うと「彼らの帰還を願っているが、戦争には代償も伴う」と述べたということです。

発言はイスラエルのメディアも速報で報じ、ネタニヤフ首相は「エリヤフ氏の発言は現実からかけ離れている。イスラエル軍は罪のない人に危害を加えることがないよう国際法を最も厳しい水準で順守している」と批判しました。

そのうえでエリヤフ氏を閣議に当面、出席させない措置をとりました。

アラブ系メディア “難民キャンプが空爆受けた”

住民の犠牲は増え続けていて、複数のアラブ系メディアは、ガザ地区中部にあるマガジ難民キャンプが4日夜にイスラエル軍による空爆を受けたと伝えています。

このうち、衛星テレビ局のアルジャジーラなど複数のメディアは現地の保健当局の話として40人以上が死亡したと伝えていて、現地からの映像では一面がれきとなった現場に、多くの人が集まって救助活動を行う様子が確認できます。

イスラエル軍 “2500か所以上のハマス拠点を攻撃” 映像公開

イスラエル軍の地上部隊は、ガザ市を包囲しながら市街戦を続け、ハマスへの攻勢を強めていて、5日には地上作戦の開始以降、2500か所以上のハマスの拠点を攻撃したと発表しています。

5日に新たに公開した動画では大勢の兵士や戦車などが展開し、市街地で戦闘を続ける様子が写されています。

OCHA “ガザ地区で150万人近く避難”

OCHA=国連人道問題調整事務所の4日の発表では、ガザ地区で150万人近くが避難を余儀なくされていて、避難先での劣悪な衛生環境が問題になっているとしています。

このうち、半数近い71万人余りがおよそ150あるUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の施設に、12万人余りが病院や教会などに、10万人余りが学校にそれぞれ避難しているなどとしています。

避難所では、水をくみ上げるための燃料が限られたり、衛生関連のインフラが損傷したりしているほか、避難している人たちの間で呼吸器感染症が広がるなど、健康面でのリスクも高まっているとしています。

またガザ地区南部では、避難所の収容能力を超えているため、新たに避難してきた人たちを受け入れることができなくなっていて、多くの人たちが施設近くの路上で寝泊まりしているということです。

さらに、イスラエル軍が攻勢を強め退避を呼びかける北部でも、推定で16万人がガザ市内のUNRWAの施設などにいるとみられるものの、正確な情報は入手できていないとしています。

ハマスの軍事部門 “車両10両を破壊” 映像公開

イスラム組織ハマスの軍事部門、カッサム旅団は4日、SNSを通じて、戦闘員がガザ地区北部でイスラエル軍と衝突し、車両10両を破壊したとする映像を公開しました。

11月2日から3日かけて撮影されたとする映像には、ハマスの戦闘員が、複数の場所でイスラエル軍の戦車などに対戦車砲を発射する様子が写っています。

いずれも市街地で撮影されたものとみられ、戦闘員が物陰や鉄柵のすき間から狙いを定める姿や、車両のすぐ近くまで近寄って攻撃し、爆発で辺りが煙に包まれる様子が確認できます。

また、戦闘員がイスラエル軍の車両によじ登り、火をつけたあと、緑色のハマスの旗をとりつけて立ち去る様子も写っています。

人質の解放求める最大規模の集会 イスラエル

イスラエル最大の商業都市テルアビブでは、イスラム組織ハマスにとらわれた人質の家族や支援者らが、人質の解放を求める大規模な集会を開きました。

主催した団体によりますと集会には過去最大規模の1000人以上が集まり、人質の顔写真を大きく載せたポスターを持った人たちが、会場を埋め尽くしました。

参加者は「いますぐ人質を解放しろ」とシュプレヒコールをあげたり、イスラエルの国歌にあわせてスマートフォンの明かりをかざしたりしながら、人質の一刻も早い解放を訴えていました。

兄とおいを人質にとられている女性は、「2人のことを考えると夜も眠れず、食事ものどを通りません。政府には、どんな代償を払ってでも人質を取り戻してほしいです」と話し、人質解放のためにはイスラエル側の譲歩もやむを得ないという考えを示しました。

イスラエル軍の参謀総長 ガザで部隊視察 映像公開

イスラエル軍は4日、ハレビ参謀総長がガザ地区に入り地上部隊を視察している様子だとする映像を公開しました。

ヘルメットをかぶり銃を携えたハレビ参謀総長は、護衛の兵士に囲まれながら部隊をまわったあと、集まった将校らを前に「あなたがたのことを誇りに思う」などと激励していました。

各地で停戦求めるデモ バイデン政権非難も

イギリス
イスラエルがガザ地区への攻撃を続けるなか、4日、イギリス国内のおよそ60か所で、即時停戦を求めるデモが行われました。
このうち、ロンドン中心部のトラファルガー広場には、主催者の発表でおよそ5万人が集まりました。
参加者たちはパレスチナの旗を掲げたり「パレスチナに自由を」と書かれたプラカードを掲げたりしながら、「今すぐ停戦を」などとシュプレヒコールを上げました。
イスラエル出身の77歳の男性は「私はユダヤ人で、両親はアウシュビッツ強制収容所から生還した。だから、ホロコーストが何かを知っている。イスラエルは、『10月7日にユダヤ人に起こったことはホロコーストのようだ』と主張しているが、これはユダヤ人に対する大量虐殺と同じものではない。私は1人の民間人の殺害も支持していない」と話し、即時停戦を訴えました。

フランス・ドイツ
4日にはフランスとドイツでも、即時停戦を求めるデモが行われました。
このうちパリで行われたデモには、警察の発表でおよそ1万9000人が参加したということです。
参加した60代の男性は「私は双方の民間人の死を嘆かわしく思っている。民間人は何の関係もない。本当に恥ずべき事だ」と話していました。
また、ドイツの首都ベルリンの中心部では、大勢の人がパレスチナの旗を振ったり「ガザでの虐殺をやめて」などと書かれたプラカードを掲げたりしながら行進し、即時停戦を訴えていました。

アメリカ
アメリカの首都ワシントンでは、これまでで最大規模の抗議デモが行われました。
デモはアメリカのアラブ系団体の呼びかけで行われ、4日午後、ホワイトハウス近くの広場には、少なくとも数千人の市民が集まりました。
参加者たちは「虐殺をやめろ」などと書かれたプラカードを掲げて即時停戦を訴え、イスラエル軍による攻撃や、イスラエルへの軍事支援を続けるバイデン政権の対応を非難しました。

アメリカのキニピアック大学が2日に発表した世論調査によりますと、ハマスの攻撃に対するイスラエルの行動を「支持する」と答えた人は、全体の50%にのぼりましたが、18歳から34歳に限定すると「支持する」と答えた人は32%にとどまっています。

カナダ
カナダでも4日、国内のおよそ30の都市でガザ地区での即時停戦を求めるデモが呼びかけられました。
このうち最大都市のトロントでは、中心部にあるアメリカ総領事館の前に大勢の人たちが集まり通りを埋め尽くしました。
デモを呼びかけた人たちは、ガザ地区で犠牲になった子どもたちの写真をはりだし、イスラエル軍の攻撃を非難するとともに、イスラエルを擁護するアメリカなども批判していました。

ブリンケン国務長官「戦闘の一時的な停止」求める

アメリカのブリンケン国務長官はイスラエルを訪問したあと、4日にヨルダンで、エジプトやサウジアラビア、カタールなどアラブ諸国の外相らと会談しました。

会談後、ブリンケン長官は、ヨルダンのサファディ外相やエジプトのシュクリ外相とともに記者会見を行い、会談で人道支援や戦闘の拡大を防ぐ手だてなどをめぐって、意見を交わしたことを明らかにしました。

会見でサファディ外相やシュクリ外相が民間人の犠牲を防ぐため即時停戦が必要だと述べたのに対し、ブリンケン長官はイスラエルの自衛の権利を支持する立場を改めて示した上で「いま停戦を行うと、ハマスがとどまり、再編成し、10月7日の行いが繰り返されるだけだ」と述べ、停戦はハマスを利するだけだと主張しました。

そして「ガザ地区の民間人の窮状を深く懸念している。だからこそ、人道目的での『戦闘の一時的な停止』が必要だ」と述べ、引き続きイスラエルに対し、ガザ地区への必要な物資の搬入や民間人の避難などのために「戦闘の一時的な停止」を求めていく考えを強調しました。

イスラエル軍 再び退避呼びかけ

イスラエル軍は4日もガザ地区北部を中心に地下トンネルを破壊するなど、ハマスの軍事拠点への攻勢を強めていて、激しい空爆によって一時、ガザ地区の市街地の一帯が白い煙に包まれました。

また、ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプにある、国連機関が運営する学校では4日、爆発があり、避難していた住民などこれまでに15人が死亡し70人がけがをしたということです。

こうした中、イスラエル軍の報道官はガザ地区北部の住民に対し、現地時間の午後1時から午後4時にかけて、ガザ地区を南北に貫くサラハディン通りを人道的な理由から開放するとSNSを通じて発表し、南部への退避を再び呼びかけました。

しかし、イスラエル軍は、ハマスの戦闘員が経路を確保しようとしていたイスラエル兵に向けて砲撃するなど「住民の安全と南への移動を妨げている」と主張していて、わずか3時間の間に住民の退避が進んだかは不透明です。

一方、パレスチナ赤新月社は4日、ガザ地区最大級の医療機関、シファ病院の近くで2台の救急車がイスラエル軍のミサイル攻撃を受け、15人が死亡した問題について、詳細な情報を発表しました。

それによりますと、救急車には砲弾などの破片で胸と足を負傷して集中治療室での対応が必要なため、南部に搬送される予定だった35歳の女性が乗っていたと説明しています。

救急車にはハマスの戦闘員が乗っていたとするイスラエル軍の主張に反論した形ですが、イスラエル軍もこの問題でより詳しい情報を示す用意があることを明らかにしています。

一連の衝突で、ガザ地区の保健当局によりますと死者は9488人に上っているほか、がれきに埋もれるなどして行方が分からない人も2000人以上いるということです。

またイスラエル側は少なくとも1400人が死亡し、240人以上がガザ地区で人質になっています。