首相“所得税など減税と防衛費確保に向けた増税 矛盾せず”

岸田総理大臣は、30日の衆議院予算委員会で、新たな経済対策として政府・与党が検討している所得税などの減税と、防衛費の財源確保に向けた増税との整合性について、防衛力の強化は経済や賃金・物価の状況に最大限配慮して実施時期を決めるため、矛盾するものではないという考えを示しました。

国会は、先週に続いて衆議院予算委員会で、岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して基本的質疑が行われています。

立憲民主党の逢坂代表代行は、政府・与党が検討している所得税などの減税について「本来、減税は国民はうれしいはずだが、今回は評判があまりよくない。防衛費や少子化対策の財源も足りていないことが分かっているのに、減税するのはおかしいのではないかという声もある」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「さまざまな指摘は謙虚に受け止めるべきだと思うが、減税は経済政策としてデフレからの脱却を完成させるために、どうしても必要だ。防衛力の強化も、経済や賃金・物価などに最大限配慮した上で、実施の時期を決めるので、両者は矛盾するものではない」と述べました。

立憲民主党の早稲田夕季氏は、少子化対策の財源をめぐり「政府は、高齢化による社会保険料の伸びを社会保障の歳出削減で抑制するとともに、新たな支援金制度を加えると言っているが、社会保険料は上がるのか、下がるのか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「国民に実質的な負担を生じさせないことを目指すと申し上げているが、要は所得を増やす中にあって、その負担の率は決して増えることがないよう、制度を構築していきたい」と述べました。

一方、先週、東京電力福島第一原発で作業員に放射性物質を含む廃液がかかったトラブルについて、土屋復興大臣は「報道で知ったが、こういう情報はいろいろな省庁と連携していくべきだと反省したところだ。しっかりと司令塔としての機能を果たしていきたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「減税は政権の命取り」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「減税をめぐる論戦は、政策のちぐはぐさを浮き彫りにでき、国民の皆さんに考えてもらえるきっかけになったと思う。今後、補正予算案が出て、国会審議になれば国民はもしかすると『もうやめろ』と言うかもしれず、所得税減税は政権の命取りになるのではないか。減税を選挙パフォーマンスに使うべきではないとただしていきたい」と述べました。