【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 総司令官 “戦況 行き詰まりをみせている”

ロシア軍は東部ドネツク州のウクライナ側の拠点アウディーイウカで部隊を増強するなど、攻撃を続けています。

またウクライナのクリメンコ内相は1日、ロシア軍が東部ドネツク州やハルキウ州、中部ポルタワ州、南部ヘルソン州やミコライウ州など10の州で118の集落に対して攻撃を行ったとして、「ことし最大の被害を受けた町や村の数となる」と訴え、ロシア軍が攻勢を強めているとみられます。

こうしたなか、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は1日付けのイギリスの経済誌「エコノミスト」の寄稿文やインタビュー記事の中で、「第1次世界大戦と同様にこう着状態に陥る段階に達している」と指摘し、ことし6月に開始した反転攻勢からおよそ5か月がたったものの戦況が行き詰まりをみせているという認識を示しました。

そして「私の間違いだった。ロシアは少なくとも15万人の死者が出た。これだけの犠牲が出たら他の国であれば戦争を止めたはずだった」と述べ、ロシア側は自国の兵士の犠牲をいとわず、長期的な消耗戦に持ち込もうとしているとした上で、ロシアにとって有利になりかねないと危機感を示しています。

そしてザルジニー総司令官は、こう着状態を打破し、勝利するためには▽無人機を含めた空軍力、▽電波妨害などを行う電子戦の能力、▽ロシア軍の砲撃部隊を撃破する能力、▽地雷原を突破する技術、そして▽予備役など兵員を確保すること、こうした5つの要素が特に重要だと強調し、欧米からの速やかな軍事支援も訴えています。

ロシア 国内でも無人機量産に注力

イギリス国防省は1日、ロシアが開発した無人機「ランセット」について「過去12か月間最も効果を発揮した1つだ」と分析しました。

ランセットは目標に向かって急降下し自爆する無人機で、ウクライナの砲撃部隊などに対する攻撃に使われていると指摘しています。

ロシアはイランから無人機を獲得しているほか、国内でも無人機の量産に力をいれていて、ウクライナ側はロシアの無人機攻撃への警戒を強めています。

また、ロシアのショイグ国防相は1日、国防省で軍司令官と会議を開き「われわれの部隊は前進し、有利な陣地を獲得している」と述べるなど、戦果を強調しました。

JICA ウクライナ現地事務所の業務再開

JICA=国際協力機構は情勢の悪化を受けて一時的に閉鎖していたウクライナの現地事務所の業務を1日から再開し、今後、常駐の職員を増やすなどして幅広い分野の支援を行うことにしています。

JICAは2017年にウクライナの首都キーウに事務所を開きましたがロシアによる軍事侵攻の直前、2022年1月下旬に一時的に閉鎖して日本人職員を退避させ、隣国のモルドバなどから遠隔で業務を行ってきました。

今回、ウクライナへの復興支援を加速させるため1日から常駐の職員をキーウに戻して、事務所の業務を再開しました。

JICAは日本政府が表明しているウクライナ支援のうち、およそ1700億円分の支援事業を担っていて、これまでも発電機の提供や地雷除去の技術供与などを行ってきました。

今後は、現地事務所を通してウクライナ側との連携を円滑にし、農業や教育など幅広い分野の支援に加えて、日本の民間企業の現地での活動の支援なども行うことにしています。

ウクライナ事務所を管轄する、JICAの中東・欧州部の松永秀樹部長は、「ウクライナの人たちとの信頼関係を築くためにも現地にいることが重要だ。日本への期待は高く、自然災害からの復旧や日本が携わった、他国の復興のノウハウなどをウクライナのために役立てていきたい」と話していました。

JICAは年明け以降、ウクライナ常駐の職員を増やすなどして事務所の体制を強化し、業務を本格化させることにしています。