国連安保理 再び緊急会合 ガザ地区の住民保護求める意見相次ぐ

イスラエル軍がガザ地区での軍事行動を拡大していることをめぐり、国連の安全保障理事会では再び緊急会合が開かれ、各国から住民の保護を求める意見が相次いだほか、イスラエルを擁護するアメリカをロシアが非難する展開となりました。

30日に開かれた安保理の緊急会合では、10月27日に国連総会で人道目的での休戦などを求める決議が採択されたことを受けて、各国からイスラエルに対し、ガザ地区の住民の保護を求める意見が相次ぎました。

このうち、ガボンのビアン国連大使は「イスラエルの激しい空爆と地上作戦がこの戦争の死傷者を悲劇的に増加させている」と述べ、総会決議が求めた休戦に応じるよう訴えました。

こうした中、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「イスラエルにはテロから自国を守る権利はあるが、国際人道法を順守しなければならない」と述べる一方、先の国連総会の決議については「ハマスの行動が非難されていないのは不合理だ」として、改めてイスラエルを擁護する姿勢を示しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、総会決議の翌日にイスラエル軍が地上作戦を拡大したと非難したうえで「アメリカはイスラエルによる大規模な報復を支持しているのか」と詰め寄りアメリカも非難しました。

安保理では今月16日以降、戦闘の一時停止などを求める決議案がアメリカやロシアなどの常任理事国の対立から4回否決されてきたことから、日本も含む非常任理事国10か国が新たな決議案の準備を進めていますが、採択にいたるかどうかはなお不透明です。

イスラエルとパレスチナの国連大使 演説で激しい非難の応酬

30日の国連安保理の緊急会合では、イスラエルとパレスチナの国連大使も演説し、激しい非難の応酬となりました。

このうちパレスチナのマンスール国連大使は、ガザ地区では5分ごとに子どもが殺されていると指摘し「これは子どもたちに対する戦争だ。何千人もの子どもたちが目の前で殺されているということを理解するのに、どれだけ時間がかかるのか。まだまひしているのか」と訴え、一致した対応がとれない安保理を非難しました。

一方、イスラエルのエルダン国連大使は、ハマスによる攻撃と人質の拘束はかつてナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った迫害や虐殺と同じだと主張したうえで、当時ユダヤ人が着用を強要されたダビデの星のようなマークを胸につけ「悪に対して沈黙する罪深さを思い出してほしい。あなたたちがハマスの残虐行為を非難し人質を取り戻すよう求めるまでわれわれはこの星をつけ続ける」と訴えました。