【30日詳細】イスラエル軍ガザ地区北側から南下 約3キロ進軍か

この記事は、現在リアルタイムで更新中です。

イスラエル軍は、パレスチナのガザ地区で、激しい空爆を続けるとともに戦車などによる地上での軍事行動を拡大させています。上空から撮影した衛星画像やSNSに投稿された映像からはイスラエル軍がガザ地区の北側から入り南下しておよそ3キロの地点まで進軍しているものと見られます。

イスラエル軍は29日も激しい空爆を行ったほか、ガザ地区内での軍事行動を続けていて、軍の報道官は「地上での軍事行動を徐々に拡大させていく」と述べ追加の部隊を派遣したことを明らかにしています。10月28日にイスラエルとガザ地区の境界付近を撮影した衛星画像には2日前にはなかった境界の北から南に車両が通ったあとのわだちとみられるものが確認できます。さらに、イスラエルのメディアは、イスラエル軍の兵士が投稿したとする映像をSNSに掲載していて、この映像では、イスラエル軍の兵士2人が建物の屋根に、イスラエルの国旗を掲げています。これについてアメリカのCNNは、この建物の位置からイスラエル軍が境界からおよそ3キロ、中に入った場所まで進軍しているとみられると伝えています。

※30日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

死者 ガザ地区8005人 イスラエル側少なくとも1400人に

一方、パレスチナ側の被害は拡大しています。パレスチナの赤新月社は29日、ガザ地区の北部にあるアルクッズ病院の近くで繰り返し攻撃が行われているとしていて病院内を撮影した映像では、窓が割れて煙のようなものがまん延し、周辺一帯には粉じんが舞っている様子がうかがえます。病院にはイスラエル当局から退避するよう通告があったとしていますが、病院内には400人以上の患者に加えて1万4000人が避難していて、退避は現実的でなく、病院をねらった攻撃をやめるよう訴えています。一連の衝突による死者はガザ地区で8005人、イスラエル側で少なくとも1400人にのぼっています。

米バイデン大統領 イスラエルの自衛の権利を支持 電話会談で

アメリカのバイデン大統領は、29日に行ったイスラエルのネタニヤフ首相との電話会談でイスラエルの自衛の権利を支持する一方、国際人道法に沿って住民を守ることを優先する必要があると伝えたということですが、軍事行動が拡大する中、さらなる被害の拡大も懸念されています。

イスラエル軍 追加の地上部隊を投入 軍事行動を徐々に拡大

イスラエル軍は29日もガザ地区に入っての軍事行動を続けていて、軍の報道官はガザ地区に追加の部隊を派遣したことを明らかにするとともに「われわれは計画に従って戦争の段階を進めており、地上での軍事行動を徐々に拡大させていく」と述べ今後、地上戦の規模が大きくなるという認識を示しました。

ガザ地区内では激しい戦闘が続いているもようでイスラエル軍が北部の境界にあるエレズ検問所付近で地下トンネルから出てきた複数のハマスの戦闘員を殺害したと発表した一方、ハマスもガザ地区の北部などでイスラエル軍を攻撃したとしています。

一方、ガザ地区では空爆による死者やけが人が急増していて、今月7日からの一連の衝突による死者についてガザ地区の保健当局は8005人が死亡し、このうち3324人が18歳未満の子どもで2062人が女性だと発表しました。イスラエルの封鎖により水や食料などの不足も深刻になっています。一方、イスラエル側では少なくとも1400人が死亡し、およそ230人がガザ地区で人質にとられているほか、ロケット弾攻撃が続き、連日のようにけが人が出ています。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関はガザ地区の中部と南部にある複数の倉庫や配送センターに大勢の人が押し入り、配給用の小麦粉や生活必需品が奪われたと明らかにしました。

UNRWAの現地事務所の所長は「3週間にわたる戦争とガザ地区に対する厳しい封鎖の結果、秩序が崩壊し始めていることを示す憂慮すべき兆候だ。人々はおびえ、いらだち、そして絶望している」と住民の窮状を訴えました。

34台の支援物資を載せたトラックがガザに

パレスチナ赤新月社は、29日、34台の支援物資を載せたトラックがエジプトとの境界にあるラファ検問所からガザ地区に入ったと発表しました。

今月21日に最初の搬入が行われて以降、1日に入った台数としては最も多くなっています。

ただ、国連は1日にトラック100台分の物資が必要だとしていて、人道危機の解消にはつながっていません。

ロシア南部でイスラエルに抗議するデモ

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区で地上での軍事行動を拡大する中、ロシアの独立系メディアなどによりますとロシア南部でイスラム教徒が多数を占めるダゲスタン共和国で、イスラエルに抗議するデモが起きたということです。

このうち、中心都市マハチカラの空港では、29日夜イスラエルからの旅客機が到着するという話を聞きつけた数百人が抗議しようと空港に殺到し、一部のデモ隊は、滑走路に侵入して到着した機体を取り囲む事態に発展したということです。

抗議者たちは「お前たちは殺人者だ」などと叫んでいたということで、ロシアの航空当局によりますと、この騒動によって空港が閉鎖されたということです。

これに先立ち、ダゲスタン共和国の地元トップ、メリコフ氏は29日、SNSで反ユダヤ主義を掲げる過激な動きに同調しないように呼びかけていました。

ロシアではプーチン大統領が今月25日、首都モスクワでロシア正教のほか、ユダヤ教やイスラム教など国内の宗教指導者との会合を開きイスラエル・パレスチナ情勢についても言及したうえで、結束を求めていて、政権側としても反ユダヤ主義を掲げる動きに対し警戒を強める可能性があるとみられます。

米高官 “イスラエルはテロリストと民間人を区別する責任”

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は29日、ABCテレビのインタビューでガザ地区への軍事行動を拡大させているイスラエルについて「イスラエルには自国をテロから防衛する権利と義務があるが、同時にテロリストと一般の民間人を区別する責任がある」と述べて民間人の保護に力を尽くす必要があると強調し、イスラエル側に働きかけを続ける考えを示しました。

またサリバン補佐官は、「アメリカには今回の紛争によって影響を受けている人々への人道支援が着実に届くよう全力を尽くす責務がある」と述べて、支援物資の提供増加に向け引き続き取り組むと強調しました。

イスラエルと敵対のイラン サウジアラビアなどと相次ぎ電話会談

イラン外務省によりますと、アブドラヒアン外相はサウジアラビアのファイサル外相との会談で、イスラエルによるガザ地区の民間人への攻撃を直ちにやめさせるために、地域的、国際的に協力して取り組む必要性について確認したということです。

また、ともにハマスを支援してきたカタールのムハンマド外相との会談でも、イスラエルによる攻撃停止やガザ地区へ人道支援物資を継続的に運び込む必要性について話し合ったとしています。

ガザ地区で市民の犠牲が増え続ける中、アラブ諸国ではサウジアラビアのようにイスラエルとの国交正常化が取り沙汰されていた国に加え、エジプトやヨルダンなど、すでに国交がある国でもイスラエルに対する反発が強まっています。

イランとしては、こうしたアラブ諸国と連携してイスラエルへの圧力を強め、けん制するねらいがあるとみられます。

ICC“ハマス イスラエル 双方の犯罪を捜査”

ICC=国際刑事裁判所のカーン主任検察官は29日、▼イスラム組織ハマスが今月7日にイスラエルを襲撃した際に行ったとされる犯罪と▼イスラエルがパレスチナで行ったとされる犯罪、双方について捜査を行っていると明らかにしました。

これはカーン主任検察官がガザ地区への人道支援物資の搬入口になっているラファ検問所を訪れた際、映像を公開する形で行ったものです。

この中で「悲惨な人道状況が広がっている」と述べた上でイスラエルを名指しこそしなかったものの「子ども、女性、男性、民間人への人道支援が妨げられることがあってはならない。彼らに罪はなく、国際人道法のもとでの権利がある。こうした権利が奪われれば、刑事責任すら生じる」と述べ、支援物資の搬入を加速させるよう求めました。

ICCはすでにパレスチナ暫定自治政府の付託を受けて、イスラエルが占領下のパレスチナで行ったとされる犯罪をめぐる捜査を2年前から行っています。

UNRWA“ガザで亡くなった国連スタッフ59人に”

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は29日、SNSに今月7日以降ガザ地区で亡くなった国連スタッフの数が59人にのぼったと投稿しました。

UNRWAのSNSには「殺される同僚の数が増えるにつれ、国連とUNRWAにとって毎日が暗黒の日々になる。ガザ地区からはことばに表せない苦しみが刻一刻と生まれ続けている」と投稿されています。

イスラエル軍 報道官“ガザ地区で拘束の人質 239人確認”

イスラエル軍の報道官は29日、ガザ地区で拘束されている人質の人数について合わせて239人が確認されたと発表しました。

イスラエルの地質学者による“ハマスの地下トンネル”分析は

イスラエル軍がガザ地区で軍事作戦を拡大する中、軍が攻撃の対象としているイスラム組織ハマスの地下トンネルについて、研究を続けているイスラエルの地質学者がNHKのインタビューに応じ、ハマスがイスラエル軍に対抗するためトンネルを使った戦術を多様化させてきたとの見方を示しました。

NHKのインタビューに応じたのは、イスラエルにあるバル・イラン大学のジョエル・ロスキン教授です。

ロスキン教授は地質学者としてガザ地区やその周辺の地質について調査するかたわら、およそ20年にわたってハマスの地下トンネルについて研究を続けています。

ロスキン教授が過去にイスラエル軍の調査団の一員として行った調査や、当局などから得た情報をもとに作成した地下トンネルの見取り図によりますと、トンネルの深さは20階建てのビルに相当する70メートル余りに達するとしています。

ロスキン教授はトンネルの全長について「300キロメートルから500キロメートルにおよぶと推測できるが、正確に把握することは難しい」としています。

ガザ地区の市街地にある病院から垂直に延びる通路を下りると、ハマスの作戦本部や発電施設、それに、人質を収容するための部屋があるほか、住宅地の地表近くにはロケット弾の発射台があるとしています。

また、市街地からイスラエルとの境界近くまで長い通路が緩やかなスロープのように最長で8キロメートルにわたり延びていてそこから垂直に地上につながる通路もあるとしています。

さらに地中の穴にはロケット弾や迫撃砲が配備され、リモコンを使って地表のカバーを開けて発射できる性能もあるとしています。

ロスキン教授は「地下トンネルを軍事やテロのために活用するハマスの手口は非常に巧妙だ。指令やロケット弾の発射、人質の収容にとどまらず、ゲリラ作戦にも使われていて、これほどまで多岐にわたる使い方をしているのはほかに類を見ない」として、イスラエル軍に対抗するためにハマスがトンネルを使った戦術を多様化させてきたとの見方を示しました。

イスラエル軍が地上作戦を拡大していることについて、ロスキン教授は「地下トンネルを破壊し、制圧するには、しばらく時間がかかるだろう。場合によっては、数か月かかるかもしれない」との見方を示しました。

ガザ地区の通信サービス“徐々に復旧” 現地の通信会社

パレスチナで携帯電話事業などを行う通信会社は、ガザ地区で27日以降遮断されていた電話やインターネットの通信サービスが徐々に復旧しているとSNSで発表しました。ガザ地区では27日、イスラエル軍による大規模な軍事作戦が行われ、パレスチナの通信会社は激しい空爆によって通信が途絶えていると発表していました。

“ガザ地区 水供給のパイプライン3本中2本再開”

イスラエルの地元メディアによりますとガザ地区に流入する物資などを管理するイスラエル国防省の調整組織はガザ地区に水を供給している3本のパイプラインのうち、2本を29日までに再開したということです。供給される水の量はイスラエルが軍事衝突以前に供給していた量の半分ほどだということです。イスラエルは今月7日のハマスによる大規模な襲撃をうけて、ガザ地区に対する封鎖の一環として、襲撃の2日後から水の供給を止めていました。

ネタニヤフ首相“ハマス襲撃事前把握できず”投稿 批判受け謝罪

10月7日のイスラム組織ハマスの大規模な襲撃について、イスラエルのネタニヤフ首相が情報機関などは事前に襲撃の可能性を把握できていなかったとSNSに投稿して批判が相次ぎ、謝罪に追い込まれる事態となりました。

ネタニヤフ首相は29日、自身のSNSに「いかなる状況下、どの段階であってもハマスの襲撃について忠告を受けていなかった。情報機関のトップもハマスを抑止できていると信じていて、襲撃が起きるまで軍関係者の評価は変わらなかった」と投稿しました。

これについて、戦争管理内閣に加わる野党党首のガンツ前国防相はSNSに「戦時中こそ、リーダーが責任をとるべきだ」と投稿し、ネタニヤフ首相に発言の撤回を求めました。

ほかにも、野党議員などから「責任逃れだ」とする批判が相次ぎました。これを受けて、ネタニヤフ首相は投稿を削除した上で、再びSNSに「私が間違っていた。発言は不適切であり、謝罪しなければならない」と投稿し、司令官や前線で戦う兵士に寄り添う姿勢を強調しました。

パレスチナ赤新月社 “直ちに退避するよう警告する連絡が”

パレスチナ赤新月社は、ガザ地区の北部にあるアルクッズ病院に、イスラエル当局から直ちに退避するよう警告する連絡があったと発表しました。それによりますと29日朝から、病院から50メートルほど離れた場所で攻撃が行われているということです。

WHO テドロス事務局長 現地の差し迫った状況伝える

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は通信が途絶えていた現地のスタッフとの連絡が29日朝にとれたことを明らかにした上で「この2晩は空爆が多く、非常に緊迫していたようだ。燃料や水、電気、通信手段、それに避難するための安全な場所もなく、病院は患者であふれかえっていて、より多くの物資が必要だ」と投稿し、現地の差し迫った状況を伝えています。その上で「私たちは、即時の人道的な停戦と、医療施設や人道支援に関わる人たちの保護、そして、恒久的な平和に向けた取り組みを再度呼びかける」と訴えています。

EU加盟国首脳や高官から イスラエルに自制求める声

イスラエルには自衛の権利があるとしているEU=ヨーロッパ連合の加盟国首脳や高官からも、イスラエルに対し、ガザ地区の市民の命を守るため自制を求める声などが上がっています。

オランダのルッテ首相は29日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談したあとSNSに投稿し、イスラエルへの支持を続けることが必要だとしながらも「世界はガザ地区の人道状況を非常に懸念しながら見守っている。地域で緊張が高まることを防ぎ、罪のない市民の命が可能なかぎり失われないようにするには、軍事行動の自制が必要だ。自衛の権利を損なうものではないが、イスラエルには釣り合いをとって行動していると示すことが求められている」と強調しました。

またEUの外相にあたるボレル上級代表も28日の投稿で「激しい砲撃が続くなか、ガザ地区は停電し孤立した状態にある。子どもを含む、あまりに多くの市民が殺されている。これは国際人道法に違反するものだ」と非難しました。

ガザ地区 62万5000人の子どもが教育受けられない状況

ユニセフ=国連児童基金が27日発表したまとめによりますと、ガザ地区では62万5000人の子どもが教育を受けられない状況になっているということです。

さらにガザ地区にある学校の40%にあたる少なくとも221校が何らかの被害を受けているとしています。

イスラエル軍がガザ地区北部の住民に退避を通告する中、学校は住民が身を寄せる避難所となっています。

ユニセフは「あらゆる戦争で最初に、そして最も被害を受けるのはいつも子どもたちだ」として、子どもたちの保護を訴えています。

ハマス “国際社会はガザ地区の病院守るため行動を”

WHO=世界保健機関やパレスチナ赤新月社によりますと、ガザ地区北部にあるクッズ病院はイスラエル側から直ちに退避するよう警告を受けたほか、29日朝以降、病院の周辺は繰り返し攻撃を受けています。

一方、イスラム組織ハマスは29日付けの発表で、「イスラエルはクッズ病院にいる患者やけが人、それに1万4000人の避難民を攻撃しようとしている。国際社会は住民の命を救い、人道的な役割を果たしているガザ地区の病院を守るため、行動を起こすべきだ」と訴えています。

イスラエル軍 “ハマス側の戦闘員数十人を殺害”

イスラエル軍はガザ地区内で地上での軍事行動を続けていて、29日から30日にかけての夜、建物やトンネルに身を潜めながら攻撃を仕掛けてくるハマス側の戦闘員数十人を殺害したと発表しました。

また、地上部隊との連携によりハマスの戦闘員20人以上が潜んでいる建物を空から攻撃したとしています。

発表によりますとここ数日間で、イスラエル軍はハマスの武器庫や潜伏場所600か所以上を攻撃したということです。

イスラエル軍はガザ地区内での軍事行動とする映像も公開し、複数の戦車が進む様子やイスラエル兵が建物内を確認したり、銃を構えたりする様子が写っています。

クッズ病院を支援 日本赤十字社が緊急会見 厳しい現状伝える

ガザ地区北部にあるクッズ病院がイスラエル側から直ちに退避するよう警告を受けたことについて、2019年からクッズ病院への支援を行っている日本赤十字社は、30日、オンラインで緊急の会見を開きました。

日本赤十字社によりますとクッズ病院は、病床数が210床の地域の中核を担う病院の1つだということで、日本赤十字社は医療レベルを上げるための支援を行ってきました。

レバノンの首都ベイルートから会見を行った日本赤十字社の中東地域現地代表部の松永一首席代表のもとには30日に病院のスタッフから「爆撃が続き、負傷者の対応が続いている。場所が足りず、廊下を使って治療をしている」という厳しい現状を伝えるメッセージが届いたということです。

松永さんは、病院のスタッフの中には、家族を失っている人もいるとした上で「胸がつぶれるような思いです。現場の医療関係者が自分の命が危険にさらされる中離れるわけにはいかないと踏みとどまっています。病院や医療従事者への攻撃は国際人道法で禁じられています。事実を知ってもらい、関心を持ってもらうことが、事態を動かすと思います。即時の停戦を求めます」と訴えていました。

24台のトラックがガザ地区に到着

パレスチナの赤新月社は29日夕方、ガザ地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所から食料や医薬品などを積んだ24台のトラックがガザ地区に到着したと明らかにしました。これで10月21日に支援物資の搬入が始まってからガザ地区に入った人道支援のトラックは118台になったとしています。

ガザ地区保健当局 ”8005人死亡 うち3324人が子ども”

10月7日からの一連の衝突による死者について、ガザ地区の保健当局は29日、8005人が死亡し、このうち3324人が18歳未満の子どもだと発表しています。

国際的なNGOセーブ・ザ・チルドレンは29日、ガザ地区での子どもの犠牲者はわずか3週間で、去年1年間の世界の紛争地全体での子どもの犠牲者数を上回ったと発表しました。

それによりますと国連の報告書をもとにした世界20か国以上の紛争地での子どもの犠牲者は去年2985人だったとしています。

セーブ・ザ・チルドレンは「3週間の暴力で子どもたちは家族から引き離され、人生を引き裂かれた。ガザでは今、暴力が続いているだけではなく拡大しており、さらに多くの子どもたちが深刻な危険にさらされている」と強調しています。

そのうえで「子どもの死は1人でも大きすぎる。彼らの安全を確保するには停戦しかない。国際社会は、政治よりも人間を優先しなくてはならない」と指摘し、子どもの命を守るため、一刻も早い停戦が必要だと訴えています。

松野官房長官 “情勢を注視”

松野官房長官は30日午前の記者会見で「現地の緊張度は刻一刻と増し、情勢は全く予断を許さない状況で、わが国としても深刻な懸念を持って情勢を注視している。特にガザ地区の人道状況の改善が最優先で、ヨーロッパ諸国を含む各国と連携し関係者に働きかけるなど積極的に取り組む」と述べました。

その上で「国連安保理は日本時間の31日早朝、緊急会合を開催する方向で調整中と承知している。わが国の立場を踏まえつつ、安保理がしかるべき役割を果たすようしっかり対応していく」と述べました。

一方、イスラエル北部との国境で衝突が続くレバノンに関連し「衝突は国境地帯に限定されているが、 引き続き高い警戒感を持って注視している。 現地の状況の推移を見極めながら、邦人の安全確保に万全を期すべく引き続き適切に対応していく」と述べました。

上川外相 パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部と会談

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区で軍事行動を拡大する中、上川外務大臣はパレスチナ暫定自治政府の駐日代表部の代表と会談し、人道状況への懸念を伝えた上で事態の早期沈静化に向け連携していくことを確認しました。

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区で激しい空爆を続けるとともに戦車などによる地上での軍事行動を拡大させています。

上川外務大臣は30日、パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部のワリード・シアム代表と外務省で会談しました。

この中で上川大臣は、ハマスなどによるテロ攻撃を断固非難し、悪化する人道状況への懸念を伝えた上で、ガザ地区の一般市民に対して1000万ドル規模の緊急人道支援を実施することを説明しました。

これに対しシアム代表は日本の支援に感謝の意を伝え、両氏は事態の早期沈静化や地域の安定に向け引き続き連携していくことを確認しました。