ロシア軍 大統領選も念頭にウクライナ東部へ大規模攻撃準備か

ロシア軍はウクライナ東部の拠点アウディーイウカでさらなる大規模攻撃の準備を進めているとみられています。来年3月に行われる予定のロシアの大統領選挙も念頭に攻勢を強めているという見方も出ています。

ロシア軍は東部ドネツク州のウクライナ側の拠点、アウディーイウカで攻撃を続けていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日「ロシア軍は第3弾となる大規模攻撃の準備を進めている」と指摘しました。

アウディーイウカを攻撃する思惑についてロシアの安全保障や核戦略に詳しく、現在はヨーロッパを拠点に活動するユーリー・フョードロフ氏はNHKのインタビューに対し、「政治的なものが主体だろう。プーチン大統領が掲げたドネツク州全域の占領という戦略目標の実現のために有利な条件を作ろうとするものだ」と指摘しました。

そして「プーチン大統領にとって勝利が必要となっている。勝利がないままに大統領選挙のキャンペーンを開始するのは都合がよくないということだ」と述べ、来年3月に行われる予定のロシアの大統領選挙も念頭にロシア軍が攻勢を強めているという見方を示しました。

ただ、フョードロフ氏は「軍事的にはアウディーイウカを占領してもロシア軍が先に進むにははるかに多くの兵力が必要となる。この街で終わりとなるだろう」としています。

また、ロシア軍は3日も大規模な無人機攻撃を行い、各地で被害が相次いでいます。

ゼレンスキー大統領はSNSで「冬が近づくにつれ、ロシアのテロリストはさらに被害を与えようとしている。われわれは敵に対応する」と投稿しロシア軍のインフラ施設などに対する攻撃に対抗していく考えを示しました。

専門家 “大統領選も念頭にロシア軍が攻勢強める”

ロシアの安全保障や核戦略に詳しく、現在はヨーロッパを拠点に活動するユーリー・フョードロフ氏はNHKのインタビューに対し、ロシア軍が東部のアウディーイウカを攻撃する思惑について「政治的なものが主体だろう。プーチン大統領が掲げたドネツク州全域の占領という戦略目標の実現のために有利な条件を作ろうとするものだ」と指摘しました。

そして「プーチン大統領にとって勝利が必要となっている。勝利がないままに大統領選挙のキャンペーンを開始するのは都合がよくないということだ」と述べ2024年3月に行われる予定の大統領選挙も念頭にロシア軍が攻勢を強めているという見方を示しました。

ただ、フョードロフ氏は「軍事的にはアウディーイウカを占領してもロシア軍が先に進むにははるかに多くの兵力が必要となる。この街で終わりとなるだろう」と指摘しました。

また「ウクライナのエネルギーインフラに対する無人機やミサイルの攻撃は、前の冬よりも激しくなるかもしれない。2つめの目標は物流輸送システムであり、主に鉄道だ。ウクライナ国民の覚悟を打ち砕くという目標が掲げられている」と指摘し、インフラ施設や鉄道などへの攻撃が激しくなるという見方を示しました。

一方、ウクライナの反転攻勢についても「南部ザポリージャ州では今後、数週間や数か月でウクライナ軍が戦略的な状況を変えるような突破を実現するのは難しい」と述べ拠点トクマクの奪還に向けた動きなどが想定通りに進んでいないと指摘しています。

そして、ウクライナ軍が南部クリミアで攻撃を強めているねらいについてフョードロフ氏は「ロシア軍の黒海艦隊の存在を可能なかぎり最小化、排除し、その機能をクリミアのセバストポリからロシア南部のノボロシースクなどに移させることだ。そして、空軍能力を最小化させるため、基地の破壊や航空機を排除しようとしている」と述べました。