日本製鉄 特許侵害訴訟でトヨタと三井物産への請求放棄

日本製鉄は自社の鉄鋼製品の特許を侵害されたとして、トヨタ自動車と三井物産に損害賠償を求めていた訴訟で、この請求を放棄したと発表し、事実上、訴えを取り下げました。係争を続けることは、日本の産業競争力の強化に好ましいものではないとしています。

日本製鉄はおととし、ハイブリッド車などのモーターに使われる「無方向性電磁鋼板」と呼ばれる鉄鋼製品について、自社の特許を侵害されたとして
▽中国の鉄鋼大手の宝山鋼鉄と
▽宝山鋼鉄から製品の供給を受けたトヨタ自動車
それに
▽取り引きに関わったとされる三井物産に対し、損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしていました。

この訴訟について日本製鉄は2日、トヨタと三井物産に対する請求を放棄したと発表し、事実上、訴えを取り下げました。

一方、宝山鋼鉄に対しては訴訟を続けるとしています。

理由について、日本製鉄は「日本の自動車業界と鉄鋼業界がさらに強固に手を携えなければならない状況に直面する中、係争を続けることは日本の産業競争力の強化に好ましいものではないと考えるに至った」とコメントしています。

トヨタ自動車と三井物産がコメント

トヨタ自動車は「自動車業界のれい明期から長く支えていただいているサプライヤーなどの支援をいただきながら、業界を超えて未来に向けた取り組みを進めていく」とコメントしています。

また、三井物産は「日本製鉄とは長期にわたる関係があり、今後もよき事業パートナーとしておつきあいできればと考えている」とコメントしています。