文化勲章の親授式 狂言師の野村万作さんら7人が受章 皇居

文化の日の3日、皇居で文化勲章の親授式が行われ、狂言師の野村万作さんらに天皇陛下から文化勲章が贈られました。

今年度の文化勲章の受章者は
▽狂言師の野村万作さん、本名 野村二朗さん(92)
▽書家の井茂圭洞さん、本名 井茂雅吉さん(87)
▽東京大学名誉教授で経済学が専門の岩井克人さん(76)
▽元日本サッカー協会会長の川淵三郎さん(86)
▽作家の塩野七生さん(86)
▽東京大学名誉教授で分子生物学・免疫学が専門の谷口維紹さん(75)
▽豊田理化学研究所所長で有機合成化学・有機金属化学が専門の玉尾皓平さん(81)の7人です。

親授式は皇居 宮殿の「松の間」で行われ、天皇陛下から出席した7人の受章者に、たちばなの花にまが玉をあしらった文化勲章が贈られました。

そして、受章者を代表して野村さんが「この栄誉に対して、私どもは各分野のそれぞれのことに精進を重ねて参る所存です」とあいさつしました。

これに対して天皇陛下は「長年努力を重ね、大きな業績をおさめられ、文化の向上に尽くされたことを誠に喜ばしく思います」とお祝いのことばを述べられました。

式のあと、受章者たちは文化勲章をつけて宮殿の前で記念撮影を行いました。

《受賞者記者会見》

文化勲章の親授式のあと、宮内庁で出席した7人の記者会見が行われました。

狂言師 野村万作さん

狂言師の野村万作さんは「3歳で初舞台を踏み、来年90年になりますが、まだまだ狂言の芸の極みというものは高いところにあるように思います」と述べたうえで、「ややあってまた見る月の高さかな」という父・万蔵さんが詠んだ俳句で今の気持ちを表しました。

書家 井茂圭洞さん

書家の井茂圭洞さんは「その道に入って70年、40年間ぐらいは勉強の段階で、それ以後は何とか自分なりの書を書きたいと精進していますが、なかなか思うようには書けません。これを機に一層精進して、今までにないような書を書きたいです」と話していました。

経済学が専門 岩井克人さん

東京大学名誉教授で経済学が専門の岩井克人さんは「最初は経済学のど真ん中で頑張ろうと思っていたが、いつの間にか主流派の理論に対する挑戦のような研究になり、なかなか認められず、苦しい思いもしてきました。私のような立場の研究者にこのような勲章を与えていただき、本当に感謝するとともに、日本社会の懐の深さを感じています」と話していました。

元日本サッカー協会会長 川淵三郎さん

元日本サッカー協会会長の川淵三郎さんは「スーパースターではない私が、スポーツ文化の発展に貢献したとして受章できたのは、多くの人がスポーツを生活の一部として楽しむという文化を発展させてくれたからだと思います。日本でスポーツ文化が認められたということがうれしいです」と話していました。

作家 塩野七生さん

作家の塩野七生さんは「私は完全なフリーの作家で、どの組織にも団体にも属していないので、このような勲章を頂けるとは思っていませんでした」と述べたうえで、親授式で勲章を落としてしまったことを振り返り、「天皇陛下がかつてローマを訪問された際に現地を案内したことがあったので、受け取る時ににこっとしちゃって、緊張が緩んでしまいました」と話していました。

分子生物学・免疫学が専門 谷口維紹さん

東京大学名誉教授で分子生物学・免疫学が専門の谷口維紹さんは「恩師や先生に教えられ、同僚と励まし合い、弟子からも励まされ、恩師に教えられ、みんなで一緒にサイエンスをエンジョイしてきたことがきょうこの日につながったと思い、深く感謝しています」と話していました。

有機合成化学・有機金属化学が専門 玉尾皓平さん

豊田理化学研究所所長で有機合成化学・有機金属化学が専門の玉尾皓平さんは「私たちが取り組んできた新しい物質を作る化学『元素化学』に光を当てていただいたことをありがたく思っています。今後は、多くの子どもや若者が科学の分野に進んでくれるような活動に微力を尽くしていきたいです」と話していました。