東海道新幹線 ワゴン販売終了 あの “スゴイカタイアイス”も

JR東海は、東海道新幹線で行ってきた車内のワゴン販売を31日で終了しました。今後はホーム上の自動販売機などで商品を購入できますが、利用客からはSNS上で話題のあのアイスの「スゴイ」かたさを惜しむ声も聞かれました。

ワゴン販売 売り上げ減や人手不足で終了

東海道新幹線の車内で軽食や飲み物などを提供する車内販売は、1964年の開業時に始まり、「ひかり」と「のぞみ」でワゴンでの販売が行われていましたが、JR東海は31日でワゴン販売のサービスを終了しました。

飲料や食品の車内への持ち込みが増えて売り上げが減少していることに加え、人手不足で販売スタッフの確保が難しくなっていることが要因です。

ワゴン販売だけで楽しめる「かたさ」が話題に

ワゴン販売の中でも、ニーズが高かった商品の1つがアイスクリームです。通常のアイスよりも溶けにくく、「シンカンセンスゴイカタイアイス」などと、その「かたさ」がSNS上で話題を集めていました。

なぜあんなにカタイ? 秘密はアイスの特徴と冷やし方

新幹線のワゴン販売で購入してもかたすぎてすぐには食べられないことから、「シンカンセンスゴイカタイアイス」などとSNS上で話題となったアイスクリームは、名古屋市内の食品メーカーが製造しています。

メーカーによりますと、東海道新幹線に「のぞみ」が誕生する前年の1991年ごろ、創業者の日比孝吉前社長が「新幹線のイメージにふさわしい最高級のアイスクリームを」と考え、ワゴン販売のために新たに開発したと、社内で伝えられているということです。

食感で“高級感”を感じてもらおうと、アイスに含まれる空気の量を少なくしているため密度が高くなり、通常のアイスよりも溶けにくいのが特徴だということです。

さらに、メーカーとワゴン販売を行う会社が協力して、マイナス60度以下とされるドライアイスを詰めた専用の保冷バッグで販売することで、アイスが冷えて固まった状態で提供されてきたということです。

その「かたさ」が数年前からSNS上で話題となり、去年4月からは「シンカンセンスゴイカタイアイス」という通称で販売されるようになりました。

ワゴン販売を行う会社によりますと、ことし8月にJR東海が販売の終了を発表した際には、夏休みの時期とも重なって車両によってはアイスが売り切れになったといいます。

これからは食べられない?

ワゴン販売の終了に伴い、JR東海は「のぞみ」の停車駅のホームにアイスクリームやドリップコーヒーの自動販売機を設置するということです。

ただ、車内のワゴン販売を行う会社によりますと、ホームに設置される自動販売機で販売されるアイスは温度設定がマイナス25度で、「スゴイカタイアイス」と同じかたさにはならないということです。

名古屋駅の新幹線利用客
「カッチカチが好きだから、保冷バッグで家まで持ち帰ってもう一回カッチカチにしたい」
「かたくて食べられないというのも旅の思い出だった。車内でなかなか買えなくなるのは寂しいです」

11月1日から、JR東海はグリーン車の乗客を対象に「モバイルオーダー」を導入することにしていて、「スゴイカタイアイス」はワゴンでの販売は終わりますが、引き続き楽しめるということです。

「スジャータめいらくグループ」広報担当の大橋里奈さんは、「もともとすごいかたいアイスを作ろうとしていたわけではありませんが、かたさを通じてこのアイスを知ってもらえたことで創業者も喜んでいるはずです。かたさは皆さんのひとつの楽しみであったかもしれないですが、今後もグリーン車やホームでお買い求めいただけるので、かたさ以外に味にも注目していただいて、旅のお供として楽しんでもらいたいです」と話しています。