産地偽装の豚肉を川崎の学校給食に提供 神奈川の食品加工会社

川崎市立の小中学校の給食に豚肉を提供していた相模原市の食品加工会社が、国産より安い外国産の豚肉を「国産」と偽って混入させていたことが市の教育委員会の調査でわかりました。会社は10年以上前から偽装を続けていたと説明していて市教委は警察にも相談してさらに詳しい状況を調べています。

川崎市教育委員会によりますと、市立の小中学校の給食に豚肉を提供していた相模原市の食品加工会社「寿食品」が国産より安い外国産の豚肉を「国産」と偽って混入させていたということです。

9月に学校給食の定期検査でこの会社が提供した豚肉を調べた結果、産地の偽装がわかりました。

市教委の聞き取りに対し会社は当初「千葉県産」だとする証明書を出しましたが、検査の結果が出たあとは偽装を認め「利益を確保するため安い外国産の豚肉を混ぜた。10年以上前から続けていた」という趣旨の説明をしたということです。

市教委は10月から別の会社が提供する豚肉に変更し、混入された外国産の豚肉については一般に流通する品と一緒で安全性には問題ないとしています。

市内には市立の小中学校などが合わせて170あり、市教委は会社が10年以上前から偽装を続けていたと説明していることなどから、すべての学校にこの会社の豚肉が提供された可能性があるとして詳しい状況を調べています。

神奈川県警も市教委から相談を受け捜査を進めています。

川崎市教育委員会の担当者は記者会見で「児童生徒、保護者に不安な思いをさせた。学校給食の信頼を裏切る行為で本当に遺憾だ」と話していました。

横浜市内の中学校でも豚肉提供か

横浜市教育委員会によりますと、今回、産地偽装が明らかになった食品加工会社は、横浜市内の中学校でも豚肉を提供した実績があるということで、その際に、川崎市の小中学校と同様に産地偽装の肉が納められていなかったかどうか確認を進めています。

また、相模原市は、この業者からの肉の納入実績が過去にあったか、確認中としています。

食材納品業者「産地偽装は裏切り行為」

「寿食品」から豚肉を仕入れて川崎市の小学校や給食センターに納品していた東京の食材納品業者「黒光商事」は、10月19日に川崎市教育委員会から事情を聞かれるまで、産地偽装については知らなかったということです。

「黒光商事」によりますと寿食品とは長年、取り引きがあり、10年以上前から豚肉を川崎市の給食用に納品しているということです。

産地偽装が指摘された豚肉は、川崎市にしか納品していませんが、ハムやソーセージなどをほかの自治体の給食用に納品していたということで、今月(10月)20日からは寿食品のすべての食材の取り扱いをやめたということです。

「黒光商事」の仕入れの責任者はNHKの取材に対し、「子どもが食べる食材を扱う会社なので信用が一番だ。寿食品からは毎月産地証明を出してもらっていたのに、産地偽装があったことは裏切り行為だ。被害届を警察に提出したい」と話していました。