【3日詳細】米国務長官 イスラエルで戦闘の一時停止呼びかけ

パレスチナのガザ地区で地上作戦を進めるイスラエル軍は最大の都市ガザ市の包囲を完了したと発表。戦闘はすでにガザ市の市街地に及んでいることを明らかにしました。

イスラエル軍がガザ地区北部での攻撃を強めるなか、アメリカのブリンケン国務長官がイスラエルを訪問。ネタニヤフ首相などとの会談で「戦闘の一時停止」を呼びかけたことを明らかにした上で、「実施にはまだ準備や調整に時間がかかる」として、引き続き協議を行う考えを示しました。

目次

米 ブリンケン国務長官 “戦闘一時停止 イスラエルと議論継続”

アメリカのブリンケン国務長官は3日、イスラエルを訪れ、ネタニヤフ首相やヘルツォグ大統領などと会談しました。

会談後、ブリンケン長官は記者会見し、「イスラエルには自衛する権利や義務があるが、どのように行うかが重要だ」と述べ、国際人道法を順守し、ガザ地区の民間人の犠牲を最小限に抑えることや、人道目的での「戦闘の一時停止」を働きかけたことを明らかにしました。

ただ、「戦闘の一時停止」をどのように実施するかには課題があるとして、「まだ準備や調整に時間がかかる」と述べ、引き続き、協議を行う考えを示しました。また、ガザ地区で不足している燃料の搬入や、人質の解放に向けても引き続き、議論していくとしています。ブリンケン長官はこのあとヨルダンに移動し、人道支援などをめぐって引き続き、働きかけを行っていくことにしています。

ブリンケン国務長官は「戦闘の一時停止をどのように人質の解放につなげるかや、ハマスがそれを悪用しないためにはどうすればよいのかは早急に話を詰める必要がある。この問題についてアメリカはイスラエル側と具体的な解決策を見つけるため、議論を続けることで合意した」と述べました。

ブリンケン国務長官は「ハマスが燃料を必要とする病院などへの供給を拒んでいる。皮肉にもほどがある。アメリカは国連とともに支援が行き渡るよう話し合いを続ける」と述べガザ地区で不足している燃料の搬入の見通しについては具体的な言及は避けました。

ヒズボラ最高指導者 イスラエルとハマスの戦闘開始以降初演説

イスラエルと敵対し、レバノン南部に拠点を置く、イスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師が、3日、イスラエルとハマスの戦闘が始まって以降、初めて演説を行いました。

この中で、ナスララ師は、最初にハマスが実行した奇襲攻撃「アルアクサの洪水」など一連のイスラエルとの戦闘について、「アルアクサの洪水の戦闘は複数の戦線に拡大した」と述べ、イスラエルとの戦いにはその後、ヒズボラや、イエメンの反政府勢力フーシ派も参戦したと明言しました。

そのうえで「イスラエルはガザ地区で虐殺をすることによって成果をあげることはできない」と指摘しました。

アメリカ ブリンケン国務長官 イスラエルに到着

イスラエル軍がガザ地区北部での攻撃を強めるなか、アメリカのブリンケン国務長官が日本時間の3日午後3時半ごろ、イスラエルに到着しました。

ネタニヤフ首相と会談し、燃料など必要な物資の搬入や人質の解放について協議しているほか、人道目的での戦闘の一時停止に応じるよう働きかけているとみられます。

ブリンケン長官は先月10月もイスラエルを訪れています。

イスラエルから退避の日本人など46人 自衛隊機が羽田空港に到着

日本時間の2日、イスラエルから退避した日本人20人と韓国人やベトナム人など合わせて46人を乗せた航空自衛隊の輸送機は、さきほど羽田空港に到着しました。

政府はイスラエル・パレスチナ情勢が緊張度を増していることや、日本までの民間航空機の直行便の運航計画が不透明なことを踏まえ、今回、自衛隊機でイスラエルにいる日本人などの2回目の輸送を行いました。

外務省によりますと、イスラエルとパレスチナに残っている日本人は合わせておよそ800人で、防衛省は今後の退避などに備えて、輸送機2機を隣国ヨルダンとギリシャに待機させることにしています。

上川外相 イスラエル コーヘン外相と会談

イスラエルのテルアビブを訪れている上川外務大臣は日本時間の午後4時ごろからおよそ40分間、コーヘン外相と会談しました。

冒頭、上川大臣は「イスラエルの方々との連帯の意を伝えるために訪問した。ハマスの攻撃はテロであり、赤ちゃんから子ども、女性や高齢者も含めて、一般の市民に対する攻撃と誘拐はどのような理由であれ正当化できず、断固非難する。犠牲者に心から哀悼の意を表するとともにハマスによって誘拐された人たちの一刻も早い解放を心から祈っている」と述べました。

コーヘン外相は「10月7日はユダヤ人にとってホロコースト以来の最悪の日だった。日本のイスラエルに対する支援と連帯に感謝する」と述べました。

シリア アサド政権 ヒズボラにロシア製防空システム供与同意か

イスラエルがガザ地区への攻撃を強める中、イスラエルと敵対する隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに武器を供与する動きが伝えられました。

アメリカCNNテレビは2日、情報機関の話として、シリアのアサド政権がヒズボラに対して、ロシア製の防空システムを供与することに同意したとみられると伝えました。

アサド政権とヒズボラ、それにシリアで活動するロシアの民間軍事会社「ワグネル」の協議内容などを分析した結果、アサド政権がロシア製の移動式の防空システム「パンツィリ」をヒズボラに供与することに同意したとみられるということです。

「パンツィリ」はシリアの内戦でアサド政権の後ろ盾となったロシアから提供されたものとみられ、ワグネルは防空システムの輸送を担うとみられるということです。

ヒズボラはガザ地区のハマスと協力関係にあり、イスラエル北部のレバノンとの国境地帯でイスラエル軍と断続的に戦闘を続けていて、ヒズボラへの防空システムの供与の動きが地域にどんな影響を与えるのか注目されます。

ガザ地区北部で激しい攻撃か 夜空が一面オレンジ色に

ガザ地区北部でも激しい攻撃が行われ、現地時間の午後10時ごろの現地からの映像では、照明弾などによって数十分間にわたって夜の空が一面オレンジ色に照らされる中、大きな爆発音や上空からミサイルによる攻撃が行われている様子が確認できます。

地上には大規模な煙幕がはられているようにも見え、アメリカのCNNは、地上部隊の動きをイスラム組織ハマス側に把握させないためではないかとの見方も伝えていて、さらなる軍事作戦が行われているものとみられます。

ハマス 戦闘員が戦車に攻撃する映像を公開

一方、ハマスは、地下トンネルから出てきたとみられる戦闘員がイスラエル軍の戦車に近づいて直接、爆発物を仕掛けて攻撃したあと、ロケットランチャーのようなものを発射して命中させる映像を公開し、徹底抗戦する構えを続けています。

先月7日から始まったイスラエルとハマスとの衝突による死者はガザ地区側で9061人、イスラエル側で少なくとも1400人に達しています。

米下院 共和党提案イスラエル支援限定の予算案可決 今後紛糾も

アメリカ議会下院で多数派の野党・共和党は2日、イスラム組織ハマスとの戦闘が続くイスラエルに対する支援としておよそ140億ドル、日本円にして2兆円を超える予算案を提出し、議会は賛成多数でこれを可決しました。

バイデン大統領は先月、イスラエルだけでなく、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対する支援も含めた1000億ドル以上の緊急予算を議会に要請していましたが、共和党は「慎重な検討が必要だ」などとしていて、イスラエル支援だけを切り離した形です。

共和党内の一部の保守強硬派はこれまで、ウクライナ支援に対して否定的な見方を示しています。ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日の記者会見で、「バイデン大統領はすべてが国の安全保障にとって緊急で重要だと考えている」と述べています。

バイデン大統領はイスラエル支援のみの予算案について、例え、上院で可決されても拒否権を行使する考えだと強調していて、今後、議会が紛糾することも予想されます。

米ブリンケン国務長官 再び中東へ イスラエルとヨルダン訪問予定

パレスチナのガザ地区での人道危機が深刻化する中、アメリカのブリンケン国務長官は再び中東を訪れるため、2日、首都ワシントン近郊の空軍基地を出発しました。

3日にイスラエルに到着し、政府要人らと会談したあと、ヨルダンを訪れることにしています。

出発前、ブリンケン長官は記者団に対し「イスラエルには自国を防衛し、このようなことが二度と起きないよう措置を講じる権利と義務がある。ただイスラエルがどのように行うかが重要だ」と述べ、民間人の被害を最小限に抑える方策について議論する考えを示しました。

イスラエル軍のガザ地区への攻撃で、犠牲者が増え続け、国際社会から非難の声が上がる中、ブリンケン長官はイスラエルに対し、国際人道法の順守を呼びかけるものとみられます。

また、一連の会談では、燃料など必要な物資の搬入や民間人の退避、人質の解放などをめぐっても協議することにしていて、そのための「戦闘の一時的な停止」を求めることにしています。

ブリンケン長官は10月も中東を訪れていますが、ガザ地区での人道危機がいっそう深刻化する中、再び訪問することで働きかけを強めることにしています。

米ホワイトハウス「一時的な停止」 その都度 何度も求める

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日、記者会見で、アメリカがイスラエルに求めている「戦闘の一時的な停止」について、「イスラエルが自国を守るのを止めるものではない」としたうえで、「ガザ地区に支援を運び込み、人質を含めた民間人を安全に退避させるため、必要なだけ求めていく」と述べて限られた場所や時間で行う「一時的な停止」をその都度、何度も求めていく考えを示しました。

また、イスラエルがガザ地区の難民キャンプに大規模な攻撃を行うなど、民間人に多くの犠牲者が出ていることについて、「それぞれが悲劇であり、起きてはならないことだ」とする一方で、「イスラエルは市民の犠牲をできるだけ減らすよう努めている」と述べ、イスラエルを擁護する姿勢を示しました。

ヒズボラとの衝突続くイスラエル北部 一部住民が避難

イスラエル軍が南部で境界を接するガザ地区のイスラム組織ハマスへの攻撃を強める中、北部ではレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間で散発的な武力衝突が続いています。

複数の現地メディアは、10月7日以降の衝突でイスラエル側では兵士など7人、レバノン側ではヒズボラの戦闘員およそ50人が死亡したと伝えています。

これを受けて、イスラエル北部の国境沿いの地域では住民6万人に避難が呼びかけられていて、すでに一部がエルサレムなどへの避難を進めるなど緊張が高まりつつあります。

国境から直線距離でおよそ30キロの北部の都市ハイファではふだんよりも人通りが少なくなっていて、地元に住む女性は「いまは国境付近だけで戦闘が起きているので平気ですが、今後ロケット弾がここにも飛んでくるかもしれません」と話していました。

また、別の男性は「ガザ地区でのハマスとの戦争が終わっても、ヒズボラの脅威がなくなるわけではなく、将来的な不安はあります」などと話していました。

イスラエル北部 戦闘激化に備え地下病院の準備

レバノン側からの攻撃が激化した場合に備えて、ハイファ市内にある病院ではふだんは患者が利用する地下の駐車場に医療設備を運び込み、非常用の地下病院として使えるように対策をとっています。

この地下病院には2000床のベッドが備えられていて、政府や軍からの命令があれば、およそ50時間ですべての患者と設備を移動させる準備ができているということです。

駐車場の壁には治療に必要な電気や酸素の吸入などのための設備が備え付けられているほか、集中治療用のベッドもおよそ100床あり、戦闘や攻撃で負傷した兵士や市民などが搬送された場合にも対応できるということです。

また、手術室やトイレやシャワーなどさまざまな設備が整えられていました。

すでに地下病院の運用は始まっていて、人工透析が必要な子どもの患者が家族に見守られながら、地下で透析治療を受けていました。

地下病院には地元の救急隊などが連日、視察に訪れていて、有事の際にどのように患者を搬送するかなどについて病院の担当者から説明を受けていました。

この病院の運営に関わるアビ・ワイズマン副院長は「ここからレバノンの国境までは近く、ヒズボラとの戦闘が激化すれば市民も犠牲になるでしょう。戦時下で医療を継続させるにはこのような安全な施設を準備する必要があります。実際に使う事態にならないよう願っています」と話していました。

UNRWA “24時間で避難所の学校4か所攻撃 23人死亡”

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は2日、声明を発表し、この24時間でガザ地区で避難所として使われている学校、4か所が攻撃を受け、23人が死亡したとみられると明らかにしました。

これらの4か所の学校にはあわせて2万人近くの住民が避難しているということです。

ガザ地区にあるUNRWAの施設にはあわせておよそ70万人の住民が身を寄せていますが、これまでに50近い施設が被害を受け、中には直接攻撃を受けた施設もあるということです。

その上で、UNRWAは「これらの避難所は国連の旗のもと、安全でなければならない。国際人道法上、民間人や民間の施設を保護しなければならないことに疑いの余地はない」とし、避難所への攻撃をやめるよう強調しました。

また、声明によると、10月7日以降、ガザ地区で亡くなった国連職員の数は72人に上っているということです。

WHO「占領する当局 医療提供されるようにする特別な責任ある」

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は2日、スイスでの記者会見で、ガザ地区の病院の状況について、「廊下は負傷者であふれ、手術も麻酔なしで行われている。避難民で過密状態となっていて、筆舌に尽くしがたい」と述べ、イスラエル政府に対し、ガザ地区の電気や水の十分な供給とともに燃料の搬入を許可するよう改めて求めました。

また、危機対応を統括するライアン氏は、WHOがガザ地区に複数の野戦病院を設置する計画があるとする一方で、「多くの緊急対応を経験したが、これほど困難な現場はない。人道支援を行うための最低限の安全も守られない」と述べ、イスラエル軍による空爆などが続いているため、現地での活動がままならないと訴えました。

そして、「国際法は医療施設を攻撃対象にしないだけでなく、保護する必要があると明記している。ガザ地区を占領する当局は医療が提供されるようにする特別な責任がある」と述べ、イスラエル側は病院などに支援物資が安全に届けられるよう保証すべきだと強調しました。

支援物資のトラック102台搬入 燃料は認められず

パレスチナの赤新月社は2日、ガザ地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所で102台のトラックから支援物資を受け取ったと発表しました。

10月21日に最初の搬入が行われて以降、1日に入った台数としては最も多く、国連が1日に必要だとしていたトラック100台分に初めて達しました。

支援物資を積んだトラックの受け入れは、これまでにあわせて374台になったということですが、燃料の搬入は依然として認められていないとしています。

ガザから退避の人「治療してくれる人誰もいない」

1日にガザ地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所を通って退避したヨルダン国籍の人たちは、2日、ヨルダンの空港に到着し、ガザ地区での危機的な状況を語りました。

妻と2人の子どもと退避したという男性は「食料不足や買い物ができないなどの困難があった。息子は病気になったが、治療してくれる人は誰もいなかった」と窮状を語りました。

また、退避した女性は「攻撃は恐ろしいものだった。ミサイルが飛んできた後、破片が飛んでくる音が聞こえてきて、自分のいるところにくるかもしれないと思って怖かった」と話していました。

エジプト外務省はガザ地区からラファ検問所を通って退避する外国籍の人たちはあわせておよそ7000人にのぼる見通しだとして、関係する当局が対応を続けているとしています。

ガザ地区からエジプトへ 外国籍の人たちの退避続く

エジプト外務省は2日、ガザ地区からラファ検問所を通って退避する外国籍の人たちはおよそ7000人にのぼる見通しだとして、関係する当局が対応を続けていると発表しました。

このうち、エジプトの保健当局は2日、子ども72人を含む344人がエジプト側に退避し、健康状態のチェックを受けたと明らかにしました。

アメリカ ヒズボラ懸念も「総攻撃の準備 兆候見られない」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日、記者会見で、イスラム教シーア派組織、ヒズボラの動きについて、「イスラエル北部でイスラエル軍への攻撃が続いていることを懸念している。しかし、ヒズボラが総攻撃をしかける準備ができているという具体的な兆候はまだ見られない」と指摘しました。

そして、「もし、ヒズボラがこの戦闘を拡大し、エスカレートさせようと考えているのであればそうすべきではない。ここはわれわれの国家安全保障上、重要な場所で、これまでも守り抜いてきたし、今後もそうするだろう」と述べてけん制しました。

イスラエル軍トップ「ガザ市を包囲している」

ガザ地区への空爆や地上部隊による市街地への攻撃を続けているイスラエル軍は2日、最大の都市、ガザ市の包囲を完了したと発表しました。

イスラエル軍のトップ、ハレビ参謀総長は記者会見で、「われわれはガザ市を包囲しているだけでなく、市内の重要な地域で活動している。ハマスの中核となる施設に入り込んで地下と地上の標的を破壊し、テロリストなどを殺害している」と述べ、戦闘がすでにガザ市の市街地に及んでいることを明らかにしました。

イスラエル軍とハマス 激しい戦闘続く 難民キャンプの被害も

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの間では激しい戦闘が続いていて、2日には、ジャバリア難民キャンプの大勢の住民が避難する国連機関が運営する学校で爆発があり、地元の保健当局は27人が死亡したと発表しています。

さらに、同じガザ地区北部のシャーティ難民キャンプでも学校の校庭に砲弾が着弾したほか、地元当局はガザ地区中部のブレイジ難民キャンプでも空爆があり、少なくとも15人が死亡したとしています。

ハマスの報道官は現地のテレビ局に、「イスラエル軍によって南北をつなぐ道路が分断され、避難する人のための安全な道路が失われた」と述べ、けが人を南部に運ぶことができないと訴えました。

先月7日から始まったイスラエルとハマスとの衝突による死者はガザ地区側で9061人、イスラエル側で少なくとも1400人に達しています。

イスラエル北部にロケット弾 ヒズボラが発射か

一方、イスラエル側ではレバノン国境に近い北部の町、キリヤット・シュモナで敵対するイスラム教シーア派組織のヒズボラが発射したとみられるロケット弾が市街地に着弾し、2人がけがをしました。

これを受けてイスラエル軍は、レバノンにあるヒズボラの軍事施設などを攻撃したということです。

南部で境界を接するガザ地区で大規模な軍事作戦を続けるイスラエルは北部でもヒズボラへの対応を余儀なくされていて、戦線が拡大して、衝突が激しくなることが懸念されます。

「ヒズボラ」とは?イスラエルと激しく敵対

ヒズボラはイランを後ろ盾として、イスラエルと激しく敵対してきたレバノンのイスラム教シーア派組織です。

イスラエル国家安全保障研究所が先月19日にまとめた報告書によりますと、5万人から10万人の戦闘員を抱えていると推定されています。

射程が300キロあり、テルアビブなどイスラエルの主要都市を攻撃できる短距離弾道ミサイルをはじめ、保有するミサイルやロケット弾は15万発にのぼると指摘されています。

また、攻撃や偵察用に最大400キロの飛行が可能な無人機も保有しているということです。

ヒズボラはもともと1982年、レバノンに侵攻したイスラエルに抵抗する民兵組織として発足し、国内では政党としても活動して国政に強い影響力を持つほか、戦力はレバノン政府の正規軍をしのぐと言われています。

2006年、ヒズボラがイスラエル兵を拉致したことをきっかけに、イスラエルとの間で1か月余りにわたる大規模な戦闘に発展した際には、レバノン側でおよそ1200人、イスラエル側でおよそ160人が死亡したとされています。

また、隣国シリアでも、ヒズボラはアサド政権を支援して内戦に介入することで足場を築き、イギリスのシンクタンク国際戦略研究所が発行する「ミリタリー・バランス」は7000人から8000人の戦闘員が活動すると指摘しています。

このため、ヒズボラはイスラエルに対し、南のハマスと連携しながら、北からたびたび攻撃を加えるとともに、北東のシリアからもにらみをきかせる存在となっています。

ガザ地区 避難所の現状は…パンは1日1食「食料も水も足りない」

ガザ地区ではイスラエル軍の空爆などで140万人が住まいを追われたとされていて、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関によりますと、南部のハンユニスやラファにある国連が管理する90余りの施設には50万人以上が避難しています。

このうち、NHKガザ事務所のスタッフが2日、ラファで取材した国連が運営する学校には、10月23日時点でおよそ3500人が避難していましたが、その数は増え、さらに多くの避難者が身を寄せている様子でした。

学校に35ある教室は避難者の数には足りず、校庭に設置されているテントの数も増えていたほか、木材を組み立てて新たにテントを設置している人たちの姿もありました。

校庭では1日に1食だけ配給されるパンを食べる子どもたちの姿も見られました。

6人の子どもとともに避難している母親は「子どもに食べさせるパンが足りず、避難所にいる人から分けてもらいました。食料も水も足りません。状況は日々悪くなっています。ここでも安全だという保証はありません」と話していました。

また、別の女性は「私たちは恐怖のなかに生きています。子どもたちは下痢の症状や寒さに苦しんでいます。1つの教室に15から20の家族が身を寄せているこの状況はなんと表現したらよいのか分かりません」と窮状を訴えていました。

ガザ地区にはエジプトとの境界にあるラファ検問所から連日、支援物資が運び込まれていますが、国連は1日トラック100台分の支援物資が必要だとしていて、人道状況の改善には程遠いのが現状です。