柿沢法務副大臣が辞任 江東区長陣営に有料広告提案で引責

東京 江東区の区長の陣営が選挙期間中に動画投稿サイトに投票を呼びかける有料広告を出していたとして、東京地検特捜部から公職選挙法違反の疑いで捜索された事件をめぐり、柿沢法務副大臣は、有料広告の利用を提案した責任をとりたいとして辞任しました。

東京 江東区の木村弥生区長の陣営が、ことし4月に行われた区長選挙の期間中、動画投稿サイトに投票を呼びかける有料広告を出していたとして、東京地検特捜部から公職選挙法違反の疑いで区役所の区長室などを捜索された事件で、地元選出の柿沢法務副大臣は、みずから木村区長側に有料広告の利用を提案していたということです。

柿沢副大臣は提案した責任をとりたいとして、31日午前、辞表を提出しました。

これを受けて政府は、持ち回りの閣議を行い、辞任を認めることを決め、柿沢氏は法務副大臣を辞任しました。

小泉法務大臣は記者団に、「柿沢副大臣と電話で連絡をとった。違法だという認識はなかったものの、提案したことを深く反省しているとの話があった。私からは政治家としての説明責任をしっかり果たすよう指示した」と述べました。

柿沢氏は衆議院東京15区選出の当選5回で52歳。東京都議会議員を経て、平成21年の衆議院選挙で当時のみんなの党から立候補して初当選しました。その後、令和3年の衆議院選挙で当選したあと自民党に入党しました。そしてことし9月の内閣改造で法務副大臣に起用されました。

柿沢氏「本当に申し訳ありません」と投稿

法務副大臣を辞任した柿沢未途氏は31日、旧ツイッターの「X」に、「本当に申し訳ありません。ご支援・ご指導くださっている皆さまにお詫びの申し上げようもありません」と投稿しました。

松野官房長官「国民の信頼を回復できるよう課題に全力」

松野官房長官は午後の記者会見で「柿沢法務副大臣から『深く反省しており、職を辞したい』との申し出があり、小泉法務大臣が本人に事情を確認の上、内閣として承認することとした。後任の人選を進め、きょうの参議院予算委員会の終了後に手続きを進める」と述べました。

その上で「辞任を真摯(しんし)に受け止め、国民の信頼を回復できるよう課題に全力で取り組んでいきたい。人事は適材適所で進めているが、結果として山田 前文部科学政務官に続いての事例となり、極めて遺憾だ」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「辞表提出は当然」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「法の執行をつかさどる法務省の副大臣の立場であり、辞表提出は当然だと受け止めている。政務官、副大臣と辞任が相次いでいることは大変遺憾だ。政府はできるだけ早く後任を選ぶ手続きを進め、立て直しに取り組んでほしい」と述べました。

立民 安住国対委員長「副大臣だけでなく議員辞職に値する」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「選挙違反を主導していた人が法務副大臣になっていたということで驚いている。しゃれにならない話で、副大臣だけでなく議員辞職に値する」と述べました。
その上で「先週は文部科学政務官、今回は法務副大臣の辞任で、適材適所ではなく、絶対につけてはいけない人を職につけているのが岸田内閣だ。自民党はきちんと調査をして岸田総理大臣は総裁として国会に報告してほしい。毎週、不祥事が出ていて政策遂行能力が無くなってきたのではないか。『政策遂行不可能内閣』だ」と述べました。

また、立憲民主党の岡田幹事長は、記者会見で「国会として説明を求めていたにもかかわらず、辞表を受理して、いわば口封じをしたことは、誠に遺憾だ。法務副大臣が選挙違反に関わっていることは重大で、きちんと説明責任を果たしてもらいたい」と述べました。
その上で、柿沢前法務副大臣が予算委員会に出席しなかったことについて「法務省が独断で決めたと言っても、法務省は内閣の一部だ。岸田総理大臣の責任も極めて重大だ」と述べました。

公明 山口代表「誠に遺憾だ 信頼回復に最大限努力」

公明党の山口代表は記者会見で「臨時国会が始まったやさきで誠に遺憾だ。辞表を提出した理由を受け止める必要がある。岸田総理大臣自身も『任命責任を感じている』と話しているので、これからしっかり立て直して国民の信頼を回復できるよう最大限努力していく必要がある」と述べました。

共産 穀田国対委員長「議員としての資格もない」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者団に対し「法律に違反する行為を指南していることは犯罪に匹敵する行為だと指弾されなければならず、副大臣を辞めるだけではなく、議員としての資格もない。岸田総理大臣は、法律に違反する人を政務三役にあてることを『適材適所』と言うくらい、国民をばかにしているのではないか。政府として全容を解明することと、国会として責任を追及することが必要だ」と述べました。

その上で「副大臣には予算委員会への出席の義務がある。法務省が『出席する必要がない』というような話をすることは、議会制民主主義のあり方を否定するとんでもないことだ」と批判しました。

国民 玉木代表「適材適所という説明が崩れている」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「副大臣の辞任は免れない。『違法性の認識がなかった』と言っているということだが、そういう人が法務行政をつかさどる政務三役についていること自体適材適所という説明が崩れている。改めて岸田内閣には、気を引き締めて現下の内外の課題に取り組む体制を構築してもらいたい」と述べました。