ネタニヤフ首相「停戦応じない」ハマス 人質とする映像公開

イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区への激しい攻撃が続く中、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスとの停戦には応じない」と述べ、攻撃の手を緩めない姿勢を強調しました。
一方、ハマスは人質としている3人の女性の映像を公開し、イスラエル側に人質解放の交渉に応じるよう圧力をかける狙いがあるものとみられます。

イスラエル軍は30日もガザ地区への激しい空爆を続けるとともに、地上での軍事行動を拡大しています。

複数の現地メディアはガザ地区を南北に貫く主要道路「サラハディン通り」に一時、イスラエル軍の地上部隊が到達したと伝えていて、地元のカメラマンが撮影したとする映像では、この道路でイスラエル軍の戦車と見られる車両が砲塔を回転させて砲撃する様子を捉えています。

イギリスのBBCがこの映像を分析したところ、撮影されたのはガザ地区の北部と南部を分けるワディ・ガザと呼ばれる川から北に2キロほどの地点だと伝えています。

イスラエル軍は、ガザ地区を南北に分断して作戦を進めていく狙いもあるとみられています。

ネタニヤフ首相は30日夜の記者会見で「ハマスとの停戦には応じない。今は戦争の時だ」と述べ、攻撃の手を緩めない姿勢を強調しました。

こうしたなか、イスラエル軍はハマスの人質になっていた女性兵士1人を救出したと発表しました。

兵士の健康状態は良好で、家族と面会することができたとした上で「すべての人質の解放に向けてできる限りのことをする」としています。

一連の衝突でガザ地区では3000人以上の子どもを含む8306人が死亡したほか、イスラエル側ではこれまでに少なくとも1400人が死亡しています。

ハマスは230人以上を人質にとっていて、このうち女性3人の映像を30日、SNSで公開しました。

この中で1人の女性は時折、激しい口調も交えてネタニヤフ首相に対し、人質の解放と引き換えに、ハマス側が要求する停戦や、パレスチナ人の囚人の釈放に応じるよう求めています。

女性の発言はハマスが用意したか承認した内容の可能性があり、ハマス側にはネタニヤフ首相に対し、人質解放の交渉に応じるよう圧力をかける狙いがあるものとみられます。