旧築地市場の跡地 施設整備の2つの案が浮上

「日本の台所」とも呼ばれた東京の旧築地市場の広大な跡地に何ができるのか。
関係者への取材で、プロスポーツの公式戦の開催を想定した施設と、日本のアニメやゲームなどに特化した施設を整備する、2つの案が浮上していることがわかりました。

東京の豊洲市場への移転に伴って、5年前に閉鎖された旧築地市場の広大な跡地について、都は大規模な集客施設の整備などを条件に、再開発を行う事業者を募集しました。

都は複数の提案が出ていることを明らかにしていますが、関係者への取材でこれまでに出されている2つの提案の概要がわかりました。

このうち、1つの案では、およそ5万人を収容でき、野球やバスケットボールといったプロスポーツの公式戦を想定し、さまざまな競技の開催が可能な多機能型の屋内施設を中心に、国際会議の開催を念頭に置いたホール、築地場外市場や豊洲市場の食材を活用し、食文化を発信する施設などを整備するとしています。

もう1つの案では、日本のアニメやゲーム、マンガに特化したエンターテインメント施設としておよそ2万8000人を収容でき、展示会やコンサートなどの開催が可能な多目的ホールやホテルなどを整備するとしています。

今後、専門家などによる非公開の審査を経て、来年3月ごろに正式に事業者が決まり、その後、詳しい内容が公表される予定です。

旧築地市場の跡地の再開発とは?

旧築地市場の跡地の広さはおよそ23ヘクタールで、このうち、都が新たにつくる方針の堤防や道路などを除く、19ヘクタールが再開発の対象となっています。

都は再開発を行うにあたって「水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎え、交流により、新しい文化を創造・発信する拠点」を実現することをコンセプトとして掲げました。

そして、主な整備条件として、
▽水辺をいかした築地ならではの景観をつくること
▽地下鉄の新駅や舟運などを結ぶ「交通広場」を整備すること
▽東京の新たな強みとなる大規模集客・交流機能の導入 
などを挙げ、公募型プロポーザル方式により事業者の選定を行うため、ことし8月末に応募を受け付けました。

事業者の提出した提案内容は、都が設けた外部の有識者による委員会で審査されますが、都は「客観的かつ公平に審査するため」だとして、提案内容や事業者の名前や数は明らかにしていません。

審査する有識者も、提案がどの事業者から出されたものなのか、明かされずに審査を行うことになっていて、来年3月ごろに事業者が正式に決まる予定です。

事業者が決まれば、その提案の概要が公表されることになっていて、その後、住民などから意見を聞く場が設けられる可能性もあります。