昨年度 国内企業など申告の所得総額 85兆円余で過去最高を更新

昨年度、国内の企業などが申告した所得の総額は85兆円余りで、前の年度よりも5兆5000億円余り増え、過去最高を更新したことが、国税庁のまとめで分かりました。専門家は、円安によって製造業を中心に企業の輸出の収益が伸びたことなどが背景にあると分析しています。

国税庁によりますと、昨年度、国内の企業など312万余りの法人が税務申告した所得の総額は、85兆106億円でした。

これは、統計が残る昭和42年度以降で最高だった令和3年度をさらに5兆5315億円、率にして7%上回り、2年度続けて過去最高を更新しました。

申告所得を業種別でみると、いずれも前の年度との比較で
▽製造業が3.2%増の25兆4996億円
▽卸売業が19.3%増えて8兆4627億円
▽料理・旅館・飲食店業が27.3%増えて8499億円などと
ほとんどの業種で前の年度を上回っています。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「円安の影響で製造業を中心に収益が増え、インバウンド関連の消費も大きく膨らんだ。円安でコスト自体は増えているが、コロナ禍からの経済活動の回復で、それ以上に売り上げを伸ばすことができた企業が多かったのではないか。企業が賃上げなど人への投資を拡大することが消費の増加を促し、中長期的に経済を拡大させていく上で、重要になってくる」と話しています。