社会

北朝鮮「帰還事業」 “継続的な不法行為” 東京高裁が差し戻し

昭和30年代以降、在日韓国・朝鮮人と日本人の妻などが北朝鮮へ渡った「帰還事業」で過酷な生活を強いられたなどとして日本に逃れた人が北朝鮮政府に賠償を求めた裁判の2審判決で、東京高等裁判所は、「原告たちは人生を奪われた」として北朝鮮の継続的な不法行為を認めたうえで、1審で審理をやり直すよう命じました。

昭和34年から25年続いた「帰還事業」では、在日韓国・朝鮮人と日本人の妻などおよそ9万3000人が北朝鮮に渡り、その後、日本に逃れた4人が北朝鮮政府に合わせて4億円の賠償を求めています。

1審の東京地方裁判所は「賠償を求める権利が消滅している」などとして訴えを退けました。

30日の2審の判決で東京高等裁判所の谷口園恵 裁判長は「事実と異なる勧誘で北朝鮮に渡航させ、その後出国を許さないことで居住地選択の自由を侵害し、過酷な状況で長期間生活することを余儀なくさせ、原告たちは人生を奪われた」として北朝鮮政府の継続的な不法行為を認めました。

そのうえで、1審が北朝鮮内での不法行為について審理していなかったことなどから、東京地裁でやり直すよう命じました。

北朝鮮政府を被告とする裁判は初めてとみられます。

判決後の会見で、原告側の弁護士は「帰還事業の実態について丁寧に認定し、人生を奪われる被害だと正確に評価した。日本の裁判所で北朝鮮の人権侵害を追及する可能性をひらく画期的な判決だ」と述べました。

原告「全面勝利」

2審の判決後、東京高等裁判所の正門前では原告や支援者などが集まり、拍手をして喜び、涙を流す原告もいました。

原告の1人で在日2世の川崎栄子さんは「全面勝利だと思う。この北朝鮮帰還事業を世間に知らしめて、正すためには命をかけないといけないという決心のもと、北朝鮮を脱出してきた。生きて日本に帰って来てきょうの判決を見ることができたのでよかった」と話していました。

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