川内原発 1号機 2号機 20年の運転期間延長を認可 原子力規制委

運転開始から40年が迫る鹿児島県の川内原子力発電所1号機と2号機について、原子力規制委員会は1日、九州電力が申請していた20年の運転期間延長を認可しました。運転期間が原則40年に制限された制度のもと、延長が認められた原発は全国で6基になります。

鹿児島県薩摩川内市にある川内原発は、1号機が来年7月に、2号機が再来年11月に、それぞれ運転開始から40年となるため、九州電力は去年、運転期間を20年延長し60年まで運転する認可を原子力規制委員会に申請していました。

1日に開かれた規制委員会の会合では事務局の原子力規制庁から、
▽九州電力が実施した、原子炉やコンクリート製の構造物などの劣化状況を調べる「特別点検」の結果や、
▽今後20年間継続して使用できるとする評価結果について、基準に適合しているとする審査結果が示されました。

これについて委員から異論は出されず、全会一致で運転期間の延長を認可しました。

40年を超える運転は、これまでに福井県にある関西電力の
▽高浜原発1号機と2号機、
▽美浜原発3号機、
それに、茨城県にある日本原子力発電の
▽東海第二原発で認められていて、川内原発の2基を合わせて全国で6基になります。

一方、原発の運転期間をめぐっては、ことし5月に実質的に60年を超える運転を可能とする法律が成立したのに伴い、10年を超えない期間ごとに認可を受け直す新たな制度が再来年6月に施行されることになっていて、川内原発1号機と2号機も、施行までに改めて認可を得る必要があります。

九州電力「大きな一歩」

1日午後には、原子力規制庁の担当者から九州電力原子力発電本部の林田道生 副本部長に、川内原発1号機と2号機の運転延長に関する認可書が交付されました。

このあと林田副本部長は報道陣の取材に応じ、「電力の安定供給とカーボンニュートラルの実現の両立のためにも、安全を最優先として原子力を活用していくことが非常に重要で、大きな一歩となった」と述べました。

その上で、「認可を得たことだけでなく、常に安全性の向上をはかって安全運転を続けていくことで、地域の皆様の安心、信頼を得ていきたいし、今回の技術的な内容についても、中身を丁寧に説明して、心配の声にしっかり答えていきたい」と話していました。

また、60年を超える運転については、「60年に達する時点の燃料の世界的な情勢などいろいろなことを勘案し、技術的な部分も含めて、その時点で検討することになると思う」と話していました。

新制度で再審査受け認可得る必要

川内原発 1号機 2号機

原発の運転期間は、東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに原則40年に制限され、原子力規制委員会の認可を得られれば、最長20年の延長が一度に限って認められていました。

政府は去年、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給に向け既存の原発を最大限活用する方針のもと、さらなる延長の検討を始め、ことし5月、原子力規制委員会の審査や裁判などで停止した期間を運転期間から除外することで、実質的に60年を超えて運転できるよう法律を改正しました。

これに伴い、原子力規制委員会は原発の老朽化に対応するため新たな規制制度を策定し、運転開始から30年以降は10年を超えない期間ごとに機器や設備の劣化状況を確認し、管理計画を策定して規制委員会の認可を得ることを義務づけました。

この新しい制度は再来年6月に施行されることになっていて、その時点で運転開始から30年以上が経過している原発については、これまでに延長が認められたものも含めて、施行までに改めて審査を受け認可を得る必要があります。

一方、再稼働の前提となる審査に合格していない原発については、審査に合格し再稼働する前に新しい制度のもとで運転延長の認可を受ける必要があります。

国内では、今回、40年を超える運転延長が認められた川内原発1号機と2号機も含めこれまでに12基の原発が再稼働していますが、九州電力の玄海原発4号機を除く11基が再来年6月時点で運転開始から30年を超えるため申請が必要となります。

原子力規制委員会は、10月1日から新たな制度での申請の受付を開始していますが、これまでのところ申請はないということです。

また、今回の法律改正によって40年を超える運転を認可する主体は、原子力規制委員会から経済産業省に替わります。

経済産業省は、認可にあたっては国内のエネルギー情勢などを考慮したうえで必要性を判断するとしていますが、具体的な基準などについては有識者による議論を踏まえて施行日までに整備する方針です。

山中委員長「科学的・技術的な論点から慎重に審査」

川内原発1号機と2号機の運転期間の延長を認可したことについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「高経年化による劣化についての新しい論点は特に無かったと聞いているが、科学的・技術的な論点から慎重に審査して、本日認可することができた。運転延長の審査経験はかなり積んできていて、今回の審査に十分生かすことができたと思っている」と述べました。

そのうえで「地元との対話も大事だと認識しているので、依頼があればぜひ規制当局としての説明をしたい」と話していました。