米国務長官イスラエル訪問し働きかけも 戦闘一時停止実現せず

イスラエルによるパレスチナのガザ地区への軍事作戦で市民の犠牲が増え続ける中、アメリカのブリンケン国務長官がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相に人道上の理由から戦闘を一時停止するよう働きかけましたが、今回の訪問では実現せず、引き続き協議を行っていくとしています。

イスラエルを訪問したアメリカのブリンケン国務長官は3日、ネタニヤフ首相と会談し、イスラエルの自衛の権利を改めて支持した上で、ガザ地区での軍事作戦で国際人道法を順守し、民間人の犠牲を最小限に抑えることを求めました。

その上で、支援物資の搬入やエジプトへのけが人の搬送などのため戦闘を一時停止するよう働きかけましたが、イスラエル側との調整に時間がかかるとして、今回の訪問では実現せず、引き続き協議を行っていくとしています。

この間もガザ地区ではイスラエル軍による地上作戦が続いています。

イスラエル軍は3日、ガザ地区内でハマスが構築した地下トンネルを破壊する様子を動画で公開しました。

作戦にあたったのは地下トンネルの破壊などを専門にする「ヤハロム」と呼ばれる戦闘工兵部隊で、映像には大きな爆発とともに地下から黒い煙が吹き上がる様子が捉えられています。

一方、ハマスの軍事部門カッサム旅団も、地下トンネルの中を進み、茂みの中からイスラエル軍を攻撃する様子や、住宅地で行われている市街戦の様子をうつした動画を公開して、対抗しています。

現地のメディアは、ガザ地区の北部から南部に避難するための海岸沿いの道路に多くの遺体が放置されている様子を伝えていて、ガザ地区の状況は凄惨さを増しています。

一方、この日、イスラエルと交戦しているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師が、ガザ地区をめぐる一連の戦闘が始まって以降、初めて演説を行いました。

この中でナスララ師は「すべての選択肢を視野に入れ、そのための準備も進んでいる」とけん制した上で、イスラエルは戦闘をやめるべきだと主張しました。

そして「戦闘は複数の戦線に拡大した」と述べ、ヒズボラがイスラエルとの戦闘に参戦すると明言したことで、ガザ地区に加えて北部のレバノン国境での戦線の拡大が懸念されています。