ハロウィーン 渋谷が人出減少の一方で…地味ハロウィンって?

雑踏事故のリスクが高まるとして渋谷区が駅周辺に来ないでと異例の呼びかけを行っているハロウィーン。

警戒が続く中、渋谷区のハロウィーン直前の週末の人出は、コロナ禍前よりも少なくなっていました。

一方、SNSでは仮装そのものを楽しむ「地味ハロウィン」が話題に。
大騒ぎしたり暴れたりしないハロウィーンの在り方とは…

地味ハロウィンって…

2014年から始まった「地味ハロウィン」は身近にいそうな人に仮装する取り組みで、SNSでは毎年、話題になってきました。

ことしは29日、渋谷区のイベント会場でおよそ140人が仮装を披露し、旧ツイッターのXに次々と画像が投稿されていきました。

「イベントごとに何かしらのコスプレをさせられるレジの人」

このうち「イベントごとに何かしらのコスプレをさせられるレジの人」は、頭にコウモリのような飾りをつけた女性店員が遠い目をして買い物かごをもっています。

この画像には1万5000以上の「いいね」がつけられ、コメント欄には
「近所のスーパーだ…」
「今日これの予定」
など共感をよせる声が多くあがっていました。

「ノールック吊り革チャレンジ失敗」

「ノールック吊り革チャレンジ失敗」は、スマホを見ながら列車のつり革をつかもうとして失敗した女性。

「昼休み突っ伏して寝てた人」

「昼休み突っ伏して寝てた人」はおでこと手首がほんのり赤くなっているスーツ姿の男性と、日常の一瞬をうまく切り取っています。

また、SNSではイベントに参加しなかった人も室内などで「#地味ハロウィン」として仮装した画像を投稿していて、盛り上がりを見せています。

イベントを主催 デイリーポータルZ 林雄司編集長
「仮装自体が悪者になってしまったように思えるが、大騒ぎしたり暴れたりせずに仮装を楽しみ褒め合っていけるようになってほしい」

渋谷は酒瓶も吸い殻も少なく…

ハロウィーン当日と並び最も混雑が見込まれていた週末を終えて、渋谷駅周辺の繁華街では30日朝、清掃活動が行われました。

酒の缶や瓶などのごみの量はふだんの週末より少なかったということです。

清掃活動は30日午前8時半から渋谷センター街を中心に行われ、商店街のメンバーやボランティアおよそ50人が参加しました。

参加した人たちは路上に捨てられた酒の缶や瓶、タバコの吸い殻などを1時間ほどかけて片づけました。

30日はほかのボランティア団体が早朝に清掃活動を行ったため、ふだんの週末よりごみの量は少なかったということです。

また、渋谷センター街では、例年ハロウィーンの時期に店のシャッターなどが壊される被害が相次いでいましたが、今回の週末は確認されなかったということです。

新型コロナの5類への移行後、渋谷駅周辺では若者や外国人による路上飲酒が横行している状態が続いていて、渋谷区は条例に基づいて27日から渋谷駅周辺の路上飲酒の制限を行っています。

また、28日はコンビニなどに酒の販売自粛を求めたうえで、区や警視庁がパトロールや警備を強化していました。

渋谷センター商店街振興組合 鈴木大輔常務理事
「週末だけを見ると、効果が出ているのかなと思っています。去年もハロウィーン当日が最も被害が出たので、みんなで見回りをして警戒したい」

コロナ禍前の当日と比べ人出は16%減

渋谷駅周辺では例年、ハロウィーンの時期に若者や外国人が大勢集まるなどし、ことしも直前の週末となった28日、混雑が警戒されました。

この日の人出について東京・千代田区の企業「ロケーションマインド」がNTTドコモの携帯電話の位置情報をプライバシーを保護した形で分析したところ、センター街付近では午後4時台に最も混雑し、250メートル四方におよそ1万1600人が集まったとみられることがわかりました。

これは去年のハロウィーン当日を11%上回りましたが、コロナ禍前だった2019年のハロウィーン当日をおよそ16%下回りました。

また、訪れた人の居住地を分析すると
▽都内が73%を占め、
▽神奈川が10%、
▽千葉が6%、
▽埼玉5%などでした。

ことしは新型コロナの5類移行後、初めてのハロウィーンとなり、渋谷区は雑踏事故のリスクが高まるとしてハロウィーン目的で駅周辺に来ないよう異例の呼びかけを行っていました。

31日は最も混雑が予想されるハロウィーン当日で、渋谷区は改めて協力を呼びかけています。

渋谷駅周辺の人出を分析した民間企業「ロケーションマインド」の柴崎亮介CTOは「渋谷センター街の週末の人出はふだん、夜にピークを迎えるが28日は夕方前にピークを迎え、夜間は減少していった。都内から集まった人がほとんどで事前の呼びかけなど渋谷区の対策が効いたといえる」と話しています。

ハロウィーン直前の週末の混雑について、渋谷区安全対策課の東浦幸生課長は「まだ正確な数字は持っていないが、コロナ禍前の4年前と比べると人出は減っていると感じている。対策の効果は間違いなくあったと思う」と話していました。

また、路上飲酒をしている人数は、例年のハロウィーンやふだんの週末と比べて、大幅に減少したということです。

その上で31日のハロウィーン当日については「例年、31日は平日だったとしても、週末よりも人出が多い。ハロウィーンで渋谷には来ないでください」と改めて呼びかけました。

池袋では行政が支援しハロウィンイベント

一方、行政が支援してハロウィーンイベントを行ったところもあります。

JR池袋駅周辺でこの週末に開かれた「池袋ハロウィンコスプレフェス」にはアニメやゲームのコスプレをした人たちなど14万人余りが集まりました。

イベントは豊島区も共催し、参加者が安全に楽しめるよう
▽コスプレをしたまま来場することを禁止したほか、
▽移動や撮影ができるエリアを制限、
▽路上での飲酒も控えるよう呼びかけるなど、
ルールを定めたということです。

また、参加者によるボランティアのゴミ拾いもことし初めて行われました。SNSでは沿道の人たちがパレードを見守る動画が投稿されていて「行政が全面的に若者をサポートしているのもとても好感が持てる」などと好意的な反応が見られました。

主催者によりますと、イベント終了後に会場周辺に残る人たちの姿はほとんどなく、目立ったトラブルはなかったということです。

イベントの実行委員会は「純粋にコスプレを楽しみたいという人たちが増えていると感じています。安全に楽しめるイベントをこれからも提供していきたい」と話しています。

豊島区では31日のハロウィーン当日に向けても、警備を続けていくということです。

豊島区防災危機管理課の三國智史治安対策担当課長は「31日は繁華街に多くの人が訪れるかもしれませんので、大声を出さないなどマナーを守って安全で快適にハロウィーンを楽しんでほしいです」と話しています。