京アニ裁判 被告の妄想の事件への影響 医師2人が異なる見解

「京都アニメーション」の放火殺人事件の裁判は、青葉真司被告の精神鑑定を行った2人の医師の証人尋問が行われ、被告の妄想が事件に影響を与えたかどうかについて、それぞれ異なる見解を示しました。

青葉真司被告(45)は、2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオでガソリンをまいて火をつけ、社員36人を死亡させ、32人に重軽傷を負わせたとして殺人や放火などの罪に問われています。

被告の弁護士は「精神障害により、よいことと悪いことを区別して犯行をとどまる責任能力はなかった」などとして無罪を主張しています。

京都地方裁判所では30日も被告の刑事責任能力についての審理が続き、被告の精神鑑定を行った2人の医師への証人尋問が改めて行われ、妄想が事件に影響を与えたかどうかについて、異なる見解が示されました。

検察の依頼で鑑定した医師は、被告が京都アニメーションに応募した小説が落選して小説家を断念したという現実が主に犯行に影響したとしたうえで、「妄想で京アニに小説を盗作されたと考えたあと、犯行にいたるまでに直接抗議するなどの現実的な行動は起こしておらず、妄想は被告の言動に著しい影響を及ぼしていない」と述べました。

一方、弁護側の請求で鑑定した医師は、「被告は犯行以前も問題が生じると職場を退職するなど、相手と関係を絶つという解決方法をとってきた。京アニに対しては『盗作され続ける』と妄想し、関係を絶つために犯行に及んだ」と述べ、妄想が犯行に影響したとしました。

次回は来月6日に、被告の責任能力について、検察の中間論告と弁護側の中間弁論が行われる予定です。