上川外相 パレスチナ暫定自治政府外相に追加の人道支援伝える

上川外務大臣は、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相とヨルダン川西岸で会談し、ガザ地区の深刻な人道危機に懸念を示した上で、およそ6500万ドル規模の追加の人道支援を行う考えを伝えました。

上川外務大臣は、イスラエルを訪問したのに続き、日本時間の3日夜、ヨルダン川西岸のラマラで、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相とおよそ50分間会談しました。

この中で上川大臣は、「ガザ地区の情勢を深刻な懸念を持って注視している」と述べ、犠牲者の遺族に対する哀悼の意を示しました。

その上で、ハマスなどによるテロ攻撃を断固非難するとともに、人質の即時解放や事態の早期沈静化を一貫して求めていると説明しました。

そして、ガザ地区の市民に必要な支援を届けることが優先課題だとして、すでに決定している1000万ドル規模の緊急無償資金協力に加え、
▽およそ6500万ドル、日本円にして97億円規模の追加の人道支援と、
▽JICA=国際協力機構を通じた支援物資の供与を行う考えを伝えました。

これに対し、マリキ外相は「ガザ地区の住民が深刻な人道状況に直面しており、ヨルダン川西岸でも緊張や暴力が高まっている。日本の支援に感謝するとともに、ガザ地区の人道アクセスの確保に日本と協力していく」と述べました。

また上川大臣は、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を支持する日本の立場は変わらないと伝え、両外相は実現に向けて協力していくことを確認しました。

そして両外相は、一般市民の安全確保や事態の早期沈静化に向け、引き続き協力していくことで一致しました。

上川外相「最優先課題はガザ地区の人道状況の改善」

上川外務大臣は、日本時間の4日未明、訪問先のヨルダンで記者団に対し「目下の最優先課題はガザ地区の人道状況の改善で、子どもや女性、高齢者が被害にあっていることに大変心を痛めている。イスラエル、パレスチナ双方の要人と会談を行い、ガザ地区の人道状況の改善や事態の早期沈静化について働きかけを行った。引き続き外交努力を粘り強く積み重ねていきたい」と述べました。

その上で「来週、東京で開催するG7外相会合では、今回の中東訪問を踏まえ、外相間で改めて率直かつ突っ込んだ意見交換を行いたい」と述べました。