冬の節電 2年ぶりに要請せず 予備率確保の見通し 西村経産相

西村経済産業大臣は、この冬の電力需給について供給の余力を示す「予備率」が全国すべての地域で安定供給に必要な5%を確保できる見通しだとして、冬の時期としては2年ぶりに節電要請を行わない方針を示しました。

西村経済産業大臣は31日の閣議のあとの会見で、この冬の電力需給について、供給の余力を示す「予備率」が最も低い北海道電力と東北電力、それに東京電力の管内でも、来年1月は5.2%、来年2月は5.7%と、全国すべての地域で安定供給に必要な5%を確保できる見通しだと明らかにしました。

そのうえで、西村大臣は「節電要請は需要家の負担を伴う対策であり、電力需給を勘案してやむをえない場合に実施するものなので、今回は行わない予定だ」と述べ、この冬については2年ぶりに節電要請を行わない方針を示しました。

一方で、老朽化した火力発電所に依存するなど問題はあるとして、「省エネ型の経済社会構造への転換に向けて、企業の省エネ設備や家庭の断熱窓などへの支援が重要だ。供給面では、安全性の確保を最優先に、地元の理解を得て、原子力発電所の再稼働を進めたい」と述べ、省エネの取り組みへの支援と原発の再稼働を進めていく考えを示しました。

経済産業省 審議会で節電要請行わないこと決定

経済産業省は31日の審議会で、ことし12月から来年3月までの電力需給の見通しを示しました。

それによりますと、10年に1度の厳しい寒さを想定した場合、供給の余力を示す「予備率」は、
▼北海道電力と東北電力、東京電力の各管内で来年1月は5.2%、来年2月は5.7%、
▼中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の各管内で来年1月は6.7%、来年2月は6.6%、
▼沖縄電力の管内で来年1月は41.3%、来年2月は39.2%の
見通しとなっています。

全国すべての地域で安定供給に必要な5%を確保できる見通しとなったことから、経済産業省は、この冬について、2年ぶりに節電要請を行わないことを決めました。

一方で、審議会では、火力発電所の中には老朽化した設備もあることから、保安管理の徹底などを発電事業者に求めていくほか、火力発電の燃料となるエネルギー価格が上昇する中、企業や家庭での省エネの取り組みを支援していくことなども確認しました。