「AI安全サミット」閉幕 “AIの安全性 研究機関で事前検証”

イギリスで開かれていたAI=人工知能の安全な活用に関する初の国際会議「AI安全サミット」が2日、閉幕し、企業が新たに開発するAIの安全性について、アメリカとイギリスに設立される研究機関で事前に検証することなどで合意しました。

「AI安全サミット」は最先端のAIが悪用されたり制御できなくなったりするリスクに対応するため、欧米や中国、日本などの政府高官や大手AI企業の代表などがロンドン郊外に集まり、2日間にわたって開かれました。

最終日の2日は、主催したイギリスのスナク首相やアメリカのハリス副大統領などによる首脳級の会合のあと、企業の幹部や専門家を交えた話し合いが行われました。

その結果、
▽企業が新たに開発するAIの安全性について、アメリカとイギリスの両政府がそれぞれ設立する研究機関で事前に検証することや、
▽各国の専門家によるパネルが最先端のAIを科学的に分析して報告書にまとめ、今後の安全対策の指針とすることなどで合意しました。

サミット後の会見でスナク首相は「このサミットで人類はAIを制御し、その恩恵を長期にわたって受けるための政治的意志と能力を持っていることを示した。人々の暮らしに大きな違いをもたらす、目に見える成果をあげることができた」と強調しました。

「AI安全サミット」は来年も継続し、次回は半年以内に韓国がオンラインで主催したあと、フランスが対面で開催することが決まりました。

岸田首相“AIの国際的ルール作り けん引したい”オンラインで

岸田総理大臣は日本時間の2日夜、首脳会合にオンラインで参加しました。

この中で岸田総理大臣は、生成AIの規制や活用に向けたルールをつくるため、G7広島サミットで合意した新たな枠組み「広島AIプロセス」で、開発者を対象にした行動規範や指針をまとめたことに触れ、年内に利用者や事業者のルールなどをまとめることを説明しました。

その上で、「国際社会全体が安心・安全で信頼できる高度なAIの恩恵を享受し、さらなる経済成長や生活環境の改善を実現できるような国際的なルール作りをけん引したい」と述べ、今後、G7以外の国や地域などとも協力してルール作りを主導したいという考えを示しました。

小森 総務政務官「G7の議論と補完的な関係で有益」

「AI安全サミット」に日本から参加した小森卓郎 総務政務官は「多くの国や企業と前向きな議論ができた。AIのリスクを抑えながら、どのように人類にとってプラスの方向に活用していくのか、共通の認識ができてきているのはいいことだと思う」と述べました。

さらに、「日本はG7=主要7か国の議長国として、生成AIの活用や規制に向けた共通のルール作りを目指す『広島AIプロセス』を設置し、議論を進めている。ただ、AIを使う人やその影響を受ける人は世界中に及ぶので、G7として議論を深めていくと同時に、ほかの国ともよく話をする必要があり、2つのプロセスは相互に補完的な関係でとても有益だ」と、サミットの意義を強調しました。

その上で、日本国内でのAIの規制については「法律の形式でやるのか、企業の団体や民間セクターの中の合意に基づいて進めていくのかは、国によってもまだかなり意見に開きがある。AIのリスク管理に向けては来年にかけてさらに大きな動きがあると思うので、よく見極めながら対応しなければならない」と述べました。