ウクライナ総司令官“長期的な消耗戦はロシアに有利に”

ウクライナに侵攻するロシア軍は東部ドネツク州などで攻勢を強めています。ウクライナのザルジニー総司令官は反転攻勢を開始しておよそ5か月となったものの、戦況はこう着状態に陥り、今後、長期的な消耗戦となればロシアにとって有利になりかねないと危機感を示しました。

ロシア軍は東部ドネツク州のウクライナ側の拠点アウディーイウカで部隊を増強するなど、攻撃を続けています。

また、ウクライナのクリメンコ内相は1日、ロシア軍が東部ドネツク州やハルキウ州、中部ポルタワ州、南部ヘルソン州やミコライウ州など10の州で、118の集落に対して攻撃を行ったとして「ことし最大の被害を受けた町や村の数となる」と訴え、ロシア軍が攻勢を強めているとみられます。

こうした中、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、1日付けのイギリスの経済誌「エコノミスト」の寄稿文やインタビュー記事の中で「第1次世界大戦と同様にこう着状態に陥る段階に達している」と指摘し、ことし6月に開始した反転攻勢からおよそ5か月がたったものの、戦況が行き詰まりをみせているという認識を示しました。

そして「私の間違いだった。ロシアは少なくとも15万人の死者が出た。これだけの犠牲が出たら他の国であれば戦争を止めたはずだった」と述べ、ロシア側は自国の兵士の犠牲をいとわず、長期的な消耗戦に持ち込もうとしているとした上でロシアにとって有利になりかねないと危機感を示しています。

そしてザルジニー総司令官は、こう着状態を打破し、勝利するためには
▽無人機を含めた空軍力
▽電波妨害などを行う電子戦の能力
▽ロシア軍の砲撃部隊を撃破する能力
▽地雷原を突破する技術
そして
▽予備役など兵員を確保すること
こうした5つの要素が特に重要だと強調し、欧米からの速やかな軍事支援も訴えています。